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二つの流れ星

一方そのころウッテ達は帝国の街道を進んでいた。

たまになぜかネズミやリスが前を横切ったりしていたが・・・

それ以外は特に異常はなく進んでいた。


「ここで合流する予定になってます。」となんか大きな人の顔をした石像がある。

動き出しそうで不気味だなとウッテは思った。


「帝国にはこんな石像が各地に沢山あるそうです。」

「へぇーそうなんだ。なんだ、これが普通なのか。」とその石像を軽く叩いてみるウッテ。


その石像は動かない。

「そうだよな。動かないよな。あははは。」と笑う。

「もうウッテさん。冗談がうまいんだから。」と笑って答えるクロン。


石像から離れようとクロンの方に歩いて行こうとして、ガブリと噛みつかれた。


「ウ、ウッテさーん。」と手を口に当て叫び声を上げる。

「うーうー。」と石像に飲み込まれて、足がジタバタしている。


どうしようか慌てるクロン。

おろおろ、おろおろ。

その間にもウッテはどんどん飲み込まれていく。

ようやくウッテの足を引っ張る事を思いつく。


「ちょっと待っててください。」と言って引っ張り出す。

これが中々抜けない。

足のジタバタが段々と弱くなってきている。

「私だけの力じゃ!」と悔しがる。


そんなところに大きなハムスターと大きなネズミが現れた。


それに恐怖するクロン。

「もうこれ絶対ウッテさんのせいだ!」と大きな声で叫んだ。

そんな事を言ってもウッテを見捨てることは出来ないようだ。

足からその手を放したりしない。むしろギュッと強く掴んだ。


そのネズミとハムスターは段々と近づいてきた。

気付けば足元にも大量のネズミやハムスターなどの小動物がいる。


そいつ等は皆で石像に噛みついた。


石像はそんなことでひるむ者ではない。


しかし、諦めずに噛みつく。

何度も何度もそれを繰り返す。

大きな奴等も噛みつき始め、段々と石像は削られて行くそうしてウッテさんは何とか助かった。


「良かった!」と安心するクロン。


ネズミたちが皆で親指を立てていた。

私も思わず親指を立てた。


そうして彼らは消えて行った。


「何だったんだろう?」と疑問を口にしたけどその答えは返ってこなかった。


中々起きないウッテさんを介抱し、野営の準備をここで始める。

そこに声をかけてくるものがいた。


同じ帝国のスパイの同僚ゴースさんだ。


どうやらここまで商人として国境を超えてきたらしい。

馬車がそこにはあった。

もう何人かいたりする。

たぶん他の皆は本当の商人なんだろう。


「ふむ。」と私が介抱している王国のウッテさんを訝しんでいる。

「彼はその、帝国に亡命するそうです。」それしか言い訳が思いつかなかった。


「なるほど、まぁいいでしょう。」と少し考えてから何かを察したように答えた。


「ありがとうございます。」

「ふふ、貴女は割りとよく働いてましたからね。ご褒美みたいなものです。」

「はは。」

「それにその方は人質になりますし。」と私とゴースさんの視線がぶつかる。


「冗談ですよ!」

「笑えない冗談はやめてください。そんなことは百も承知です。」

「覚悟があってよろしい。」と上司のゴースは褒めてくれた。珍しい事もあるものだ。


「ふもふもふも。」と不思議な声が馬車の中から聞こえる。


「あれは何ですか?」と聞いてみた。

「ああ、あれはね。任務でやらかした者の末路かな、ふふふ。」と笑っている。

「?」


「なんだか面白そうな星のもとに生まれたような人だよ。」と麻袋に包まれた男を出してやる。猿轡を外して上げて、やっとこさ話せる。


「お前等、こんなことしてただじゃおかないぞ!」とか言っているが知ったことじゃない。


「確かこれ、ダスト様ですよね。」と私は指を指す。

「そうだよ。」とニコニコ顔だ。


よほど面白いことが起きたのだろう。

百面相とゴースと言いこの二人は任務を遊びだと思っている節がある。

一種の狂人だ。あまり付き合いたくないが・・・

気になるのは仕方ないことだろう。


「で、これは何やらかしたんですか?」と侮蔑の表情で見た。


「なんだと小娘!」と怒っている。


「ははは、君が言うこともわかるよ。これだもんね。」と指を指しながら増々笑い出す。

「くー。」と悔しそうな顔。


よほどのことをやったんだろう。


「早く説明してくださいよ。」と私は促した。

「ああ、要するにこいつはボロ負けして男爵領から逃げ出したんだ。ぷぷぷ。普通、負けないよね。」

「あの戦力差で、ですか?」

「あの差でだよ。」真顔で言うとまた笑い出した。馬車を叩き出す始末。


「ああ笑い死にする。笑い死にする。」と腹を抑えている。


ここまで笑わせるとは・・・

「ぷっ。」と私も笑ったのは仕方ないことだろう。


「お前達、ふざけるな!」と叫ぶダスト。


「味方の裏切りがなかったら勝っていたのに!」と悔しそうに言い訳を口にした。

「それは災難だったね!そして見事な負けっぷりに乾杯!」といつの間にかジョッキでお酒を飲みだすゴース。


「むっ!」とそこで起き出すウッテ。

「ウッテさん!」と抱きついたのは仕方ない事だろう。


「お酒の匂いがする。」と言った事で私は固まった。


「良かったら飲みますか?」とゴースは聞いた。

「おおう。もらいます。もらいます。」と立ち上がって私を振り払い、喜んでいるウッテ。


その背後から燃え滾っているクロン。


「ではいただきます。」と口につけようとして・・・

「ねぇウッテさん、私がどれだけ心配したかわかっているんですか?」と恐い顔をする。


そんな事お構いなしに飲むウッテ。

「ぷはー。やっぱりお酒は薬だ!」とか言っている。


「へ―そうなんですね!」と私は拳を強く握る。


「おう、なんだクロン居たのか。」とクロンの顔に怒りマークが浮かんでいる。


「ねぇウッテさん、お酒が薬なら殴っても大丈夫ですよね。」


「ちょっと待て落ち着けクロン。」とか言いながらお酒を飲む。これがやめられない。

「身体に染み渡る。」とか言っている。


もう限界だった。

「私の心配を返せー。」とウッテが星になったのは言うまでもなかった。


「ははは、ざまぁみろ!」とダストが言っていたがそんな奴にも八つ当たりするクロンさんだった。



「今日はよく星が流れるな。スローライフ、スローライフ。」と二つの星にテトは願い事を言っていた。


「あれは星ではないのですが。」と呟いたツクモさんの声は、俺には届かなかった。




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