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#12 夜のちょっといけないお散歩

前回のあらすじ。


デブワイ、火炎竜目掛けてドロップキック。


 玄関を開けると目の前でラルが待ってた。まあそうじゃないとこのドア開かないし当たり前だ。


〔!!!〕

「ラルごめん!遅くなった!」

〔ハッハッハッハッ…〕

「お腹空いてるよな?それとも散歩行くか?」

 そう聞くとガリガリガリガリ…と扉をひっかく。散歩のが良いみたいだ。


「そっか。そしたら散歩行くか!」

〔さんぽいくー!〕

『おおラル!散歩行くか!』


 なんやかんやで現在の時刻は午後9時。元日のこの時間にもなると人通りは全くと言って良いほどなくなる。それは日本もニポンも同じこと。


「ラリルさんや。ちょっと"日本"を散歩しないかい?」


~~~


20**年1月1日(水)PM9:00


「ちょっといけないことしようか…」

 ニヤッと笑う渓口。


『なんじゃ?面白いのか?それは。』

〔楽しいこと!?やるー!〕

「んーラルにとってはそうでもないかも。リルにとっては新鮮かも。」

『ほう、ワシには新鮮とな?』

〔えー。でも(あに)と一緒ならやるー〕

『嬉しいこと言うでないか!』

 鼻高々なリルさん。嬉しそう。


「日本…リルから見たら異世界…行ってみない?」

『おお!タニグチが元から住んでる世界か!少し行ってみたいぞ!ただ…ワシはそっちの世界出れるのか?』

「んー…どうなんだろう。でも半分あっちの世界みたいなこの家には入れるし出れるんじゃないか?知らんけど。」

『確証ないのか…まあ別に痛い思いするわけでもなし、やってみるかのう。』

 以外と乗り気な様子。良かった。


「それじゃ行ってみるか!ラルもそれで良い?」

〔いいよー。話聞いてもらえないのはヤだけどー〕

「そこはごめんて(笑)明日あっちの世界でお話ししよっか。」

〔はーい〕


ーーー


「それじゃ行こっか。リル、縮小魔法お願い。」

 ポン!と音と煙をたてていつも通り小さくなった。


「あっちの世界じゃリル本来の大きさだと誰かに見つかったとき大変だからこの大きさで居てね。」

『うむ…善処する…最悪解けそうになったら…どうしよ…』

「そこはまあ…人に見つからないことを願おう……」

〔はははーぜったいとけるやつだこれ〕

 ラルさん、意外と冷静。


「それじゃ家の中入ってー」

〔はーワン〕

 おお、喋ってる途中で扉くぐると途中で聞こえなくなるのか。これは新発見。


『おお、喋ってたのが鳴き声になった。』

 リルもこれにはビックリした様子。


「よし、二匹とも入ったね。」

 2匹とも入ったのを確認し扉を閉め、再び開ける。


『おお、なんか逆になっとる!うお、山がない!!!ここが異世界か!』

「語彙力が低下しとる…」

 リルは普通に日本に入れたし、こっちでも普通に喋ってる。これが純魔物のリルと魔物(仮)のラルの違いか。


〔ワンっワンッ!〕

 やっぱりリルがいるからといってこっちで喋れる訳じゃないのか。少し期待してたんだけど。


「ラルさん、夜だから声抑えめにお願いします」

〔…ゥゥッワフ…〕

「オーケーオーケー。それじゃお散歩いきますか。」


ーーー


 散歩を始めて30分ほど経った頃。


『それにしてもここが異世界か。なんか…最初は新鮮に感じたけど…その…なんだ?よく考えたら元の世界でも、タニグチの家以外だと人間領には片脚で数えれるくらいしか行ったことないしのう。そのなんだ。』

「飽きちゃったか。」

『そう、それ。』

「それじゃ帰るか。ラルも仲間外れになっちゃってる感も否めないし。」

『そうじゃのぉ…』




〈それじゃ面白くないでしょ。〉




 途端に解ける縮小魔法。


『え?』

「(やっばい!?)」

[なにあの白い犬?デカ過ぎない!?写真撮ろ写真!]

 突然現れた人影。15mくらい離れたところからこっちに向けてスマホのカメラを向けてる。


「は?タイミング悪すぎる!リル縮小魔法かけて!」

『さっきからしておる!なぜか出来ない!なんで!』

 口調が崩れている。かなり焦ってる。


「逃げて!近くに森があるからとりあえずそこに姿隠して!」

『わかった。またあとで!』

 そう言って即座に姿を消すリル。フラッシュのタイミング的に恐らく写真は撮れてない。撮れていても恐らく残像だ。


〖ねえ!今でっかい白い犬居たと思うんだけど見なかった?今写真撮れたと思ったんだけど写ってなくてさー〗

 中学生~高校生くらいの女性が馴れ馴れしく話しかけてきた。


「うーん。見てないな。うちの犬を見間違えたんじゃないか?それか幽霊かなんかみたんじゃないか?新年早々不運だね~」

 ラル蔵を指差しながら冗談交じりでそんなことを言う。


〔ワン!〕

〖え?…うーんそんなことないと思うんだけどなぁ…そうなのかなぁ…いや、幽霊もそれはそれでやばくないですか?〗

 少女はラル蔵の頭を撫でながら冗談に言葉を返す。


〖見間違いだったのかなぁ。撫でさせてくれてありがとう!じゃあね~〗

 そう言って少女は去っていく。上手く誤魔化せたのかな…


ーーー


「それじゃラルさん。リルのとこ行こうか。」

〔ワフ。〕

 取り敢えず落ち合う場所に指定した森に向かう。


「ラルさんや。さみーな。」

〔ワフ。〕

「帰ったら今日あっちで作ってきたグラタン食べような。ラル用にも作ってあるから。」

〔ワン!〕

「ラル、うるさい。静かに…」

〔ワフ…〕

「まあその前に後ろから来てるさっきの人どうにかしないとなぁ。」

 そう、さっきの女学生(仮)に尾行されている。


「一旦家帰るか。」

〔ワフ。〕


ーーー


 家まで帰ってきた。その前に同じ道をグルグルしたからか、途中から少女も消えた。


「さて、迎えに行きますか。ラルさん。ちょっとあなたはお留守番してて。」

〔わふ。〕

 家から歩くこと20分くらいで森に到着。


「回りの皆さんちょっとすいません大きい声出します…!」

 そう言って大きく息を吸う。


「リルーーーーーーーーーー!!!!!」

『呼んだか!遅かったな!』

 ヒョコッとすぐに現れたのは、縮小魔法をかけれたのか小さくなってるリルさん。ただし泥々で汚い。


「よかったー無事だったか。それにしてもなんでそんな汚れてんの…?」

『白いと目立つからな!泥を擦り付けた。迷彩色ってやつだ!』

「…はぁ。お風呂だねこりゃ。もう0時過ぎて人通りないし、歩き疲れたから元の大きさのリルに跨がって帰ろうと思ったんだけどな。」

『いいぞ、早く乗れい。』

「嫌だ、汚い。このまま歩いて帰るぞ」

『汚い言うでないわ…と思ったがこりゃ汚いのう。言われても仕方ないのう。』

「なんだよやけに正直じゃん。」

『まあな!今ココにはタニグチしか居らんからな!』

 ガッハッハッと豪快に笑う。


「ほーん信頼してるのな。それはそれとして夜だから大きい声出さない。」

『すまぬ…』

 帰る途中、店員以外誰もいないコンビニに寄って肉まん買ってリルと半分こした。勿論ラルには内緒だ。


ーーー


20**年1月2日(木)AM1:00


「着いたー。ラルただいまー。リルお前は風呂場直行しろ」

『わかったのだ』

〔ワン!ワンッ!〕

「ご飯はちょっと待ってな…あの汚いのなんとかするから」

〔ワフッ〕


ーーー


「うし、リルやるぞー」

『頼んだ!』

 そう言ってお湯を流し始めるが…


『あー気持ちいい……冷たいっっ!!!!!!』

「うわ、ゴメン!お湯出しててもたまに水になっちゃうことあるんだ。本当にゴメン!」

 たまにあるよね?お湯出してるのに数秒だけ水が出るってやつ


『ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ル゛ル゛ル゛ル゛』

 今まで見たこと無いくらい怒るリルさん。


「本当ゴメンね?わざとじゃないんだ…」

 そう言ってお湯をかけ直す。


『…ご飯作れ。』

「あれ、言ってなかったか。少ないけど今日の昼作ったグラタンを持ってきたんだけど。」

『しょうがない。許してやる。』

「機嫌治った?ねえ治った??」

 そう言って自分が泥々になるのお構い無しでワシャワシャし始める渓口。


『機嫌治ったのだ。許す………許すから…やめてくれんかのう……』

「そんなこと言わずにさ~」

『……………やめんか!』

 縮小魔法解除。今回は意図的に。



 弾け飛ぶ泥の混ざった茶色い泡


 吹っ飛ぶ渓口


 今回ワシ悪くないってスタンスのリル


 中で何が起こってるのか不安がるラル


 乱闘のゴングが鳴った



「いってーな!この駄犬!」

『なんじゃお主が悪いんじゃろ!』

「そもそもお前が泥だらけになるのが悪いんだろ!」

『しょうがないじゃろ!よくわからん世界でいきなり1匹にされたんじゃから!生きるための生存戦略じゃ!』

「だとしても限度ってもんがあんだろ!真っ黒だったじゃねーか!」

『うるさいうるさいうるさい!!!お前が悪いんじゃ!!!!』

「なんだと!やんのか!!」

『やってやろうじゃねーかこの野郎!!』

〔ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ワンッッ!ワンワン!!!〕


 ラルの一喝に冷静になる1人と1匹。家の中に暫くシャワーの音だけが響いた。


「ごめん、変なスイッチ入ってた…洗い流そっか…」

『ワシも熱くなりすぎた…』

 そう言って再び小さくなるリル。


「取り敢えず綺麗にするからおとなしくしてて…」

『わかった…』

〔ワフ…ワゥオゥン……〕

 風呂場の外から〔やれやれ…〕って聞こえた気がした。


ーーー


「あれ?布団敷いてたっけ?」

 敷かれた布団には定位置…タニグチの足元辺りにラルさんがもう寝てる。


『どうしたタニグチ。』

「いや、布団敷いた記憶無いのに敷いてある…朝に畳んで押し入れにしまったんだけど…」

『そこのほれ、"かめら"とやらに写っとるんじゃないのか。』

 そう言って脚指すのはペットカメラ。最近はラルとほぼずっといるので見てなかった。


『それよりドライヤーやってくれぬか?冷えるぞ』

「あ、ああ…そうだった。風邪引いたら大変だ。」

『フェンリルは風邪など引かんぞ』

「そんじゃーやらんでエエかー?」

『それとこれとは話が別じゃ。やってくれ』

「へいへーい。」

 カメラの映像はドライヤー終わったら見てみるか。


ーーー


「は?どう言うことこれ?」

『こりゃ驚いたのう…』

 リルと映像を見て驚いた。

 映像に写ってたのはラルが押し入れを凝視すると襖が開き、布団がプカプカ浮かんで押し入れから出てくるところ。


「これどう見てもラルがやってるよな?」

『やってるのう。魔法で。』

 驚いた。遂に魔法を使い始めちゃった。


「これはどうすればいい…?」

『どうすればいいと言われてもな…?取り敢えず気持ち良さそうに寝てるし、明日でいいんじゃないか?』

「そうね……グラタンも明日じゃダメ?」

『ワシも眠いし明日で構わんぞ。』

「んじゃ寝るか。リルさん、縮小魔法解除してよ。」

『良いのか?』

「どうせ明日の朝には解けてるだろ(笑)」

『…否定は出来んな……』

「それに暖かいしなぁリルの毛皮。」

『お主、それが狙いか。』

 そう言って解除。やっぱりモフモフはデカイほうが心に効く。あ、ラル蔵を否定した訳じゃないよ?いずれ癌にも効くようになるんじゃないか?それなら俺の寿命も延びるってもんだけど。


「それじゃおやすみー」

『おやすみー』

12本目!


 折角日本(元世界)とニポン(異世界)を行ったり来たり出来るなら、その設定ちゃんと使わないと!てことで今回の話です。

 けど上手く使いきれてない感じがムンムン。もうちょい色々考えないとですね…


 それはそれとして、小説内時間で1日しか経ってないのにイベントごとを大分詰め込んだ。いや、詰め込みすぎた。

 もうちょい分散させてもよかった気がするけど書き直すのめんどーいのでこのままです。まあ(小説内時間)元日なんで良いんです。

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