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「はあぁっ!?そんな安い値段なわけないだろ!?」
ここは素材買取屋。とても状態の良いマンドラゴルァの部位を手に入れ軽い足取りでここへと向かったサンゴだったが、店主から提示された金額に不満タラタラだった。
「でもねえ、この値段ってなってるから」
「はあ!?目ェ腐ってんのか!こんなに状態の良いマンドラゴルァなんて滅多に見ないだろ!?お前のその目って何の為についてんの!?腐ってんの!?節穴なの!?これだからニンゲンは……!!」
「まあまあ落ち着けって!な?」
「これが落ち着いていられるかよ!目ん玉ざぁこざぁこ!クソクソニンゲン!!」
ケンが止めてもサンゴは相当ご立腹らしく、怒りの言葉を店主にぶつける。
しかし、そんなサンゴに対して店主は馬鹿にするように鼻で笑って見せた。それがまたサンゴの癇に障ってしまう。
「何だよ!言いたいことあるなら言えよ!!」
「いやあ……流石エルフは血気盛んだなあって。そんな得体の知れない種族からでも買い取ってやるって言ってるんだから、値段に文句をつけられる立場では無いと思いますけどねえ?」
その言葉でサンゴは気づく。マンドラゴルァの質が悪いとかそんな理由じゃない。自分がエルフだから不当な値段をふっかけられているんだ、と。
「……っ!!燃やされてえのかテメェ!!」
「わー!落ち着けって!!気持ちはすっげえ分かるけど!!オイラも今すっげえコイツのこと殴ってやりてえけど!!」
「そうだ!ここで暴れたらまたお前に不利なことになるかもしれないぞ!?」
今にも魔法を繰り出しそうなサンゴをケンとカイが慌てて止める。そんな三人の様子を見て、店主はまた鼻で笑った。つくづく火に油を注ごうとする人間である。
「アンタら二人も変人ですねえ。エルフなんかに関わるのはやめた方がいいのに」
「はあ?オイラが誰と関わろうが関係ないだろ」
今の言葉にケンがプッツンしてしまったらしい。慌ててカイが取り押さえる。
「待て、落ち着くんだケン。コイツは多分俺らを煽りたいだけだ」
「流石田舎者ですねえ。都会の常識も分からないでいらっしゃる」
「……は?」
無事、カイもプッツンしてしまったようだ。これでは誰も止める者がいない。
「「「ぶっ潰す!!!!」」」
「ストーップ!!お待ちください!!」
怒りで我を忘れた三人が今にも店主に襲いかかろうとするところを、一人の男が止める。彼のおかげで最悪の事態は防げたようだ。