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家を追い出されて自由になった、腹黒令嬢の新しい生き方  作者: 結生まひろ
第二章 唯一の魔導具を作りたい
40/40

40.もしかして、私以上に……?

「いやぁ、本当におめでとう! よかったなぁ、ローナ、グレン」

「ふふふ、ありがとうございます! 師匠」


 翌朝、グレン様と想いが通じ合えたことを師匠に報告した。

 昨夜はあのまま、グレン様には泊まっていってもらった。

 もちろん部屋は別よ! まだ空き部屋があるので、安心してほしい。


 とにかく、グレン様の想い人がまさか私だったなんて本当に驚いた。

 でも、夢のように嬉しくて、昨夜はグレン様と離れた後も気持ちが高揚して全然眠れなかった。


 それでも元気いっぱいの朝!

 これは幸せパワーだわ……ああ、人は幸せだと、こんなに力がみなぎってくるものなのね。

 生きててよかった……!!



 三人で一緒に朝食をとり、支度を済ませたグレン様をお見送りするため、私は彼と一緒に外に出た。


「それじゃあ、今日も仕事が終わったら寄るよ」

「はい、お待ちしております」

「うん……いってきます、ローナ」

「いってらっしゃいませ、グレン様」


 離れるのが惜しい気持ちもあるけれど、夜にはまた会える。


 ふふふ……なんだかまるで新婚のようね。まだ正式に婚約したわけでもないのに、こんなに幸せでいいのかしら。



 遠くなっていくグレン様の馬が見えなくなるまでその背中を見送って、幸せの余韻に浸っていると、ホーエンマギーの前に馬車が止まった。


「やぁ、こんにちは。君がローナちゃんだね」

「……? はい。あの、あなたは?」


 降りてきたのは、四十過ぎくらいの紳士。どなたかしら?


「ああ、失礼。私はマイケル・テイトと言います。ジョセフの友人で、あなたの話はよく伺ってますよ」

「まぁ、そうなのですね。初めまして、ローナ・レイシーです」


 師匠のご友人が訪ねてくるのは珍しい。丁重におもてなししなければ。


「君は治癒魔法が使えるんだって? それでジョセフと治癒ガーゼを作ったと聞いた。ぜひ私も買わせてもらおうと思って来たついでに、これをジョセフにね」

「ありがとうございます。……それは?」

「彼の好きなブランデーだよ」

「ブランデー? ふふ、きっと喜びます。でも、そんな強いお酒を飲んだら、師匠はすぐ酔いつぶれてしまいますね」


 師匠は、昔からお酒が好きだったのかしら。

 でも、ブランデーだなんて。毎日少しずつしか飲めないわ。


 そう思って言った言葉に、マイケルさんはきょとんとした目で私を見て言った。


「何を言っているんだ、ジョセフほど酒が強い男はそういないよ」

「え――?」


 ……師匠が、お酒が強い?


「でも、今はワインだけでも――」

「おや? マイケルじゃないか。来ていたのか」

「おお、ジョセフ! 君に会えるのが楽しみで、予定より早く到着してしまった」

「歓迎するよ、どうぞ入ってくれ」

「ああ」

「……」


 師匠が店から出てきたことで、話が途中で途切れてしまった。


「どうしたんだ、ローナ。入らないのか?」

「あ……、はい、入ります」


 師匠はいつも通り、穏やかな笑みを浮かべているけれど……。

 まさか、いつも酔いつぶれていたのは演技ではないですよね?

 そんなことをする意味がわからないし……。


「それにしても君が弟子を取るとは、驚いたよ。彼女はよほど優秀なのだろうな」

「ははは、ローナが優秀なのは間違いないが、それよりもとてもいい子だからね」

「しかし治癒魔法という稀少な力が使えることは最初からわかっていたんだろう? 君ほどの男が見抜けないはずないからな!」

「あまり買い被らないでくれ、照れるじゃないか」

「何を言う! 我々世代で一番の策士である大魔導師ジョセフが! 早々に魔導師を辞めてしまったのは本当にもったいないと思っていたが、この店は繁盛しているようだな」

「ただの趣味だよ」

「またまた! これが趣味の範囲か!」

「…………」


 マイケルさんは、師匠と同じ魔導師だったのかしら?

 元同僚ってこと?


 それにしても、彼の口から陽気に語られている師匠の話は、どれも意外なものばかりだ。


 ……まさか師匠は、すべて計算して?


「ローナ、少しの間店番を頼めるかい?」

「はい、もちろんです。ごゆっくりどうぞ」

「ありがとう」


 穏やかで優しく、どこか抜けているようにも見えるいつもと同じはずの師匠が、今日はなんだか隙がなく恐ろしく見えた。



 もしかして師匠は、私以上に腹黒だったりして……?



これにて完結です!

まだまだその後や師匠視点なども書きたい気持ちがありつつ、いつになるか今のところ分からないので完結とします……!!

時間ができたらその後の話や番外編も書くかもしれませんので、ブックマークはどうかそのままでお願いします!( ;ᵕ;)


面白いと思っていただけましたらお祝いに評価★★★★★の祝福を入れてくださるとすごく嬉しいです!\(^o^)/

ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!


よかったら新作の連載も覗いて見てくださると嬉しいですm(*_ _)m

●『寿命が短い私の嫁ぎ先~もうすぐ死ぬので我慢をやめて自由に生きます~』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 婚約破棄からの〜ジレジレ恋愛モノでしたね♪ 定番のテンプレ展開なのに、ローナのすっとぼけたキャラが全く新しい物語を紡いで、楽しく一気読みしました。 〆の話がお師匠様の『腹黒』なのには笑って…
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