表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/116

ポイポイ

「なんだ、何が起こっているんだ!」とこの里の長が言っている。

そこには土人形に襲われている里の者達がいた。


どうやら捕まっているようだ。

身動きが取れていない。


そして私の前には長い黒髪の男がいた。

私がこの里にいたのはこの時が最後になる。

一瞬でどこかに放り込まれた。



俺達は獣人の集落を襲っては亜空間に放り投げて行った。

今の男は里の有力者のようだ。


「テト様、良かったのですか?」ツクモが俺に聞いてきた。

「何がだ?」

「こんな強引な方法で連れ去っても?」


俺達は獣人の里を襲ってはそのまま全員捕まえて亜空間に放り込んでいた。

確かに人道的に良くはないだろう。

だが、獣人たちの遺体を見たことでこれはいけないと感じてしまった。


「俺の行動は間違っているのかもしれない。」と俺は理解している。

この行動の責任を俺は取らないといけない。

「せめて獣人達が笑って過ごせる。そんな場所を探さないといけない。」

「そうですね。」とツクモさんも返事を返してくれた。


土人形が捕えた人達もポイポイと全員亜空間に放り込んだ。


泣く子も、睨んでくるものも、全員、亜空間行きだ。


「お前は疫病神だ!」と叫んでいた奴もちょっと雑にポイした。

「ひぃー。」と恐がっているものもポイっと投げ入れる。


向こうの様子を確認して、まぁトラブルが起きているよな。

言い争いをしている奴等をシェリーの姉のハルがボコっていた。


それで従ってしまうのだから、獣人族と言うのは強者こそ王なのかもしれない。

俺は分かり合っている獣人を見てなんといっていいのか、複雑な気分だった。


「これで良かったんだろうか?」

「見る限りは良かったのでは?」と返答してくるツクモ。


「まぁなるようになれ!」と思うことにした。考えるのを放棄したともいう。



それから何個かの集落の獣人を亜空間に放り込み、またハル対里の者の対戦をミルクを飲みながら観戦して、そして巨大な木の下に来ていた。


「これは?」

俺はとても広く枝が伸び物凄く太い木に驚いていた。

こんなものさっきまで見えなかったのに!幻術か?

「凄まじい魔力を感じますね。」警戒を強めるツクモさん。


「いや、戦闘にならないよね?」

「そうだといいですが・・・」と心配する。


矢が俺の足元に飛んできた。


「そこから近づかないでもらおうか。」


その大きな木の上を見れば多くのエルフがいる。

俺を見下ろしていた。

エルフ達が警戒して弓を向けてくる。


俺は一応聞いておくことにする。


「ああ、すまない。聞いておきたいことがある!」

「なんだ。一応聞いてやろう。」エルフの指揮官の男らしい。


「むっ!上から目線だな。」

「エルフとは元来プライドの高い生き物です。」

「なるほど。この高圧的な言葉はそう言うことか。」とツクモと会話をする。


「なんだ。何か言いたいなら早くしろ!疫病神め!」と顔に汗が伝っているのがわかる。少し震えているかもしれない。


エルフが怯えている?


「私たちの魔力に当てられているのでしょう。」

「そんなことまでエルフはわかるのか?」

「はい、たぶん一部のエルフだけでしょう。」

「なるほど、他のエルフはそんなに怯えてないしな。」

別のエルフを見たが特にその兆候はなかった。


「さっさと言えと言っている!」段々と取り乱し始めた。


なんかこうその言葉を聞いて、やる気が下がった。

このエルフ達、強そうだし大丈夫だよね!

人間族とやり合っても大丈夫な気がしてきた。


俺はその場を後にするのだった。


矢が何本も飛んできたが、そんなもの知らない。



そこに倒れ伏すエルフの隊長の男。

「大丈夫ですか?」と他のエルフが聞いてきた。

「ああ、ただ族長には報告しないとな。」

「そうですね。」と頷いているエルフは本当の所を知らないだろう。


あの疫病神、エルフの里を焼いた男に似ている。


一体次は何をするつもりだ。


この〝二本目〟の世界樹を見ながらそう思うのだった。



「エルフのところに獣人はいなかったな。」と改めて思った。

「そうですね。あれほどの手練れなら護ることも可能でしょうに・・・」


「何か事情があるのかな?」と考える。

「あの木と関係してそうですが?」

「ただ単に確執があるとかじゃないのかな?」


道中そんなことを議論していた。



俺は次の獣人の里を探しながら森の中をさ迷っていた。

今度はなんか洞窟があるぞ!

俺はそこに足を伸ばす。


なんかおもしろそうだと鼻歌を歌っていた。


洞窟内を這いまわる大きな虫の数々、それらを討伐しながら奥に進んでいった。


そして俺の前に宝箱がある。


「おおー宝箱!」と言って近づいて行った。


その宝箱を開けた瞬間、女が飛び出してきた。

洞窟の天井に当たり、そのまま地面に着地した。


「ああ、、ぐぇー。」とか言っている。

「えっ、一体何が?」と疑問に思った。


「あれはドワーフですね。」と答えるツクモさん。

「ドワーフってあの?」

「そうです。鍛冶屋、お酒好きなドワーフです。」と倒れているドワーフの女を見る。


俺はしゃがんでこの女ドワーフを仰向けにした。

その女の身長は人型の半分ほどだろうか?


顔からは髭が沢山生えている。

いや、言い方がおかしかった。


もはや髭人間になっていると言っても過言ではない。


俺はヒールをかけた。

ドワーフの身体が魔力に包まれ息が整ってきているように感じる。

「うーん。」と考えてなんだかめんどくさいことになりそうなので、亜空間にポイと放り投げて、シェリーたちに任せることにした。


「よし!」と俺は洞窟の探索を切り上げ、再び出口に戻ることにした。

ブックマーク、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ