#32 空前絶後の…
前回のあらすじ。
タニグチぶちギレた。
片付けを終わらせ、さっさと寝て起きて現在、翌日の昼前。
「セグトーおそよ。勝手に台所使わせてもらってる。それとちょっと散歩がてら買い物行ってくるー」
昨日使わなかった胸肉の一部を魔物流(焼いて塩だけ)に食べる。たまには良いなこう言うのも。胸肉だからパッサパサだけど。
《おう。おはようさん。そういや昨日も思ったが、どうやってコンロに火着けたんだ?》
「これ。」
そう言い渓口が見せたのはチャッカマン。コンロに火を着ける度にセグト呼ぶのも非効率だと思い、家から持ってきた。
《ほー。ライターか。いちいち呼ばれるのもなんかなーって思ってたし丁度良いな……買い物か。なに買うんだ?…パッサパサだ。》
起きてきたセグトにも胸肉を出す。
「パッサパサなのはしゃーなし。焼いただけだもん…野菜とか米とか?」
《俺も酒買ってこないとだなー…あっ、お前には飲まさないから!俺も軽く飲むだけだから!!!》
ものすごく焦って否定するセグト。
「すごく焦るじゃん。別にあの時(ハルアとの酒飲ませ回)のこともう怒ってない…と言うか覚えてないからさ…覚えてないことに怒れるわけもないし。まあ気を付けてくれたら良いよ。」
《そ、そうか…》
「そしたら一緒に行くかー」
使った食器を片付けながら言った。
ーーー
「てことで来たけど…」
《めーっちゃくちゃ混んでるな。普段こんなことないんだが。》
「あのー…この混雑は一体?」
店から出てきた魔物に訪ねてみる。
[なんかね。昨日出店で"トリノカラアゲ"ってのが流行ったらしいのよ!それが絶品らしくて…!町中で噂になってるのよ。どうやって作るのかわからないけど、とりあえず鶏肉と小麦粉と塩で似たようなの作ろうと思ってね~!]
おお、なんか空前絶後のカラアゲフィーバーが起こってる…?
「それなら味付けの時に大蒜と生姜を擦り卸したものも一緒にいれてみると良いですよ?それで少し置いてから小麦粉を混ぜ込んで油で揚げると良いですよ~」
自分が作ったのとは別物になりそうだけど、多分それくらい入れとけば最低限食べれるものになるんじゃなかろうか…?
[あらそうなのね!それならそれも買ってこないと!ありがとね~!]
そう言うとマダム?は人集りに突っ込んでいった。
《なあタニグチ、これって…》
人集りを見ながらセグトが話す。
「なんか良い感じにブームに火が着いたみたいだね。俺から始まって広まってくって少し嬉しいかも~」
へへへと笑う渓口。
「それはそれとして、この中に入らないとなのか…」
とゲンナリする渓口。
《と言うかタニグチ。野菜はともかく、米はここに売ってないんじゃねーか?言い忘れてたけど魔物領じゃあんなの食う文化ねーからな。売ってるの見たこと無いぞ?》
「そうなんか。ちょっと残念。あれがあれば唐揚げが何倍も旨くなるのにな…」
《タニグチの家で出たしょうが焼きと一緒に出てきた白いやつだよな…こっちの米とは見た目全然違かったけどあれ旨かったな…》
「そそ。」
…今回は諦めてパンと食べるか…?カラアゲとパン…まあサンドイッチとかあるし"アリ"ではあるかな…
「そしたら今日はパンでいっか。」
そして覚悟を決めて…
「うし、行くか商店に…買い物終わったらここ集合な。」
《大袈裟じゃねーか…?まあ俺はすぐ終わると思うから先に終わらせてここで待ってるわ。》
「それじゃあ健闘を祈る。」
《だから大袈裟だって…》
ーーー
《大袈裟じゃなかった…》
「さすがに今日のはイレギュラーなんだろうけどね。」
《まさか酒だけの俺よりお前の方が先に買い物終わるとは思ってなかった。》
「そこはまあ…戦場経験の差…ってやつかな?」
そう言い格好つける渓口。
《…格好良いと思ってんのか?》
真顔で問うセグト。
「…このボケ潰し。帰り道ついでにサッちゃん呼びに行こうかー」
ーーー
てことで戻ってきましたセグト宅。
「サッちゃん、早速だけど手袋して手伝って貰える?」
[あの、この前はそうしましたけど魔法でやっちゃ駄目ですか?]
「あー。そう言えばその手があったか。うん。良いよ。そしたらこの下味ついてるお肉に粉振ってくれない?」
[わかりましたー。]
その間に俺は加工場で貰ってきたけど、昨日使わなかった手羽元とか手羽先を仕込みましょうか。
ちなみに今回はもも肉、胸肉、ささみ、手羽元、手羽先をもらって他は売った。他と言っても残ってんのは余分な皮とかなんこつ、内臓系、1匹から1つしかとれない希少部位とかだから大した金にはならなかったが。
仕込みと言ってもとても簡単。手羽元は塩ベースの調味液(にんにく、山椒抜き)、手羽先は後から味付けするので塩コショウだけ振っておく。
次に手羽先用のたれを作る。これもまた簡単。料理酒を煮切ってアルコールを飛ばして醤油と砂糖をいれて少し煮詰める。あとはこれを揚げた手羽先に煎り胡麻と共に絡めて完成。
あとはサンドイッチ用にパンと野菜を切って準備OK。
[出来ましたよー]
サクも丁度終わったみたいだ。
「ありがとー。そしたら仕込んでたやつもお願いできる?俺もやるから。」
[わかりましたー]
ーーー
「やっと下準備終わったー…リルいるからと思ったけど、ちょっと仕込みすぎたかもなー…まあ足りないよりかは良いか。あとはリル達が来たら揚げ始めるかーそれまで肉を冷蔵庫に…って思ったけど無いんだよな。」
そう、セグト宅…と言うか魔物領来てから冷蔵庫を見てない。セグトやサクに聞くと《[まー魔物ですし]》とのこと。
腹壊さないんだ…人って弱いな…
「そうだ、サク。氷系の魔法とかって使える?」
[使えますよ。]
「そしたら結界を二重に作るからその間に氷敷き詰めてくれない?」
[わかりましたー。なにするんですか?]
「いやー魔物は平気みたいだけど、人間は常温に放置された肉なんて食べたらちょっとヤバイからさ、リル達来るまで冷蔵しとこうと思って。」
[なるほどーわかりましたーあとお水貰って良いですか?]
そう言うとバラバラバラーっと小さい氷を結界の間に敷き詰めていく。
「良いよ~って俺が言うのはおかしいか。」
《良いぞーやっぱり氷の魔法ってのは水飲みたくなるのか?》
[そうですね~なんでかはまだ勉強中で理解できてないんですけどね~終わりましたよ~]
のほほーんと言ってるが理解してないで使うって大丈夫なんだろうか。
「…んじゃリル達が来るまで自由時間~」
35本目!
骨付き肉、私は食べづらいので嫌いです。でも某イタリアンファミレスの辛味チキンは好きです。
この前それと同じと思われるのが冷凍で売ってて買いて~ってなったけど量多すぎて諦めました。
今日で初投稿から1ヶ月経ったようです。
三日坊主がここまで続けられるとは思ってませんでした。これからもよろしくお願いします。