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二人のトラブルメーカー

ウッテは現在、森の中で迷子になっていた。

ついでに隣にダストがいたりする。


「なんでこうなったんだろうか?」と疑問に思い口に出した。

意外にもクロンの攻撃力は高い。

星になったのも仕方ないことだろう。


「すべてはお前のせいではないか!」と抗議をしてくる。

巻き添えを食らった形のダスト。


「取り敢えず、進みましょう。」と仕切りだす。

「お前が仕切るんじゃない。」と先に進みだした。


進めど、進めどなんだか道に出そうもない。

「おい、こっちであっているのか?」と聞いた。

「ふん、俺の進む道こそ正しいんだ。」そんなことを言うダスト。


これは迷うなーと思いながら、その後ろを追っていく。


「ぜっはー、ぜっはー。」と息も絶え絶えなダスト。

「あーあ、大丈夫か?」とウッテは聞いていた。


「うるさい庶民が私に口を聞くな!」となぜか意固地になっている。

「はぁー。」と溜息を付いた。


「うん。」と何かに気付いたように進んでいくダスト。

「おい!」と呼び止めたがそれでも進んでいく。


「見ろ!明かりだ。この私が正しかったと言うことが証明されたではないかぐはは。」と笑いながらその方向に向かって行った。

そんなダストを追っていく。


そしてウッテ達は広場に出た。

篝火が焚かれ、兵達が野営をしている。


ウッテの顔は青くなった。

ダストはそんなこと構わずに進んでいく。


逃げようかどうか考えている隙に、後ろに槍を突きつけられた。

「怪しい奴め、手を上げろ!」とそいつは声をかけてきた。

俺は大人しく手を挙げた。


「こ、殺さないでー!」と怯える。

「大人しくしてろ!」と他の兵が手を拘束してくる。


ウッテはそれに抗わなかった。

向こうではダストが悲鳴を上げている。


「ざまぁー。」と呟いたのはお前のせいだからなと言う意味を込めてだった。



夜が明けたら戻ってくるだろうと思っていたが・・・

全然そんな気配もなく。

クロンはウッテ達を探していたが見当たらなかった。


「もう、絶対何かに巻き込まれてますよ!」とぷんぷんする。

「ははは、あり得ますね。」とゴースはダストの事を考えて笑った。


「うん。」

「何か気付いたんですか?」と覗き込む。


「ここら辺に誰かが通った後があるね。」踏みしめられた草があった。

「これはまた。」とそれを見るクロンの後ろに枝が伸びてくる。


ゴースはその枝を握った。


「トレントですか?」

「まさかウッテさんたちはこの木に捕まって・・・」とクロンが青い顔になった。


「それはないでしょう。トレントは行動が遅くあまり害になりません。」

掴んでいた枝を離した。


「おおお。」とトレントが喋っているが、あまり怖くない。


人差し指に火を出した。

「魔法ですか?」

「多少ね。」と謙遜するゴース。


その火に怯えてトレントはゆっくり離れていく。


クロンたちはここから進むことにした。



そうして広場に出た。

そこで兵達が野営をした跡がある。


「ふむ。」と考える。

「連れていかれたんでしょうか?」

「その可能性があるね。」


「ウッテ君だけなら、大丈夫だと思うんだけど。ダスト様がいるとね。何が起こっているんだか、ふふふ。」と笑って腹を抑えている。

「腹筋がー腹筋がー。」と苦しそうにしていた。


それを呆れた顔で見る。

そんな私の前にネズミが現れた。


「なんでネズミが?」と疑問に思う。


「ちゅちゅちゅー。」となんだか呼びかけてきているような気がした。


「うん?ついて来いってこと?」

「ちゅー。」と言って両手を上げた。


そしてゆっくり歩いていく。

私はそれに付いて行く。


そうしたら街道に出た。


なんだか何千もの軍隊が歩いているんだけど?

肉に剣が突き刺してある旗が目に入る。


「あれはデミグラス侯爵軍。」と呟くゴース。

「?」

「君は幼少から帝国を離れているから知らないだろうけど、帝国でも武門で名を馳せた名門だ。しかし、彼等の領地はここじゃないはずだが?」


「王国の近くでこんな行軍をしているんですか?」まるでこれは・・・


「戦争が近いってことだろう。」

「そ、そんな!」と抗議の声を上げる。


「いつか起こる。それが今でもおかしくはないだろう?」とゴースは平然と言ってきた。

「くっ!」と唇を噛むクロン。

「君は王国で過ごした時間が長く、知り合いも多い戦争に反対なのはわかる。」

「それなら!」と希望を見出す。


「それでも俺たちは帝国人なんだよ!」と現実を突きつける。


その言葉に衝撃を受けて倒れそうになる。


「くっ!」とゴースを睨む。

「そんなに睨んでも状況は変わらないよ!それよりウッテ君を探さなくていいのかい。」と忘れていたことを思い出す。


私は軍隊の周りを見回し、木でできた檻の中に誰かがいるのが見える。

「あれはウッテさん?」と思わず呟いた。


「おや、発見したのかい?」と聞いてきた。


「私のウッテさんを間違うはずはありません。」と答えた。


「取り返してきます。」と走り出そうとして、それを止めるゴースだった。


「離してください!」と暴れるが・・・

「冷静に考えろ!お前は何を学んできたんだ?」と聞いてきた。


「くっ!」と悔しそうにする。

連行されていくウッテさんを見送ることしか私には出来そうもなかった。



「私を誰だと思っているんだ!次期ラーズ辺境伯様だぞ!」と檻の中で抗議を上げている。

「はいはい、寝言は寝て言いましょうね!」と槍の後ろの方でぶっ叩いた。

「ぐへ。」そう言って気を失うダスト。


「あーあ。」とそれを見てウッテは呆れていた。


今回は俺のせいじゃないと思うんだが・・・

誰か助けてくれ!と青空に願うしかなかった。



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