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温泉での出来事

俺は送還魔法で獣人たちを亜空間に送り返す。


えっ、なんでウッテ達は投げ入れたかって?

うん、なんとなくだよ!と答えるしかない。


そして俺は今、亜空間の内政中だった。


「やっぱり城はいるよね!」と俺はツクモさんに相談した。

「そうですね。」


城はその領土の象徴だ。


それが大きいほどその土地は栄え、そして厳ついほど敵は攻めてこようとは思わない。

まぁこの世界に攻めてくるような人がいるわけないが・・・


「そうなると、見せ城かな。」


織田信長が造った安土城。

豊臣秀吉が造った大阪城。

徳川家康が造った江戸城。


この三つが最有力候補だが・・・シェリーのお殿様風の姿が思いうかべる。


うーん、合わないね!


それにここはファンタジーの世界だ。


西洋風の城にも憧れる。


「どうしよっかな?」

「人数の問題もありますし、取り敢えず簡易なものを建てて、シェリーを頭にまとめて行くのが良いと思いますよ。」


「大きい宮殿を建てたい。」とうずうずする。


そうなると大使館とかかな。

それっぽい建物を造った。


俺は微妙な顔になる。


「気持ちはわかりかねますが、今の段階ではこれが限界でしょう。」と答えてくる。

「わかっているよ!」と答えておいた。


「あーあ。このストレスを発散するために面白い施設でも建てようか!」


俺は建てられるリストを見て行く。


「うーん、野球場に、サッカー場に、そんなものはまだいらない。というかファンタジーじゃないだろう。」


「テト様が知っている建物を建てられるのですか?」

「そうみたいだな。おっ、これがいいな。やはり異世界と言えば温泉かー。」


俺は温泉施設を立てる。

そこに施設が出来たことに驚く住人。


シェリーに念話で獣人の戦士たちを温泉につからせてくれと俺は言っておいた。


「温泉はいいですね。」

「お前入れないだろう。」と言うとしょぼんとしていた。



獣人の戦士達はなんとか動けるまで回復し、温泉に来ていた。


シェリーが脱衣所で着替えようとすると。


「入り方はわかるか?」

「ひやっと。」と驚くシェリー。


「どうした?」とテト様の声が聞こえる。

「あ、ちょっと驚いただけです。」と顔が赤くなっている。


「?」と言う顔になる俺。


「まぁ、入り方がわからなかったら、聞いてくれ。」


「あのー私の姿見えてませんよね。」

「・・・な、何のことだ?」と慌てたような声が聞こえてくる。

「惚けてるんですか?」シェリーの顔が若干恐いような気がする。


「ツクモさんやってください!」と言った瞬間にビリビリがきて、シェリーとの通信が途絶えた。



「まったくテト様は!」とぷんぷん怒りながら温泉に浸かっていた。

「いつも話している好きな奴か?」ハルが聞いてきた。

「そうです。覗きしようとしてたんですよ!もう!」と怒っている。


「ははは。ふー。癒される。」とお湯に浸かって疲労が回復してきているような気がしているのだろう。


「ちょっとなんで笑うんですか?」

「いつの間にかシェリーが大人になったんだなー。」

「ちょっと私もいつまでも子供じゃないですよ!」


「ふふふ、やっぱりまだ子供だな。」

「どうしてそうなるんですか!」

「さぁなんでだろうな!」と惚けるハル。



「ここは平和でいいな。」

「そうですね。いつも獣人の里では人間の襲撃に怯え、奴隷にされれば人間の一挙手一投足に怯えていました。それをテト様が救ってくれました。」と目が女の目だった。


「ほう、そんなにだったとはな。」と感心する。

思えばゆっくりとこうやって話す機会はそんなにはなかった。

それもまた私達には嬉しいことだった。


そう私がのぼせて倒れるまでは・・・


「お姉さま、お姉さま!」とシェリーの声が遠ざかって行った。



私の目が覚めたのは少し経ってからのようだった。

どうやら横になっているらしい、倒れたのだろう。

油断のし過ぎだなと反省する。


話し声が聞こえる。

獣人の戦士たちは代わりばんこに温泉に入っているようだ。


「あっ、起きたんですね!」とシェリーが聞いてきた。


「ああ、すまない助かった。」と起き上がる。

「良かった。」とホッとしている。


「あっ、皆さんお姉ちゃんが倒れて、のぼせない事に気を付けるようになりましたよ!」両手を当てながら言った。


「うん?」と何か嫌な予感がする。


「あー隊長起きたんですね!」と駆け寄ってくる何人かの女の獣人たち。

「ああ。」と返事をした。


「まさかあの隊長が温泉でのぼせるとは・・・」

「私達に身を持って、温泉の気を付ける事を教えてくれるとは!」

「流石隊長!」

「我々の隊長!」と騒がしい。


そんな私のダメな所を見られたと思うと、見る見る顔が赤くなっていく。


普段は冷静沈着な隊長なので、実はこういうドジに弱かったりするのだ。

キューと再びのぼせたみたいに倒れるのだった。


それに慌てだす部隊の人達。


「お姉様もまだまだ子供ですね!」と私はやれやれとするのだった。



男風呂


「なあ、俺はなんでお前達と一緒に風呂入ってんだ。」と聞くウッテ。

そこには辺境伯様の子供のダストとゴースがいた。


「ふん、それはこちらのセリフだ。」と文句を言ってくるダスト。

「そうだ!そうだ!」とそれに相乗りするゴース。


「まぁいいか。」と考えることが面倒臭くなったウッテだった。


一体ここはどこだろうか。


気付けば知らないところにいる。

環境がコロコロ変わって付いて行けない。


ここが帝国なら恐い所だ。と震えている。


そして俺が一番欲しいものがここには無かったりする。


それはお酒、この世界で俺は何度も聞いたが、結局見つけることは出来なかったらしい。


「お酒と言う存在がない世界なんて俺は認めん!」と急に風呂から立ち上がって宣言した。


それを見た二人が・・・

「そうだなこの私に似合うワインがないものか?」

「俺も飲みたい。」


ここに新たな飲み同盟が結成された。



「なぁツクモさんや。」俺はツクモさんに聞く。

「なんでしょうか?」

「何が悲しくて男湯なんて見なきゃいけないんだ!」俺は目を瞑り拳を握りしめる。


「それは己の心に聞いてください!」


俺は自分の心臓に手を持ってくるそして・・・


「異世界なら混浴!男湯じゃなく女湯を映したまえ!」そう言った俺の本心に!


ビリビリが決まった。


ツクモさんが言った通りに、心に聞いたのにどうしてこうなる。解せぬ!



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