フラストレーション!
俺は迫りくる天井を見ていた。
「ふーむ。」と考える。
「俺って潰れるかな?」そうツクモに聞いた。
「あのくらいならへっちゃらです。むしろ向こうの方が凹んでしまいますよ。」と笑顔だった。
「なるほど・・・となると、クロンは助けるとして、他の人達を助ける必要があると思うか?」俺は聞いた。
「助けるべきですね。」
ゆっくり、ゆっくりその天井が落ちてくる。
「その心は?」
「テト様帝国を建国するために!」と目をキラキラさせている。
「あーあ。」と変な目で俺はツクモさんを見た。
確かにな、内政って意外に楽しいが・・・結局人がいないとそれも意味がない。
こいつ等があの亜空間世界に来てくれるなら、使い道もあるかもしれない。
「それに・・・あの男、好きになれそうもないしな。」
今はもう、天井が近づいていて見えなくなっているが、上から見てくる男のことを思い浮かべる。
「ただしギリギリまで、こいつ等は恐い思いをしてもらおう。」
今、死ぬんだって顔のスパイの方々を見やった。
「帝国への叛意ですね。気持ちを完全に帝国から離すのなら良いことです。」と頷いている。
「悪い事だな。」
「それは帝国にとってです。」
スパイたちが地べたに横になり最後まで生きようともがくが、もうどうすることもできない状況で、俺はこいつ等を一人ずつ亜空間に放り込むのだった。
近くにはゴブリンの遺体でも置いておこう。
アイテムボックスから死体を出して辺りにバラまく。
そして俺は潰れなかった。
何かが外れる音がする。
そうしたら、ガキガキ、ボコボコと変な音がしてる。
「どうなったんだ?真っ暗だぞ?」
誰かの足音がする。そしてセットする。
その足音はまた去って行く。
そうすると天井が上がっていった。
暗視モード、周りがよく見える。
そしてここで死んでしまった魂達がウヨウヨしていた。
「あ、これあのパターン?」と汗が出てる。
「忠誠心が高い臣下の出来上がりですね。」嬉しそうにするツクモ。
「はいはい、俺は別にスライム軍団を作りたいわけじゃないんだが・・・」と戸惑う。
「スライムはいいですよね。安上がりで・・・いっそのことこの帝国をスライム化したらどうです?」
「あのなー俺を暗黒サイドに勧誘するなよな!大量殺人鬼になりたいわけじゃないんだぞ!」と抗議した。
「えーその才能はあると思いますが・・・」
「なんか、キャラが違ってきてないか?」
「おほん、そうでしたね。」と冷静な顔になった。
「今更取り繕ってもな。」と返しておいた。
〝生き返りたい〟
〝あいつに復讐を!〟
〝お願いだ〟とか周りをこいつ等がうろついている。
〝うう、ごあーーー〟
〝どうえ〟と声にならない声を上げている者達もいる。
「うん、恐い!」俺はちょっと震えた。
なんか肝試しにきて、死体が所々に合って、そこに漂う人魂。しかも怨念のような声で語りかけてくるおまけつき。
「うん、恐いね。」大事な事なので二度言った。
「大丈夫です!私が防御しているので、この中には入って来れません!」
「うん、た、助かる。」と俺は若干縮こまった。
それから奴の天井制裁は続いて行き、俺の同情で全員亜空間に確保した。
ゴブリンの死体をポイポイ巻いて、潰されを繰り返した。
そしてそろそろ終わり見たいで、奴の姿は上のガラスから消えていた。
俺は頃合いを見計らって人型形態になる。
雨を降らすわけにはいかないな。
となると一魂しい事に・・・
「ウォーターボールからのフュージョン。」
魂達をスライムにして亜空間に放り投げて行った。
これ切りないぞ、むむ。
「どうされますか?」と楽しそうにするツクモ。
一体何が楽しいんだろうか?
もしかして俺を試しているのか?
「ふむ、なら魔法のコントロール頼むぞ!ウォーターバレットからのフュージョン。」
魂が水と触れて融合して行く、沢山のスライムが出来上がっていた。
ぴょんぴょん元気に飛び跳ねている。
俺はスライムの皆に亜空間に飛び込むことを促した。
何匹か飛び込むのを躊躇っているのがいる。
「どうした?」と俺は聞いてみる。
まぁスライムが話すわけないな。と思っていると。
「このスライムは家族がこの帝国にいて心配だ。とのことです。他のスライムも似たり寄ったり。頷いているみたいですね。」
「なるほど・・・。」と思わず呟くが・・・
「ツクモさん、スライム語もわかるの?」
「わかりますよ。亜空間の管理のため学びました!」とエッヘンと誇っている。
「どうするかな?」と言って大きなリュックサックを取り出して中にスライムに入ってもらう。多少ギュウギュウ詰めになったが仕方ないだろう。
「うん、これって肌と肌があっているのか?スライムってどうなんだ?」
「知りませんよ!中に核があるから、周りは服なのでは?」
「そんな考え方もできるのか。」
「バカな事言ってないで逃げますよ。」と逃亡を促してきた。
「はいはい。」と適当に返事をした。
だがこの時、俺は気付かなかった。それ等も生き返っていたことに・・・
「毒は蒔きましたよ・・・。」
「何か言った。」とテト様が聞いてきたが・・・
「いえ、何でもありません。」と二人はこの部屋から出ていくのだった。
「?」嬉しそうな顔をするツクモさん。
なんでそんなに嬉しそうなんだろうか?まぁいっか。
俺はドアから少し離れて魔法を放つ。
「バタリングラム!」
地面が隆起する。
それが破城槌のような形状を取り、ドンと言う音と共にドアをぶっ壊した!
「これ気付かれるよね?」
「気付かれますね!」
そんな二人のやり取りを二人は楽しんでいた。
「もう少し手加減した方が良かったかな?」
「いえ、やるなら派手にやりましょう!」
まぁだが、それだけフラストレーション溜まってるんだよね。
あの上司と同じ類の人間だったな。
俺はあいつに一発入れないと気が済まないのだ。
「イリュージョン。」
俺は幻術で疫病神形態を取り、疫病神のお仕事を始めるのだった。
「胸糞悪い光景を見せられたからな。その代償くらい払ってもらって、逃げようか・・・」と拳に魔力を乗せていた。
「流石テト様!」と今回は妙に乗り気なツクモさんだった。
「お祭りだよ。神様のためのね!」と俺は意外に暴走状態だったりしていた。
「やっちゃいましょう!この国を沈めるくらいに!」
ファイティングポーズで煽り続けるツクモさんの目が・・・怪しく輝いていることに俺は気付いていなかった。
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