知らないうちに勘違い
俺はどうしよっか?と考えながら、ふわふわと空を揺られていた。
景色は非常にいい。
帝都の明かりと、空の星々。
月がなんだか大きく、近いのもグッと来るポイントなのかもしれない。
「ファンタジーだな。」と感慨深く思った。
だが下を見れば俺は・・・
「うん、超恐い。」と空の高い所でガクブル状態だった。
魔力で飛べているとはいえ、高所恐怖症は中々に治らないものだ。
そしてツクモさんとは結局公爵邸で別れ、離れ離れ・・・寂しい。
一人になって相方の大切さがわかるもんだなと俺は感じた。
そろそろ俺も離乳食を食べれる時期かもしれない。
しかし、それは俺が判断できることではない。
つまりどの道、この帝都に保護者を求めないといけないと言う結論にたどり着く。
ちょっとの間、寄生しようと考えた俺は、孤児院の前に捨てられる覚悟をする。
どこかぼろくて、養ってくれる孤児院はあるかな?
ごくごくと哺乳瓶でミルクを飲む。
自動でミルクが哺乳瓶に補給される。
なんて素晴らしいミルク魔法瓶!
そんな考えごとをしている俺の耳に・・・
「おぎゃーおぎゃー。」と言う同じ年代ぐらいの赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
俺はそこに近づき窓から中の様子を見ると、子供達が皆で赤ちゃんをあやしている所だった。
「ふむ。」と俺は考え・・・
「よし!」とここに住むことを俺は決めるのだった。
亜空間の誰かが持っていたバスケットぽいものを借りて、布を敷き詰めていく、その上に自分が寝そべれば完璧!捨て子のテトの完成だ!
近くの花置き場に置かれておこう。
捨てられてからの拾われて、皆にちやほやされる。
完璧な作戦!
後はここで拾ってもらえるまで待てばいい。
「あれ?でもまだ夜だぞ?」
「まぁ、寝よう。」と俺は考えるのをやめて、温かい布を亜空のシェリーからパクリ。
さむがっているようだが・・・男から盗むのもなーと思い。
風邪を引かない様に願うしかなかった。
「テト様ひどいです。」とか寝言で言っていた時はドキリとしたが。
「オークの丸かじりの独り占めは!」と涎を垂らして言っている。
うん、シェリーだと俺は納得して画面を見るのをやめた。
そして夢の世界に旅立つのだった。
しかし、そんな寝ている俺の前に暗殺者風の者が現れる。
「ふむ、不審がられて捨てられたか?」と何やら物騒なものいい。
俺はその者に連れ去られていくのだった。
「これはまさか・・・黒髪だと!」と今寝ている俺を見ている者がいる。
その者は次期皇帝と噂のルッソ・バーン・ロードだった。
「はい、そうみたいです。」と跪いているさっきの男。
「ああ、何と言うことだ。」と頭を抱えた。
「殺しますか?」
「馬鹿言うな!信じてはいないが・・・祟られたらどうする!」と激高する。
「となると、元の孤児院に戻しますか?」と聞く。
「それしかあるまい。」と忌々しそうに言う。
「これで第一皇子の妃を追い落とす事ができなくなった。」と壁を殴った。
「黒髪なら孤児院に捨てられるのは当然です。」
「兄上の子が帝位につく可能性も考えたが・・・黒髪では皆が反対する。それに、身内から黒髪が出たと知られたら・・・」
「はい。ヤバいですね。陛下の覇道の邪魔になりそうなのは結局、公爵家出身の妃くらいだったのですが・・・これでは無理でしょう。」
「天は私に味方しているのか?それとも敵対しているのかわからなくなったぞ!」
早朝、暗殺者は俺を元の位置に戻した。
そんなやり取りを俺は知らない。
実際の標的はあそこで泣いている女の子だと暗殺者は気付かなかった。
「ふわぁーよく寝た。」と俺は起き出した。
目元を拭き拭きして・・・
「は?」と俺を見ている沢山の視線に気付く。汗がだらだら出てくる。
「いぎゃおぎゃー。」と俺は全力で赤ちゃんアピールだ!誤魔化せ我が演技力!
「なんか喋ったような気がしたんですけど・・・」と大人の女シスター。
「わぁー赤ちゃんが喋った!」と嬉しそうな顔の男の子。
「そんなわけないでしょ!誰か腹話術を使ったに違いないわ!」とそんなことを言ってくる女の子。
「あーなんだ。」と子供の皆ががっくりしていた。
「そうよね!」とシスターも頷いていた。
「あうやー。」と、隣を見ればもう一人の赤ちゃんがいる。
なんだか嬉しそうだ。
俺はこいつとは仲良くやっていけそうな気がした。
「あうあー」よろしくと言ったつもりだ。
「あうー。」と嬉しそうだった。
おおう、天使じゃない!と俺はこれからちょっとの間この子を可愛がるのだった。
「妃様貴方の追放が決まりました。」と宰相が言ってくる。
「そう。」と返事をする。
もしかしたらあの子も捕まって・・・と子供の心配をした。
「しかし水臭いですね。」
「何がですか?」と私は聞き返す。
「おや?私の耳に噂話が入ってきたのですが・・・第一皇子の子が黒髪だと言うね!」と恐い顔をする。
私は驚いた顔になる。
そんなはずはない、確かあの子は私と同じ金髪だったはず!
私は平静を装う。続きを宰相に促した。
「なに、ただの噂話ですよ。」とそれ以上のことを話してくれなかった。
「ただ、そんな噂が出た以上、貴方をここに置いておくわけには行きません。次期皇帝からの命令で貴方を実家に戻すように言われました。」
「そう。」私はとにかくあの子の無事を祈り続ける事しかできなかった。
ブックマーク、評価お願いします。




