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孤児院での日常と勅令

俺は赤ちゃんのふりをしながらこの孤児院に馴染んでいた。


しかし、この孤児院は貧乏でなんとかシチューを作って出すが材料が足りなかったりしている。周りを見れば瘦せこけた子供たちと、シスター。そしていつ崩れてもおかしくない建物。


たまに揺れいるのが恐いな。うん、マジ恐いわー。


夜になると俺は少し、魔法を試すことにした。


「あうあうあー。」〝リペア〟


崩れていたり、罅が入っている箇所に魔法をかけて、まるで時が戻っていくかのように修復されていった。

後は適当にオークの死体でも置いておこう。ポイポイと四体分。それから調味料にミルクも少し飲ましてもらわないといけないからな。


そして俺は眠りについた。


そして翌朝。


「きゃーー。」と言う叫び声で俺は起き上がる。


なんだ敵襲か?そして周りを見回す。

そこにはオークの死体に驚いているシスターがいた。


腰が抜けて座り込み、恐怖に肩が震え、青ざめた顔をしている。

俺はそんな姿を確認して、もう一眠りを決めて横になった。


俺が次に起きたのは・・・

「おぎゃーおぎゃー!」と泣いている隣の赤ちゃんのせいだった。


「はーい、泣き止みましょうね!」とシスターがあやしている。


俺はそんな様子を見ながら・・・

「あうあうあー。」と叫んだ。子供のふりをしないとな。


どうやら朝食はオークを使った料理だった。

朝からオークのステーキとは豪華だな。

美味しい匂いがしているが、俺は食べれない。がっくりしている。


俺は解体が出来ないから、ちゃんと解体して食べてくれてるみたいで嬉しかった。


皆の顔が笑顔になっているようで嬉しい。

シスターが天井を見たり壁を見たりしていた。


「えっ、どうなっているの?」と疑問の声を上げた。

「どうして直っているの?」もうわけがわからないらしい。


赤ちゃんを他の子に任せ、壊れていた場所の壁をなぞったりしている。


「直っている。まるで夢を見ているようだ。」と驚いた。


「そうこれはきっと夢なんだわ。私たちは皆、この家の下敷きになって死んでしまったのよ!」と現実逃避だ。


うん、わかる。ごめんもう少しゆっくり直して行くべきだったね。

俺はとにかく笑顔を浮かべるしかなかった。

疑われない様に・・・にっこ、にっこだ!


もう一人の赤ちゃんの名前はエイナと呼ばれていた。


ふむ俺の名前はテトなのだがどうするか?


バレないようにテト、テトと風魔法で子供たちに呼びかける。

そしてテトと呼ばせる作戦!これで俺はテトの名前を呼んでもらえると思った。

ちょっとわくわくである。


「じゃあこのこの名前は・・・」と年長の女の子が喋りだす。


「アルマゲス・ロドリゲス・ジュニア・アントロニーノ・デッセンバー・コゲチャ・マルマル・デロリアン・トースト・カンナゲーノ・オーク・ゴブリン・・・」と何やら手の中で数えている。

「長いわ!もっと短くテトでいいだろう!」と思わずツッコムために喋ったのは仕方のないことだろう。


「はっ!おやあや。」と目を開いた後、誤魔化したのは仕方ない事だろう。


「えーとということで赤ちゃんの希望でテトに決まりました。」

「あうあうあー。」なんとなく納得いかないぞ!しかし子供たちだけで良かった。

たぶん子供たちが考えた名前の候補達だったんだろうね。

そうだそうに決まっている。


「名前決まったの?」とさっきまで洗濯してきたのだろう、腕まくりしているミレーヌさんが帰って来ていた。名前は皆が呼んでいたので把握している。


「うん、テトに決めた。」

「やっぱり長い名前は覚えきれないからダメよね。」

「そんなことないぜ!長い方がかっこいいだろう。」と男の子たちが頷いていた。


「あなたたちが考えた名前可愛くないのよ!」

「そうよ!そうよ!」と他の女の子達が言っている。


二大勢力の睨み合いが始まったところで、手をパンパンするミレーヌさん。


「はーい。お昼ご飯の準備をしますよ!」そう言って皆で昼ごはんの準備を始めた。

俺は哺乳瓶を片手にその様子を見ていた。

エイナが欲しそうにこちらを見ている。

俺は美味しそうな顔でミルクを飲んでいった。


仕方ないんだ。これは俺専用だから・・・


泣きそうな顔になるエイナ。


俺はもう一杯ミルクを飲む。

それしかできることはないから・・・


「おぎゃーおぎゃー。」と泣き出すエイナ。


そんなエイナにミルクを飲まそうとゆっくりとコップを傾ける。

ごめんよ。俺を恨めしそうに見ながら飲んでいた。


いつか回り回ってその恨みを晴らしに来ないでね!と祈るしかなかった。



そうして何日か過ぎた時に、帝国の兵達がやってきてこう言った。

俺達は皆片膝をついて座っていた。


「我々は日頃の・・・あぁ面倒くさい。」と兵士が途中で読むのをやめる。

それを投げ、ミレーヌさんがキャッチした。


いやそれでいいのか?


「あぁ、要するに次期皇帝ルッソ・バーン・ロード様が自らの威光を示すためにサッカー大会を開催するそうだ。お前たちはそれに参加して、孤児院の支援金を勝ち取れとの通達だ。以上。」と締めくくってそこを出て行こうとした。


「あのすみません、よくわからなかったのですが?」と聞く。

「要するに支援金を増やすも減らすも、そのサッカー大会次第ということだ。」


「そんな!」と皆が驚く。


「まぁこの帝都だけでも孤児院は沢山ある。優劣をつけて統合したいんだろう。そして負ければ・・・」と神妙そうな顔になる。


「負けたらどうなるのですか?」とミレーヌさんが聞いた。


「そんなの補助金の打ち切りに、場所も取り上げられちまうだろうさ。そして子供達は奴隷落ち、今の内に身の振り方を考えておいた方がいいぞ!」とそんな事を言って去って行く兵士。


それを聞いたミレーヌさんは倒れ込むしかなかった。

「このメンバーでどうしろと・・・」辺りを見てぼろきれを着た皆を見て嘆くしかなかった。

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