#1 もって2年くらいですね。
この物語は1人の男が緩やかに死へ向かっていく物語。
20**年12月**日(月)
〖大変残念だけど余命1年…長く見積もって2年かなー〗
「そっかー。それって薬使っても伸びない感じ?」
先生からの気の抜けた宣告に、気の抜けた返事を返した。
〖伸びるっちゃ伸びるけど、また一日中吐き続けるし髪も抜けるよ。〗
「病院幽閉コースかー。それはやだなー。なんか無いー?良い方法。」
〖………〗
「あー難しい感じねー、もう病気になって7年経ってるししゃーなしか。ハハハ」
乾いた笑いで先生に言葉を掛ける。
〖…まああくまで"そのくらい"だからな。〗
「へーい。」
〖と、ここまでが医者としての見解ね。こっからは"良き友人"としての発言だ。〗
「…」
〖ぶっちゃけ気の持ちようだから。〗
「は?」
医者らしからぬその言葉に間抜けな声が出た。
〖いやね、この仕事してるから今まで何人も余命宣告して見送ってた訳よ。〗
「はあ…」
〖んでね、"生きるぞ~!"って前向きになってた人の多くは宣告より長く生きてたんだよね。〗
「…」
〖そんで逆に"生きる気力なんて無い…"て言う人は宣告まで持たなかった人がそれなりに居るんよ。〗
「"根性論"とか"努力すれば報われる"とかそう言うの嫌いだなー」
〖そうだな。言うなれば根性論。"医者"的には根性論とか言う、根も葉もないようなことで一喜一憂させたくないのね。でもね、"友人"としてはこういう事実もあるってことを少し考えといてほしいなって思ったわけよ。〗
「……なーるほーどねー…」
〖あ、そうだ、今度どっか出掛けるか。車出すから。〗
「お、いいね~」
〖こういう楽しみがあるのも生きる気力に繋がるもんさ。〗
「ありがとね~」
先生…こと、年が10も離れた友人の「ユージ」がかなり緩く宣告してるのは、なんか重大なことを宣告する時は、かしこまらずにいつも通り緩くお願い。と事前に言っといたからだ。
ーーー
「はえーそっかー死ぬんかー自分。」
そう言って自分の心情とは裏腹に、気持ちいいくらい真っ青な空のもと1ヶ月に一度の病院からの帰り道を歩く。
ーーー
そう言えば名前がまだでしたっすね。彼は「渓口」と言います。がん患者7年目、もうすぐ8年目の少しばかりふくよかな…言ってしまえばぽっちゃり…さらに踏み込めばデブな28歳。病人ってどちらかって言ったら痩せ細ってるイメージあるでしょ。そんなことないっす。
あ、私ですか。天の声です。たまーーーに出てくると思います。
彼がかかったのは原発不明がんと言うとても珍しいがん。どういう癌なのかと言うと、元々あったであろう癌が転移して見つかったけど、どこから転移したのかわからない…と言う癌。
彼の場合は胸に出来たこれまたものすっっっごく珍しい…確率で言うと宝くじに当たるより低いとか言われる癌が肺付近に発症。なんだったら宝くじが当たってほしかったもんっすね。そんな癌を片方の肺と共に切除したものの、恐らく取りきれてなかった物がこの「原発不明がん」に繋がった…んだと思うっす。
"思う"と言うのは先生ですらちゃんとわからないからっす。それ故の「原発不明がん」ですから。
ーーー
先程から口に出す言葉は、どこか他人事と言うか…事態を軽く受け止めてると言うか…
「ん~死ぬんかー。でもなんか癌で死ぬのは嫌だなーなんか負けた気がする。いや理由がなんであれ、老衰以外で死んだ時点で負けてるような気もするけど。でも死ぬなら自分の意思で死にたいよね~てか死ぬなら異世界とか言ってみたいよね~なんかでっかいワンコとかネコとかと戯れてみたい…ってなに考えてんだろう。死ぬこと考えてるなんて余命宣告って思ったより精神的にダメージ来てるっぽいなぁ。こうならないために緩く宣告してもらったのになぁ。まあ体も心もまだまだ元気ではないけど元気だしだいじょー……」
横断歩道を渡ってたら横から突っ込んできますは2トントラック。
「あっ」
(終わったかも?)
ーーー
「終わってなかった。」
事故(未遂)の目撃者に消毒液やら絆創膏やらヌリヌリペタペタされながら、事故(未遂)現場で手当てされながらポツリと呟いた。
とりあえず結果から言うと死んでない。と言うか轢かれてない。ベタな導入は回避できたようだ。
直前まで「死」と言う考えをしてた割に、体は正直なようで、咄嗟に前に全力でジャンプーーはい、そこ、デブの割に俊敏じゃんとか言わないーーして赤信号を無視してきたトラックになんとか轢かれるのは免れた。ただ、コンクリートでスライディングしたようなもんなので擦り傷だらけ。
[どこ見てんだおめぇ!!]
とトラックの運転手は窓を開けて叫び散らすが
「赤信号で突っ込んできたのお前やろがい!」
と言い返したものの、そのまま運転していなくなってしまった。
「あ~あナンバーと会社名くらい控えとけば良かった。やっぱり人って肝心なときに冷静になれないもんだねー」
そんなことを手当てしてくれた方に呟き真っ青だったはずの空を見上げた。いつの間にか雨雲が立ち込めいつしか雨が降り始めた。頬を水が伝った。
ーーー
「…てことがあってさ~本当嫌になっちゃうよね~」
…と至って普通のゴールデンレトリバーの成犬「ラル蔵」の顔をワシャワシャしながら一人呟く。
〔ワン!ハッハッハッハッ…〕
「おんめなんも考えてなさそうで羨ましいや…まあいいやご飯にしよっかね~」
"余命宣告"、"事故未遂"と言うイレギュラーなことが連続で起こったこんな日も、いつも通りお腹は空くし、いつも通りの時間が流れ、夜は終わってく。
ーーー
20**年12月**日(火)
ジリリリリリリリリリリリリ…
昔ながらの鐘を鳴らすタイプの目覚まし時計が朝6時の家に鳴り響く……と言うかあの音ってストレス貯まるよね……そんな時計を止めるのはもちろん渓口…ではなくラル蔵。
器用に時計を止めると、まだ渓口が寝てる布団にダイブ。そこから起きるまで馬乗りになり布団から出ている部位をひたすら舐め始める。
「う゛っ゛…ラルさんや…朝から激しすぎやしませんかね」
〔ハッハッハッハッハッハッハッハッ…〕
「ハイハイ起きますからどいてくださいな」
布団から出て散歩の用意をする。多少他の人より体力は落ちてても、片肺無いからと言って普段の生活が出来ないわけではないのです。さすがに長時間走ったりは厳しいけども。
ーーー
「さて準備出来ましたし行きますか」
〔ハッハッハッハッ…〕
と、玄関のドアノブを回した。
ガチャッと扉を開けて目の前に広がるのはいつもの風景……を鏡のように左右反転させた風景。
「……………ん?」
一度家の中に戻った。
さっきまで眠気もあったけど、流石に目が覚めた。
「なんかおかしくね?なにこの……なに?」
〔ハッハッハッハッハッハッハッハッ…〕
とりあえずもう一回出てみる…と言うか覗いてみることに。ドアノブを回す。
そこに広がるのはいつもの風景。もちろん反転なんてしてない。
「あれ?なんだったんだ…昨日のがまだ精神的にきつくて幻覚でも見たかな…」
〔ワン!ハッハッハッハッ…〕
「おっと、散歩行こか。」
そうラル蔵に語り掛けて、いつも通りの反転してない世界に歩を進めた。
「なんだったんだろう…」
ーーー
その日はなんにも手に付かなかった。余命宣告が一番の割合を占めてるけど、事故や今朝の謎空間もよくわからないしで仕事も休んで一日中ラル蔵をワシャワシャしてた。
「なんだと思いますーラル蔵さんや」
〔ワン…クゥーン……ワン!ハッハッハッハッ…〕
「答えてくれるわけ無いよな~でもやっぱりかわいいなお前はー!!!」
ワシャワシャワシャワシャとラル蔵をこねくり回す。
〔ワン!〕
「返事だけはイッチョマエだなぁ!…とそろそろ夕方だし散歩行こっかー……まただ。」
目の前に現れたのは反転したいつもの風景。再びドアを閉じ冷静に少し考える。
「なーんで!?2回目は流石に気のせいとか幻覚じゃないでしょ!?!?なぜ!?」
冷静になれるわけが無い。
〔ハッハッハックゥーンハッハッハッハッ…〕
えらく動揺してる主人を横にその場でくるくる廻るラル蔵君。動揺が伝染した様子。
「…ちょっと今日は散歩行かなくていいかな…?」
〔ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛…〕
くるくる廻るのを止め唸るラルさん。どうやら散歩は行かなきゃいけないみたい。
しょうがない。覚悟決めて扉を開けると…いつものnot反転世界。
「なんなんだよこれ…」
ーーー
「どう言うことなんだ…?」
散歩から帰り、風呂で考える。
「とりあえず何があったか羅列するか。」
・扉を開けたら反転した世界。
・扉の隙間から見た感じ、反転してるだけでこれと言って変わった感じはなさそう。
・人も普通に歩いてた。
・車も走ってた。けど右側通行になってたような?
・驚いて扉を閉めて再び開けると元の世界。
・昼間に扉を開けたときは回数関係なく至って普通の風景が広がってた。
「なーーーんもわからんね。知り合いに言っても信じてくれんだろうしどうしよう。」
その後も考えること1時間。
逆上せました。
ーーー
「ケッキョクナンモワカランカッタ」
逆上せて回らない頭で考えた結論がこれ。ダメだこりゃ。
「とにかく明日の朝、散歩に出る時考えよ。明日は明日の自分がなんとかするさ~」
ーーー
20**年12月**日(水)
ジリリリリリリリリリリリリ…
今日は流石に自分で目覚ましを止めて起きた。扉の謎が気になりすぎる。
「顔洗った!スースーするガム噛んでる!眠気ゼロ!よし行くぞ!…反転してますね~」
もう三度目だし驚かなくなった。
〔クゥーン…〕
ラル蔵も慣れた様子。
今回はすぐには閉めない。扉を全開にして見える範囲で周りの調査をしてみる。
ただ反転してるだけだと思ったけど、どうやら違う様子。元の世界では真横に隣接してた家がない。詳しく言うと5軒分くらい家がない。その分空き地…と言うか芝生が広がってる。柵の構造を見るに、ここも(別世界の)この家の敷地みたい。広い。羨ましい。
「よいしょと…」
玄関から覗くように家の裏側を見てみる。
驚くことに家の裏に山がある。勿論元の世界には無い。見える範囲だとそこまで高さは無いけど広大そうな雰囲気。
「なんか思ったより全然違う世界だね。」
〔クゥーン〕
相槌を打つように鼻を鳴らす。
緊張しつつも扉から一歩踏み出してみる。
「行ってみる?よくわからないけど。」
と、答えるはずもないラル蔵に語り掛ける。
〔いいよーいこー〕
答えた。
「じゃー行こか…はあああ!?!?」
聞こえるはずの無い人語に驚く。
「お前が喋ったの!?」
〔いつもしゃべってるよー、タニグチはしゃべってることむししてはなしてくるけどー〕
当たり前だと言わんばかりに話してくるのは他の誰でもない。やっぱりラル蔵である。意味がわからない。また謎が増えた。
あのあと家の中に戻り、また扉を開くと元の世界。ラル蔵も勿論喋らない。とりあえず散歩を済ませて家に帰宅。もうなにがなんだか…
ーーー
余命宣告から2日経った今日。散歩から帰ってきて着替えて会社へ。会社に退職届を叩きつけた。嘘。そんな勇気無いので下から下から申し訳なさそうに届を出した。
幸い養う家族はラル蔵だけだし、住んでる平屋の一軒家は引き継いだ持ち家。2年くらいならなんとかなるくらいの貯金もあるし、あとは好きなことだけしようかなと思ったのだ。足りなくなったら最悪バイトでもすれば良い。
「と言ったものの…好きなことかー。」
昔、病気になる前は、カメラやらドラムやら色々趣味にしてたけど、病気になってからは体力が落ちたこともあり、両方ともまともに出来なくなった。
それ以来これと言った趣味…と言うか"やりたいこと"が皆無なのである。
まあそのお陰で貯金も出来たけど。
片肺ごと腫瘍を取り、病気も緩解した…そんな折に飼い始めたのが不思議レトリバー(に昨日なってしまった)ラル蔵である。
「お前なんなんだよ~」ワシャワシャ
ラル蔵の顔をまさぐりながら話し掛ける。
ラル蔵はあれ以降喋らなくなった。いやそれが普通なんだけど。
〔クゥーン〕
鼻を鳴らし、だらしなくベロをだしてよだれ垂らしてるラル蔵君。
「昨日やっぱり喋ったよなラルさん。まだ信じられんのだけど」
〔ワンワン!ハッハッハッハッ…〕
「ハハハなんも考えてなさそうで羨まs」
言いかけたところで昨日のラル蔵の一言を思い出す。
(いつも喋ってるよー喋ってること無視して話してくるけどー)
「なんか喋ってるんだっけか。ラル蔵さんや。」
〔ワン!〕
「まあ考えたところで答え出ないし、今は趣味ラル蔵君ってことでいっか。」
と結論付けたところで
「……明日別世界行ってみるかーなんとなく行ける条件もわかったし。」
ーーー
20**年12月**日(木)
翌日。
「さーて。行ってみる?別世界。」
〔ワン!〕
「んじゃ行きますか。」
別世界に行ける条件。それは至ってシンプル。ラル蔵を連れていくこと。
「それじゃー早速…せーの!」
景色が反転してる。やっぱり条件はラル蔵みたいだ。
「そんじゃ出掛けてみるか~」
〔いこかー〕
「やっぱりこっちの世界来るとあんさんの言うことわかるようになるんだな~」
もう今さら驚かない。全てを受け入れましょう。ええ。
ーーー
余命宣告から4日、別世界の存在を知って3日目、やっと別世界の玄関の外へ。
ただ反転してるだけと思ってたこの世界も、家の裏に山があるなど違いがある…となると元の世界基準で出掛けると迷子になりそうなので、スマホの地図アプリを開く…が元の世界のデータのままで使えなさそうなので、とりあえずノートと書くものを持って出掛けてみる。
「で結局ここってなんなんだろう。パラレルワールドってやつなのかな。」
〔さぁ。どこだろねー〕
初めてだけど初めてじゃない、そんな風景を恐る恐る歩く渓口とは裏腹に、ワクワクなのかしっぽブンブンしてグイグイリードを引っ張るラル蔵さん。多分アニメとかだったら目がキラキラ輝いてると思う。そのくらいルンルンが隠せてない。
「あんまり引っ張んないでくださーい。迷子になる」
〔だいじょーぶだいじょーぶ。はないいからかえれるよー〕
「そっかー。いつも自堕落だけど腐ってもワンワンだもんな~お前。」
そう過信してノートにメモを取るのを止めて、ラル蔵の思うがままに進んだ。
そう、過信した。
ーーー
「つ゛か゛れ゛た゛~゛」
そう言ってソファーに倒れ込む。
結果から言うと似てるようで全然違う世界だった。
基本的には元世界が反転してる世界だと思ってたんだけど全然違った。
・町並みは家近辺の山、庭(?)を除いて、元世界そのまんまの風景を反転させた景色が広がってる→これはまあ想像通り。恐らく元世界と変わらずこちらも令和。
・文字は日本語、ただし反転してるからか横書きが右から始まる。→明治かな?大正かな?昭和初期かな?
・元世界から持ってきたお金も普通に使える…かもしれない。自販機で100円玉を入れたら認識した→そのあとレバー引いて手元に戻ってきたけどそのまま使ってたらどうなるんだろう…その…経済バランスとか崩れないの?まあ崩れようが知ったこっちゃないけど。
・魔法使い(?)が箒(?)で空飛んでた→早速想定外。この世界自力で空飛べるの?すご。
・それじゃファンタジーとかでよく居る剣士とかもいるのかなーと思ったけど散歩した限りだといなかった→まあ町中で剣ぶら下げてるの怖いよね。
・人形態の犬とか猫とか居た(よくファンタジーで出てくる獣人?みたいな)。周りの反応見るに、居るのが普通みたいだ→もふもふ毛並みの上から普通に服着てたけど…不快指数高そう。
・以前扉の隙間から見たのは気のせいではなく、車や電車が右側を走ってた。それどころか街行く人を見るに左利きが多い。右利きがマイナーっぽい?→元世界の海外は右通行とか左ハンドルとかになるけど、別世界海外も別世界日本とは逆なんだろか。少し気になる。
・元世界で知人の家があった場所に行ってみると、知人が住んでた。知人も元世界から来た自分を見てなんの違和感もなくコミュニケーションを取った→こっちの世界にも自分が居る?それじゃどこに住んでる?こっちに元渓(元世界の渓口。自分)がいる間、別渓(別世界の渓口)はどこへ…?
・別世界への扉を閉じたあともう一回開くと元世界に繋がる(恐らく)(要検証)。
・ラル蔵の鼻は役に立たない。迷子になった。2時間くらい彷徨った。
と、使わなかったノートに羅列していく。
以上のことから推測すると…
「不思議世界があるんだな~」
〔ワフ〕ベシッ
「いたっ」
ほんわか考えてたらラル蔵君怒りの鉄槌(肉球パンチ)が頭に炸裂。
家の中に入ったことで、再びワンワンしか言わなくなったラル蔵君だけど、流石に今のはどういう意図かわかった。言葉を交わせたからか、以前より何が言いたいのかなんとなくわかるようになった…気がする。
「まー猶予はあまりないけど、仕事辞めて時間はあるし少しずつあの扉の向こうのことも考えてみよっか~。あっちだとラルさんとコミュニケーションも今以上に取れるしね~」
〔ワォーン〕
(そだねー)と言ったような気がする。
「それに…あと2年だしやりたい事とことんやってみるかー」
こうして今日も何気ない1日が終わってく。
初執筆だし初投稿だし小説も最後に読んだのいつだよって感じなのでグダグダかもしれませんが、暖かい目で見てください。書く前にある程度色々読んで参考にすれば良かったかもですね。
まだ仮設定のまま見切り発車してるので、どこか矛盾点やおかしなところがあるかもしれないです。もしありましたら知らせてくれるとありがたいです。
今更なんですが「死」って単語のせいで弾かれたりとかってあるんでしょうか。まあどうにでもなれ~
※作内に出てくる病名は実際に存在しますが、あくまで自分で調べた結果の解釈です。間違ってる場合もあると思うので暖かい目で見守ってください。