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家を追い出されて自由になった、腹黒令嬢の新しい生き方  作者: 結生まひろ
第二章 唯一の魔導具を作りたい
24/40

24.騎士団に行ってみよう

「すごいですよ、ジョセフ殿、ローナ! 稽古で軽い傷を負った者に使ってみましたが、このガーゼを当てたら聞いていた通り、すぐに治りました!」

「おお、それはよかった」


 翌日、お仕事が終わったグレン様は早速治癒ガーゼの効果を教えにきてくれた。


 わざと怪我をして試すわけにもいかないので、騎士団所属のグレン様が協力してくれるのはありがたい。

 怪我をした騎士様たちにとってもちょうどいいだろうし。


「皆感謝していたし、ぜひ購入したいと言っていた」

「わぁ……! それはよかったです。ね、師匠」

「ああ」


 ふふふ、やっぱり騎士団はお得意先になりそうだわ。

 グレン様に協力してもらってよかった!

 この様子なら売り物にできる日も遠くなさそう。

 でも、できれば実際にこの目で見てその効果を確かめたい気もする。


「私も直接確認できたらいいんですけど……」

「そうだな。……グレン、ローナを稽古の見学にでも連れていってくれないか?」

「いくらなんでも、それはご迷惑では――」

「いいですよ」

「えっ? ……いいんですか!?」

「もちろん。むしろ大歓迎だよ」


 そんなにあっさり許可してくれるなんて……。


「ですが、私のような者が行っては、稽古の邪魔になるのでは」

「そんなことはない。王宮に出入りしているご令嬢たちがよく、騎士団の稽古を見学しているよ」

「そうなのですか?」


 それは知らなかった。

 私は王宮に行く機会なんてほとんどなかったから。

 もちろん騎士団の稽古を見たことは一度もない。


「よかったな。試作品の治癒ガーゼを持って、早速明日にでも行っておいで」

「では、昼頃迎えに来よう」

「そんな、お迎えまで来ていただくわけには……!」

「大丈夫。俺がそうしたいんだ!」

「私もそのほうが安心だ」

「……ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします」

「ああ!」


 なんだかグレン様に押し切られたような気がする。

 でも、迎えにきてくれるのはありがたい。

 王宮に一人で行くのは緊張するもの。




     *




 そして翌日のお昼頃。

 早めに昼食を済ませておいた私のもとに、約束通りグレン様が馬で迎えにきてくれた。


「グレン様、こんにちは」

「こんにちは、ローナ。待たせたね」

「いいえ……」


 今日のグレン様はいつもの服装とは違う、騎士服を身にまとっていた。

 仕事の後にホーエンマギーに来るときは、着替えていたのね。


 こうして見ると、グレン様が騎士であることに深く納得できる。

 王宮騎士団の制服を着こなしていて、腰には剣を帯びている。


 なんだか格好いい……。


「どうかした?」

「あっ……いいえ、なんでもありません」

「そう? それじゃあ行こうか」

「はい……よろしくお願いいたします」


 馬の上から手を差し伸べられ、その手に掴まると優しく身体を引き上げてくれた。


 馬で行くのね。

 そうよね、グレン様はお仕事中に抜けてきてくれたのでしょうし、急がなければならないものね。


「落ちないように、俺にしっかり掴まっていてね?」

「は、はい……!」


 言われてグレン様の腕をぎゅっと掴んだけれど、彼の筋肉質な胸板が私の身体と密着している。

 顔もすぐ近くにあるし、一緒に乗馬するのは二回目なのに、以前よりもドキドキしてしまう。


 違うのよ……落ちてしまっては大変だから……危ないから、しっかりくっついていなきゃいけないだけよ……!


 勘違いしてしまいそうな距離感に、胸の鼓動がグレン様に聞こえてしまわないよう深呼吸をして。

 早く王宮に到着してくれることを願った。



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