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#4 新たなモフモフの気配…!!

前回のあらすじ。


小さいけどやりたい事見つけた。


20**年12月**日(水)


 翌日。早速裏山探索へ!






 行かない。図書館に再び来た。

 いや、普通に考えてなにも調べずにまだ見ぬよくわからない存在「魔物」がいるかもしれない山?に行くなんて危険が危ない。

 いやまあ真裏にそんな山がある時点でこの家も大概だろうけど。


 少し調べると裏の山は「魔物領」らしい。

 別世界日本(もうめんどくさいのでこれ以降はニポンって名付ける。)は1つの国家ではあるものの、主に言葉を喋る人間寄りの種族(人間、獣人)の住む「人間領」と上級魔物をはじめとした魔物、動物の住む「魔物領」に別れるらしい。


 それがニポンだけならず、世界各地にバラバラと点在してるらしい。

 その境には強力な結界が張られていて、基本的には関所的なところからしか行き来出来ないらしい。


「ほーんならあそこに家があってもまあ危険ではないのかー。それにしても結界かー。挿し絵見る感じだと緑色に淡く光ってるみたいだけど、家の裏にそんなの無かったけどな。」


 基本的に相互間の行き来は自由だし、両者の関係も友好的だが、その領内でなにがあっても責任は取れないとか。要は反人間派の人に殺されても知りませんよ~ってことだ。なので魔物領に入る人族は、基本的に両者を繋ぐことの出来る上級魔物の案内人(?)を頼むなり雇うなりして魔物領へ行くらしい。


「ほらやっぱり危険じゃん!迂闊に入らないで良かった!」

 目玉が飛び出るかと思うくらい目を見開き、大声を出したここは図書館。


「あ、ごめんなさい。」

 赤面し本を戻し早足で図書館を後にする。


ーーー


「てことらしいよーラルさん。」

 家に帰ってきて外で話す1人と"2"匹。


〔そーなんだー〕

『そうだぞ。そんなことも知らんのか。稀有な存在よのう。』

「ごめんなさいね~こっちの人間じゃないからね~」

〔なあタニグチ。〕

『ほう、こっちとは?』

「あーなんかラル蔵君と玄関のドア開けると元の世界とは別の世界に繋がってそれがここって…」

〔なあ!〕

 渓口の腕に噛みつく。勿論甘噛みだ。


「ハイ、ナンデショウ。」

 涙目でラルさんに返事する。勿論噛まれたから涙目な訳ではない。


〔だれ!〕

「わ、わたすもわからん…でも話し聞いてくれるからきっと良い犬さんだと思う…少し大きいけど…助けてラルさん…」

 プルプル震えてラル蔵に助けを乞う渓口。


〔えぇ…タニグチかっこわるい……〕


 そんな1人と1匹のイチャイチャを横目に、謎の薄汚い白いモフモフ…ラルより一回り大きい多分犬形の魔物?が口を開く。


『そう怖がりなさんな。ワシはリルじゃ。』

「〔リル……〕」

 名前を聞いて1人と1匹「マジか」と思った。思っただけ。顔には出てないはず。多分。


『どうしたんじゃ。』

 嘘、出てたっぽい。


「んじゃこっちも自己紹介するよ。俺は渓口。んでこっちが…」

〔ラル!〕

「"ラル蔵"ね。まあ本犬はラルのほうが気に入ってるみたいd…」

 言い終わる前に興奮したリルが被せてくる。


『おお!一文字違いか!こりゃなんかあるな!』

 無いです。あなたと会うの今日がはじめてです。何かあったら怖いです。


「ところでリルさん。あなたって人の言葉喋るし上級魔物…ってやつですか?」

『人間の間ではそう言われてるな。あと敬称つけんでええ。敬語もやめい。』

「んじゃ遠慮なく。リル、もう1つ質問。なんで結界の外にいるの。」

 そう。今話してる場所は家の横の芝生。本来魔物がいるのはおかしくは無いが、どっちにしろここは(多分)この家の土地。勝手に入ってきてるのに変わりはない。


『簡単な話よ、結界をこうひょいッと。』

「ひょいっと?」

『パリんと。』

「パリんと!?」

『壊した。』

「はぁぁぁぁぁぁ??????」

 造作もない。朝飯前と言わんばかりに鼻を鳴らす目の前のでっかい犬。


『大丈夫じゃ、ワシぐらい強くならんと壊せんしほれ、そこから入ってきたがもう塞がっとる。』

「ほれって言われても見えないし。」

『なんじゃお主魔力持ってるのに見えんのか』

「いや持ってない…と思うけど。」

『そりゃ気付いとらんだけじゃ。ほれ。』

 ほれ、の掛け声で体が吹っ飛ぶ。リルに肉球パンチ(強)を食らった様子。


〔ガルルルルル…〕

 ラルは臨戦態勢でリルに挑む…が前脚で頭を抑えられてなにも出来てない。かわいい。


「このバカ犬!いってー……くないね。なんで?」

 何故か痛くない。普通に体のいろんな所骨折しててもおかしくないと思ったけど。


『バカとはなんだバカとは!あとワシは犬じゃないぞ!お主の魔力を引き出してやったんだぞ!痛くないのは魔力を消費して無意識のうちにクッションを作ったからじゃの。』

 フンッ!と鼻を鳴らして目の前のデカイ犬が説明する。


「魔法って普通の人は使えないんじゃないの?調べたら血筋がどうとかそんな感じの事書かれてたけど。」

『血筋じゃなくとも使えるやつは使えるぞ。ただ高度な魔法…例えば空飛んだり強力な魔法は賢者…人間領だと魔法使いか…そう言う職業につけるような血筋じゃなきゃ使えないってだけじゃ。さっきみたいな簡単な防御の他に、小さい火球とか水をチョロチョロ出すとかなら一般人でも出来るじゃろ。それよりほれ、後ろ見てみ。』

 そう言われ背後の山の方を見てみる。


「なるほどね…誰でも魔法使いになれるって訳ではないのね。おー、これが結界ってやつ?」

 目の前に現れたのは緑の膜のようなもの…本物見たこと無いけどオーロラみたいな感じ…これが結界なのか。


「本当だ。どこも穴空いてないや。」

〔ラルはねーまえからみえてたよー〕

「そうなの!?」

 やっぱりラルさんは魔物なのか?


『それにしてもお前さん面白い体の構造しとるな。』

「?」

『普通魔力は体を循環しとるもんじゃ。その存在に気づいてなくてもそう言うもんじゃ。それなのにタニグチ、お前さんは左の胸辺りに貯まっておったぞ。』

「左胸…」

『なにか心当たりがありそうじゃの。』

「んー。あるね。これしかないでしょって思えるとっておきのやつ。」


ーーー


 渓口は病気の事、左の肺を取り出してること、余命宣告されてること、残りの人生はやりたい事をやること、この世界の人じゃない?こと、ラルさんがこの世界で喋り始めたこと…厳密には俺がラルの言ってることを理解出来るようになったこと等々…自分の身に起こったことを話した。自分でもなんで話そうと思ったのか不思議だが、リルには全部話した。


『なるほどのう。不思議なこともあるもんじゃな。』

 ガッハッハと笑い冗談交じりにリルは言う。

 結界も壊せるくらい強いリルですら核心的なことは知らない様子。


「んでさ、相談なんだけどさ"やりたい事"第一弾としてね、この裏の山に入ってみようと思うんだよね。」

『なぜじゃ?面白いもんなんてなんもないぞ?魔物くらいしかおらんぞ。』

「だからだよね。見たこと無いから気になるって言うかー」

『じゃが1人…ラル含めても1人と1匹で入るのは頂けん…あーそう言うことか。ワシに案内人をしろと。』

「察しが良くて助かりますわリルの兄貴~仲良くなったついでにお願いしますよ~ご飯おごっちゃうから~」

『まあ別に構わんが…美味しいのを頼むぞ。』

 意外と乗り気だぞこの犬。


〔ラルも食べるー〕

「山から帰ってからねー。リルもそれで良い?」

〔はーい〕

『後払いかい。』

「残念ながら今食料が無くてね。それにリルって魔物と言えど犬っぽいし食べれないものとかあるでしょ?」

『いや、嫌いなものはあるが基本的に食べれないものは無いぞ。それとタニグチ、ワシは犬じゃないわ、そろそろ泣くぞ良いのか?』

 あらなにこの子、かわいい。リルに浮気しそう。てか犬じゃないならなに?狼とか?狼ってこんなに人懐っこいのか?いや、喋れるから対等な関係が成立してるだけか?


「魔物って皆が皆なんでも食べれるのか?」

『知らん。少なくともフェンリルは食べれないものはないと思うぞ。』

「へー、ってあんたフェンリルなのか。あっリルってフェン"リル"から取ってんのか…」

『そうだぞ、ワシは崇高なフェンリルであるぞ』

 誇り高そうに「フンッ!」と音が聴こえそうな鼻息を鳴らしてるけど…


「いやまあ確かにでかいしそんな気もしてはいたけど…その……なんと言うか……輝きが感じられないと言うか…」

言葉を濁す渓口。


〔きたない!〕

 ズバッと容赦なく言うラル蔵。流石人間換算5才児。


『んなっ…』

「うん。もう言っちゃったから言うけど薄汚れてるよ…」

 そう、このフェンリル(仮)、汚れてる。真っ白なイメージのフェンリルだけどなんか…くすんでる。


『水が嫌いなんじゃ!』

「おお、思ったより正直。プライド高そうだし簡単には折れなさそうと思ってたから意外。」

『水の冷たい感じが嫌なんじゃ…』

「お湯なら良いのか。なら風呂入ってくー?多分狭いだろうけど」

『暖かいのか?それなら入るぞ!』

 と言うとボン!と煙が立ち、リルが煙に飲み込まれていった。

 煙から出てきたのはラル蔵(ゴールデンレトリバー・成犬)より少し大きいくらいの白い汚犬。


「ワーオ小さくなった。魔法かなんかか。もうなにも驚かないわ。」

『ワシはフェンリルだぞ、こんくらいお茶の子さいさいだぞ』

「さっきまではおじいちゃんって感じだったけどこの大きさならラルのお兄ちゃんって感じだな。」

『ラルは何才なんだ?』

〔なんさいなんだー?〕

「えっとな。次の3月で7才。」

『なんだ。あんまり変わらんじゃないか。ワシは産まれて10年じゃ。』

「(そのしゃべり方とあの大きさで10才なの…?待てよ、10才ってことは、もしかしてまだ物をよく知らないのかな。リルの親?に会えればこの不思議現象のこともわかるかも?)フェンリルの割にめちゃくちゃ若いな。それじゃこれからよろしく頼むよお兄ちゃん?」

『兄貴分か!良いのう!よろしく頼むぞ!』

〔よろしくーだぞーおにいちゃん〕

 そう言って家の中に愛犬と汚犬を連れ込んだ。


ーーー


「なんで怒られてるかわかるかな"おにいちゃん"?」

『えっと、湯浴み場で縮小魔法が解けてタニグチを吹っ飛ばしたからです…』

 耳をペタンとして下を向いて威厳もなにもないフェンリルのリル(10)がそこにはいた。


「最初に確認したよね?途中で魔法解除されたりしないよね?って」

『はい…その…湯浴みが気持ち良くてつい気が抜けてしまったのだ…』

「言い訳無用です。」

『………』

 そう、このフェン公、あろうことか風呂場で水を切る動作…ブルブルをした途端に、縮小魔法が解けたのだ。


 そのお陰で風呂場は色々散乱して、自分は思いっきり吹っ飛ばされた。幸い、ミートテック装備してる屈強(笑)な体なので大きな怪我はなかったから良かった。


「なんか言うことは?」

『面目ない…』

「…よし、この話は終わり!」

『もういいのか?』

「要は魔法解けたのは不本意だったんでしょ?それじゃ事故だし…なにが悪いのかわかって謝れたならそれでおしまい。ただし次は無いからね…?」

 そんなこと言ったけど多分本気でやりあうってなったら自分が100%負けるだろうけど。


『かたじけない…』

 突然大きい犬が現れてめちゃくちゃびびったけど、最終的にこの世界で新しい友達?仲間?が出来たしまあいっかな!

 4話目!

 異世界もの名物、喋る大きい犬参戦!てことでフェンリル登場。

 ベタだな…とは思うけどやっぱりだしたいもんだよ!でかいモフモフは心に効くんだよ!!!!現実でもいれば体にも効くんだけどね…勿論コミュニケーション取れるの大前提だけどね。

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