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懸賞金

俺はそれからなぜかウッテ達に懸賞金がかかったことを知った。

各地にウッテとダストの手配書がまわる。


ネズミたちがその手配書を持ってきていた。


「?」俺はこんなに懸賞金が跳ねあがるとは思わなかった。


金貨一億枚?何それ普通じゃないぞ!

銀貨十枚で金貨一枚。銀貨一枚銅貨十枚。


俺は一瞬ウッテ達を突き出そうかと思ったりした。


「うん、それも悪くないかも。」


「冗談はそれくらいにしてください。」

「冗談じゃないよ。本気だよ!」

「そうじゃないと私はわかります。」くっそ心を読みやがってる。


「ふっ、ちょっとそれもいいかなと思っただけじゃないか?あんなにお金があったらスローライフだって夢じゃないよ!」

「そのかわり大事なものを失いますが・・・」


「はいはい、俺に修羅の道を行けと言うんでしょ!」と返しておいた。

「ふふふ、わかっているじゃないですか。」何が嬉しんだか・・・


「ははは。」

「ふふふ。」と二人して笑いあった。


俺は八つ当たり気味に亜空間のウッテと、ダスト二人の前に懸賞金のチラシを落としてやった。


ウッテはその紙を拾い上げて青い顔になった。

まるでこの世の終わりのよう顔だ。

誰にも気付かれない様にびりびりと破いていたな。


ダストはその手配書を見て怒り散らす。

物に当たって街中の店を壊していたりする。

そんなダストをハルが鉄拳制裁していた。


そしてその紙を拾い上げて、へーはー。

「何やらかしたんだ?」と警戒するのだった。


「あの二人は面白いですね。」

「そうだなタイプは違うが、必要な人間だろう。」


呆然と立ち尽くすウッテ。

ハルにボコボコにされるダスト。


俺は画面越しにこの二人の未来に思いを馳せていた。




クロン達はウッテ達を探すため、城塞都市コーンに入っていた。


一日目はゆっくりと情報を集めた。

そして二日目の朝、事態は急変した。


なんとウッテ達が脱獄したらしい。

街中を兵士たちが探し回っている。


「えっ、どうやって脱出したの?」と私は困惑する。

それよりウッテさんが無事なのが嬉しかった


「・・・」と難しい顔で考えを巡らせているゴース。


「無理ですね。」と唐突に呟いた。

「何がですか?」とクロンが聞いていた。


「城の警備は完璧で隙なんてありません。どうやって脱出したんでしょうか?協力者がいた?それはない。鑑定の眼鏡でスパイは判明する。自力で?あり得ない。ウッテ君もダスト様もどちらもそれほど凄いとは思えない。一体何が起こっているんでしょうか?」と普段戸惑わないはずのゴースが狼狽えている。


私も何かよからぬことにウッテさんが巻き込まれていそうで不安になる。


そして私たちの目の前にあの懸賞金の紙が回ってくる。


「ふふふ、ははは。やらかしましたね!」と机を叩きながら笑っているゴース。


私はその懸賞金の紙を受け取りその金額を見て倒れた。


なんたって、ウッテさんに金貨千枚もかけられているんだから・・・

例え生きていたとしても、絶対死んでしまう。


暗殺者ギルドが動き出す。

懸賞金ハンターギルドが鼻でどこまでも追っていく。


これを止める事は誰にもできない。


「あはははは、ダスト様達最高!」とそんな声が、笑いすぎで倒れるまで続くのだった。



俺は今、困っていた。


なんか知らないけど様々な視線を感じて不快な思いをしている。

俺の黒髪の姿にビビっているのか、向こうから手を出してくる事はない。


一体何が起こっているのか?

俺は状況を把握しきれていなかった。



ある暗殺者は困惑していた。

標的の痕跡を辿ってきたら、黒髪の疫病神に会ってしまった。


私はそこを動けなかった。


〝気付かれている。動いたら殺される。〟


私の直感がそう言っていた。


この任務を終わったら足を洗おうとしたのに・・・

行ってくれ、行ってくれと願った。

そして私の運命はここで終わるのだろうかと思ってしまった。




ある賞金ハンターは対象と変な匂いを追ってきた。

そうしたら、めちゃくちゃ強い奴に当たっちまった。


どうする。やられる前にやるか!だが一歩でも動けば死んでしまう。

そう思ってしまった。

その困惑で前に進むことが出来なかった。


気付けば相手は行ってしまっていないのに、汗がだらだら垂れてくる。


私の向こう側の暗殺者もそんな状態だった。


俺は今日賞金ハンターを辞める決意を固めた。



「なんだったんだろうか?」

俺達を見ていた視線が止まったまま動かなかった。


「まぁいいか。」と進み始めた。


それから何回もそんな思いをしたが、いずれも仕掛けずに退散していった。


「?」と俺は首を傾けるだけだった。


ツクモさんはそいつらに同情していた。


相手の力量がわかってしまう達人たち。

その者達でも勝てないと思わせてしまう。


そんなオーラを今の疫病神形態は放っていたのだから・・・




その日以降、帝国では賞金ハンターギルドと暗殺者ギルドで辞めたり抜けたりするものが増え、人材不足に陥るのだった。


「一体何が起こっているんだ?」と各ギルドの上層部は頭を抱えるのだった。



俺達はそんなこんなありながら、街で獣人を捕まえては亜空に放り投げ、ミルクを手に入れては補完をしていった。


そうして俺達の旅の目的地、帝都に着いたのだった。


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