#6 来たぞ!魔物の住む山!
前回のあらすじ。
色々準備をした。
「あああああストップぅぅぅぅ!!!」
『なんじゃ。なにか忘れ物か?』
「いや、そうじゃなくて!速いって!死ぬかと思った!」
ワシなんか間違ったことしたか?と言わんばかりのリルをポコスカ叩く。まあダメージなんて通るわけ無いけど。
『こうでもせんと結界割れんしのう…』
「関所って近くにないの…?」
『んー近くには無いのう。遠いぞ。』
「そこに行くにはどうしたら良いんだ?」
『電車とやらに乗って少し行ったところにあるらしいぞ。それかワシに乗って走るか?多分そっちの方が速いと思うが。まあ一番速いのはここをぶち破ることだが。』
どうしよう。
まず電車…こっちでお金使うの気が引けるし乗れないかな。そもそも犬二匹は乗れるのか?獣人が普通にいる世界だし、モフモフ専用車両みたいなのがあるんだろうか。あれ、ちょっと乗ってみたい…と思ったけど多分モフモフに痴漢して終わる。ギリギリで自制が効いてる。危ない危ない。
次にリルに乗って走る。目立つ。却下。それにラルが置いてかれそう。
「となると…結界破るしかないのか…」
『お!破るのか!では行くぞ!』
「待て待て待て、そもそも結界破った所で捕まったりしないのか?器物損壊とかそんな感じので。そもそも同じ国内と言えど、性質が違う人間領と魔物領を行き来するのに密入国にならないの?」
『そこら辺は問題ないぞ。今まで捕まったことはないぞ。』
渓口の難しそうな言葉の羅列(リル視点)にあっけらかんと答えるリル
「いや、捕まったことないとかじゃなくて捕まるか捕まらないか聞いてるんだけど…」
『………さあ?』
これまたあっけらかんと答えるリル。10才だもんな。わからないかー。
ちなみにこの後、リルの住み処に行く事になるが、そこにいるリルのお母さんに聞くと、結界を壊せる一部の上級魔物は、結界を壊したところで双方向に意図してない生物の流入がなければ、別に壊しても良いらしい。その分、壊した直後は穴が塞がるまで監視するのが壊した魔物の義務らしい。良かった。捕まらなそう。
〔ねーいかないのー?〕
ラル蔵に催促される。キラキラした目で見ないでくれ。困る。
『ちなみに密入国にはならんぞ。相手領での保証がないってだけで基本行き来自由だからな。』
「…そっかー」
渓口は考えるのをやめた。もうどうにでもなれ。最悪"日本"に逃げりゃ良い。
「結界って破ったらすぐ塞がるのか?」
『いんや、2~3分位は猶予あるぞ。』
「そしたらリルが先に破ってくれないか?そのあとそそくさと入るからさ。」
『心得たぞ。それじゃ早速…』
目にも止まらぬ速さで結界に向かって突進してくリル。突進するとその周辺のみガラスのように結界が割れる。なんか悪いことした気分電気
「それじゃ行こっかラルさんや」
〔さんぽー!〕
ラルさんはお気楽だなぁ。
ーーー
結界の中に入り結界が閉じるのを見守る。
「なあこれって誰が治してんだ?それとも自動で治ってくのか?」
『賢者が管理・監視してて遠隔で治すらしいぞ。人間の世界で言う魔法使いじゃ。』
ここでも出てくるのか魔法使い。本当に魔法使い一人勝ちだな。他の廃れた職業がかわいそうになってくる。
そんな話をしてたら穴が塞がったのを確認。
『時に渓口、探索とは言うが、具体的に何がしたいんじゃ?』
「んーこれと言って決めてないんだよね。とりあえず体力の無い自分でも歩けそうな道に出て散歩とか?」
『そんなんでエエのか。』
「んまあ探索ってそんなもんじゃん?知らんけど。」
『知らんのか…』
〔はやくいこー〕
ラルさんに急かされる。
「んじゃとりあえずラル蔵でも歩けるところを通って人でも歩けそうな道まで乗せてくれない?」
『わかったぞ』
ーーー
「おお、こんな広々した道があるのか。と言うか車が走れそうなくらい広い。」
『あれ、言ってなかったかの?ワシみたいな四足歩行は無理だが、上級魔物の中でも二足歩行する者ら…オークとかミノタウロスとかは車を運転するぞ。まあ魔物や動物が頻繁に飛び出してくるから、速く移動するため…と言うよりかはゆっくりでも良いから大量の荷物を運ぶためだがのう。』
縮小魔法をかけて小さくなったリルが得意気に話す。
それもそうか。一応は同じ国で人間領は"日本"と同等の文化水準なんだ。魔物領は遅れてると言うのもおかしな話だ。
『だからたまに車が通るから気を付けるのじゃ。』
「〔へーい〕」
1人と1匹、揃って気の抜けた返事をする。
『して、どこか行きたい場所はあるのか?湖とか川とか集落とか。』
「集落かーやっぱり魔物の種類ごとに離れて暮らしてるのか?」
『そうじゃなーさっき言った二足歩行の上級魔物は街と言って差し支えない規模の集落を築いてるのう。ワシらみたいな動物に近い四足歩行の魔物や下級の魔物、動物は普通に森の中や洞窟に住んどる。』
「へ~。んじゃ質問ついでにも1つ質問。二足魔物見てから気になってんだけど、二足歩行の上級魔物と人間領に住んでる"獣人"は何が違うんだ?どちらも同じように見えるけど。」
『そうじゃなぁ…まず手足を見てみるのじゃ。獣人…は今ここにおらんからあれじゃが手足や関節の構造が人寄りなのじゃ。一方、二足魔物は手足や間接の構造が元の動物寄りなのじゃ。外見でわかる大きな違いはそんなとこかのう。その違いゆえに二足魔物は基本的には二足歩行じゃが、走るときは四足歩行じゃ。獣人は走るときも二足歩行じゃのう。』
確かに…!言われてみれば!と納得する渓口。
なに話してるかわからず、置いてきぼりを食らい、拗ね始めてるラル蔵。尊い。
「な~るほど。これまた似て全くの別物なのか。」
『そう言うことじゃ』
「はえ~ためになりましたわ~さすがフェンリル様~」
〔さま~〕
『おう!もっと讃えてもいいのじゃぞ?』
「はいはいすごいね~」
〔すごいー〕
リルの調子に乗った感じに棒読みで返す1人と1匹。
『お主らなんとも思ってないだろ。』
「そんなことないよ~」
〔ないよー〕
『主とその飼い犬。似た者同士じゃな…』
ーーー
山に入って3時間くらい経った。
太陽が結構高いところに昇ってる。そろそろお昼時。多分。きっと。おそらく。maybe.
「そろそろお昼ごはんにしよっかー疲れたし」
『おお!昼飯か!何を食べさせてくれるんだ!?』
おお…もらう気満々なんだ…いやまあ見越して作ってきたから良いけどさ。
「まずラルのね。はい。ドックフード。」
〔わーい〕
「待て、まだ食べちゃダメだよ。こっちの準備もするから。」
〔…………〕
よだれをダバダバ垂らすリル。
「はい次にリルね。」
『おお!何を食べさせてくれるんだ!?!?早くしてくれ』
こちらもよだれを滝のように流す犬。
やっぱり少しでかい犬だろこいつ。
「はいこれね。」
そう言って取り出したのは至って普通のハムのサンドイッチ。
『おお、パンと薄い肉と葉と…この白いのはなんだ?』
「マヨネーズって言う生卵の黄身と油とワインビネガー…お酢って言う酸っぱい液体を混ぜたソースだな」
2匹の前にご飯の用意が出来た。
「ラル!お手!」
〔はい!〕
「おかわり」
〔ハッハッハッ…〕
「…………ヨシ!」
いつものルーティンを終わらせOKの合図が出たその瞬間、目にも止まらぬ速さでがっつき始めるラル蔵。
〔ウマーーイ!〕
「あ、リルもどうぞ~」
『今のは何をしたんだ?ってうまいな!なんじゃこれ!?』
「あーなんて言えば良いんだろうな。まあごはん食べる前の準備体操みたいなもんだよ。」
『なあ!タニグチなんだこれ旨いぞ!』
聞いといてこっちの話を聞いてないリルさん。
「それがマヨネーズの味だよ。って聞いてない…まあいっか…」
そう言って青空の下、1人と2匹で昼ごはんを口に運んだ。
6話目、山の中を探索?散歩?探検?してお昼ごはんを食べました。
普通、サンドイッチと言ったらハムサンドとタマゴサラダのサンドが定番だと思うんですけど、作者が卵嫌いなので作中には出てないです。卵は嫌いだけどマヨネーズとかフライの衣の中とかの卵は問題ないんですけどね。「これは卵!」ってわかるような料理…目玉焼きとか出汁巻き卵とか、前述のタマゴサラダは嫌いなんですよ。かと言ってチャーハンとかにチョロっと入ってるのは食べれるんですよね。更に言えば少し前に流行った「麻薬卵」は半熟なら食べれる…めんどくさい人ですね…全て自分の事なんだけど…。
あと投稿日(2024/12/03)に見てみたらブックマークが1件ついてました!嬉しい!どこの誰かは存じ上げませんがあなたが最初のファンです!(自惚れすぎかもしれない)ありがとうございます!!!