焼いてしまうもの
時刻は夜だろうか。
ローラー形態になり加速する。
近くの建物を中心に壊しまわった。
警備兵が駆けつけてくるとウォーターボールを飛ばして気絶させ。
フルプレートの奴を見つければ星にした。
あの男を探したがいないな?
一体どこにいるのか?
もう家に帰ったか?
いや夜、貴族がやることと言えば一つ。
「飲み会だ!」
「せめて夜会と言いましょう。」とツッコミを入れるツクモさん。
「ああ、美味しいものをすべてアイテムボックスにしまってやろう。」
「賛成です!」とノリノリだ。
俺は明かりがついているパーティー会場に乗り込むことに決めた。
ゴースは夜会の端で、皆が楽しんでいるのを嫌そうに眺めていた。
どうして皆、楽しい顔をしてパーティーをできるのかわからない。
同僚が同じ仲間に殺されたんだぞ!
俺の心は荒れ狂っていた。
一体誰がこんなことを?
皇帝は崩御され、次に皇位を継いだ第三皇子か?
あり得るな、あの皇子は強硬派で特に王国に対して戦争を仕掛けようとしている節がある。
もちろん魔国とも隣接しているため、そう簡単に戦力を動かせない。
何か策でもあるんだろうか?
「皆、楽しんでいるかね。」
情報局の最上位 統括官 ダーメン・ダ・ムリダ―公爵がここに現れた。
一瞬見てこんな上官の元で仕事をしたら、命がいくらあっても足りないと言うことがわかる。
その横には女性のチロリ・ロ・ロリック侯爵がいる。
決して身長が低いわけではない。
むしろ高いくらいだろうか、灰色の髪に何か恐ろしいものでも取り付いているかのようなそんな女だった。
「あら、そこにいるのは剣風のゴース様。」と駆け寄ってくるチロリ。
喋らず頭を下げた。
今は話す気分じゃない。
そんな殺気をバラまいている俺。
それを涼しい顔で受け止めるチロリ。
「貴方には私の妹がお世話になっているわ。」と返してくる。
「ま、まさか!」と瞬時にこいつには勝てないと悟る。
その会話でこの人物の妹が誰か察してしまう。
〝百面相の姉だと!〟俺は驚愕した。
「あらそんなに恐がらなくていいわよ!」と耳元で囁いてくる。
「・・・」答えることができずに固まる。
そんな俺を見つめてくる。
「妹のお気に入りか、私が食べちゃいましょうか?」そんな風に言ってからかってくる。
俺は蛇に睨まれた蛙状態だった。
「ふふ冗談よ!」と緊張の糸が切れえる。
「はーはー。」と気付けば呼吸をしていなかったみたいで肩で息をしていた。
その息を整える。
「お戯れを。」と言ってその場を後にしようとして・・・
ドッカーンと言う音、ドアが蹴破られた。
目の前で起こっていることが信じられない。
スローモーションのようにドアの破片が辺りに散らばる。
「どこだー。」と男の声が聞こえた。
黒髪の男か女かのどちらかわからない外見をしている。
俺は思わず大剣に手を・・・くっそ!今、武器は預けている。
チロリが少し後ずさる。きっとどうやって逃げるか考えている?
勝負しないのか?
本能が逃げろと言っているのかもしれない。
それほど危険な存在?
チロリが魔法を唱える。
「疫病神め!スモーク!」と言って辺りを煙が包んでいく。
その隙に逃げるつもりだろう。
だが、そんな女の悲鳴。
どさっと何人かが倒れる音が聞こえる。
悲鳴の音が止んだ。
全員やられたのか?
俺は煙の中のそいつを睨みつけた。
勝てない、だが引けばやられる。向かうしかない。
やれるか?やるしかない俺の全力をそいつにぶち当てる。
クロンへの思いを八つ当たりを受けてくれ!
「炎剣!」魔法の炎のみで造られた剣。
俺の全魔力、こいつに!
〝見えた!〟と駆け寄って振り抜く。
「ファイヤースラッシュ!」
そして私の攻撃は盾に使われたムリダ―公爵を焼いたのだった。
「ぎょええー。」と言う奇妙な叫び声が辺り一帯に響き渡り・・・
俺の意識は魔力切れで途絶えた。
「嫌いな上司の男っぽい奴をもう何発か殴る予定だったんだが・・・アースショット。」魔法で窓をぶっ壊した。
「これでは仕方ありませんね。」と黒焦げのムリダ―。
仕方ないので頭を禿にしておこう。
そう言う呪いをかけたのだが、それはかつらだったらしく。
取れてしまった物を取り敢えず焼いてしまおう。
「ファイヤー。なんと虚しい魔法の使い方だろうか・・・」と俺は嘆いた。
「まぁ上司がかつらだったという証拠を処分したんだ・・・感謝して欲しいな。うん、じゃあ一生かつらをつけられない呪いでもかけるか?」と真剣に悩む。
まぁいいかと屋敷の外に放り投げた。
「そう言えばご飯は?」
段々と煙が窓から外に逃げていく。
そこにあったのは散乱している食べ物の数々。
机は倒れ、もうどうすることもできない。
「オーマイガー。」と俺は項垂れた。
「あーあ。」と残念がるツクモ。
俺は食事を盗めなかった腹いせに!
この公爵邸を徹底的に壊して周り、そして瓦礫の山を築くことに成功した。
もちろん台所にあったミルクは盗んでおいた。
金銀財宝もゲットだぜ!
「やったー。」と喜んだのは仕方ないことだろう。
「さてと、どうしようかな?」と瓦礫の山を見ながら、ツクモさんに聞いてみる。
どうやらこの騒ぎに気付き近づいてくる兵士の人達がいるようだ。
隣には足だけが地面から生えているムリダ―。
こいつ人質に使うか?
「テト様お願いがあるのですが・・・」といつもと違い真剣な表情になる。
「何かな。」とツクモさんのお願いとは珍しいと思いながら聞くことにした。
「しばらく別行動をしたいのです。」
「へ。」と俺は聞き返したのは仕方ないことだろう。
「必ず、戻りますので!」と頭を下げられれば俺も・・・その願いを無下にすることはできなかった。
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