その先にあるものは・・・
残酷な描写があります。
私はクロンと別れて気落ちしながら進んでいた。
どうやら広い所に出た。
私が向かった先で演説する男、上層部の人間か?
「ここに集まったお前たちは優秀である。生きる権利がある。」
「うん?」と疑問に思った。
「愚図でのろまで役立たずなスパイは生きる権利はない!」と皆が歓声を上げる中。
悟った私は振り返って、走り出していた。
さっきの場所まで戻ろうとする。
しかしそこに槍を持ったフルプレートの兵が二人。
私の首に槍を持ってクロスさせてくる。
「どこに行かれるのですか?」と聞いてくる。
「くっ!」と言う苦々しい思い。
二人を倒そうとするが、武器を持っていない私は取り抑えられた。
「くそったれ!」と俺は叫ばずにはいられなかった。
「クローーーーーン!」とゴンと槍の柄で殴られて、私の意識を刈り取った。
クロンはゴースと別れて進んでいた。
なんだか暗くて恐い場所、少し震えた。
まるで何かが出てきそうだ。
兵士が立っている場所があった。
「ここ?」と疑問に思って声をかける。
「おいお前、早く入れ!」
「そうださっさとここに入れ!」と腕を捕まれて有無を言わさずに中に入れられた。
あっという間に扉は閉められる。
「えっえっ。」その強引さに訝しがる。
私たちが帝国にどれだけ・・・尽くしたと思っているんだか。
改めて抗議しようとしてそこに手をかけようとした。
開けるためのドアノブの取っ手がこちら側にない。
なんでだ?私は疑問に思う。
今はいいかとこの空間の中央に向かって歩き出した。
暗い空間で、良く見えない。
そこが真ん中なのかもよわかってなかった。
たぶん、何人かいる。そして何か変な匂いがしてくる、
そして、足元に何かが当たる。
私はそれが人だとわかる感触だった。
そして上から声が聞こえてきた。皆が皆それを見上げる。
上の一部分、ガラス張りの所が照らされる。
そしてそこに誰かが現れた。
「無能なスパイども!」
そこに立っているのは情報部のお偉いさんだった。
「これは一体どういうことだ!」
「そうだそうだ!」と叫ぶ人達がいる。
周りには十人くらいいるだろうか。
そして明るくなったことで、死体があることに気づく。
「きゃー。」と叫び声が上げて尻もちを着いた。
その男は何かに潰されたようなそんな死体だった。
周りを見れば所々にそんな死体がある。
私たちはそんな死体に囲まれていた。
ここにいる人達の顔が恐怖に染まる。
「その者たちは貴様たち無能の成れの果てだ。」
男はワイングラスを片手に、部下がワインを注いでいる。
「ふざけるな!」
「何言ってんだよ!」
「わけわかんねー。」
「これまで帝国の発展を邪魔してきた無能共よ!」と言ってワイングラスを回す。
「さようならだ。帝国の無能なゴミよ、ゴミ捨て場にはちょうどいいだろう。」とワインを掲げた。
天井がゆっくり、ゆっくり下りてくる。
「そ、そんな!」
「ママ!」
「パパ!」と言っている二人が抱き合っている。
「俺達は帝国のために尽くしてきたんだぞ!」と抗議する者達。
そんな叫び声をその男は、よい歓声だと思っているのだろう。
震える手でクロンは・・・ウッテさんのこと、ゴースさんや、辺境伯領で仲良くなった人達。これは・・・それを裏切った罰なのだろうか。
「へへへ。」と脱力したように笑うことしかできなかった。
ごめんなさい、皆。
帝国と王国の和平なんて夢幻だったよ。
ゴースさんからの連絡をそのまま帝国に送っていた。
それ以外、私が報告する内容は帝国と王国の和平への道の内容だった。
よくダメ出しをされたというか、すべて却下された。
それでも何度も上司にそれを提出したら、呆れられてしまう始末。
迫りくる天井に懺悔と共に、二つの国の平和がここに断たれた事を知った。
「最後にウッテさんに会いたかったなー。」そんな言葉と共に私は押しつぶされる。
「いつもいつも思うが・・・最後の瞬間を見れないのが、残念でならない。」その男はそう呟いた。下の方に設置すると、ガラスを破られるという理由で却下された。
押しつぶされている者達がいる。
「そうですね。」とそれによりかかる女がいた。
この二人は狂っているのだろう。
後ろの護衛の者が冷や汗を掻いている。
気が乗ると人を殺しかねない上層部の人間だ。
「戦争が始まる。そうしたらもっと悲鳴を聴けれる。」
まるで人の叫びを歌のように思っているのかもしれない。
「拷問だって沢山できますわよ。」と嬉しそうだ。
そんなことを二人で語っていた。
「うん、ここは?」と私が起きると見知らぬ場所にいた。
気付けばあの場にいた他のスパイもここにいる。
一体、何が起きているのか?私は混乱状態だった。
そこには大きな畑と、向こうには街が見える。
天国か地獄にでも来たのだろうか?
他のスパイたちも何が起きたのかさっぱりわかっていないようだった。
そんな私達は取り敢えず町の方向に歩いていく事にした。
しばらく歩いて行くと・・・
お酒を私たちにと言うハチマキをして、この世界にお酒を!とかかれている法被をしている集団に出くわした。
木の棒を持ち、なんだか踊っている変な人達。
その真ん中にウッテさんがいた。
私は・・・ウッテさんだからと、この現状を受け入れることができたのだった。
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