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助ける形

俺はコックピットを開けた。


「おおう。」と感動するネズミ達。


「なんと神々しい!」とその獣人のネズミ男は目を輝かせていた。


俺は赤ちゃんなのにそう言われると困るのだが・・・


「ここはきっぱり言うべきです!」とツクモさんがアドバイスをしてきた。

「ええー。」と俺にそんなんできるわけない。


「そうですか・・・では私から。」

「へ?」と反応をした。

「ネズミたちよ聞け!」

「はは。」と顔を上げていた者たちが再び頭を下げた。


「ここにおられえるテト様から、お前たちに命があると仰せです。」

俺の顔面は汗でダラダラだった。


「まずネズミの獣人には、我が神が造りし世界に移ってもらう。」

「ははー。」と頭を下げる。


ツクモが俺に指示を出してきた。

「亜空への道をお願いします。」と言ってくる。

「おおう。」と答え亜空へとつながるゲートを開いた。


「ありがたや。」となぜか拝んでいるんだが?


そしてネズミの獣人たちは亜空へと消えて行った。


「さて次ですが、貴方方にはウッテさんとクロンさんの護衛をお願いしたいのです。」

「ちょっとさすがに多いのでは?」と俺は聞いた。


ここにいるだけで大小様々なネズミが溢れかえっているのだ。

後から来たネズミたちも合流しているから、半端ない。この数を護衛って!


「落ち着いてくださいテト様。」とツクモが言う。

「ああ。」と俺は納得はしていない顔で落ち着いた。


「答えを言いましょう。」

俺は喉を鳴らして次の言葉を待った。


「あのウッテさんなのですよ!」とその言葉に俺は・・・雷を打たれた。


「そうだった。あのウッテだった。」俺は納得してしまった。


まるでトラブルが向こうからやってくるようなそんなウッテだった。

そう考えるとこのネズミの数で足りるのか?


いや、これもウッテの運命。


あの悪運の強い男、お前ならきっと!


「まぁ、大丈夫だろう!」と俺は答えておいた。


「そうですね。ウッテさんですから。」


「あれそう言えば?」と俺は疑問に思った。

「どうされましたか?」


「ツクモさんはウッテの活躍を見てないような?」

「ギク。」っと画面越しに向こうを向いていた。


「こほん、私はテト様の記憶の一部を見ることも多少はできるのです。」

「ええー。それはちょっと恥ずかしいんだけど!」と抗議する。


「慣れてください!」とこっちを向いて真顔で言われると何とも言えない。


俺は唖然とするだけだった。

「と言うことで行動に移しなさい!」ネズミたちに命令を飛ばした。


ネズミたちは素早く行動に移った。


俺は完全な神輿になっていた。



俺はそれから取り外し可能な人型にコンバートした。

元の身体の部分をベースに、頭、右手、左手、右足、左足。。

これを着脱形式にした。


「取り敢えずの形だからな。」文句を言いたげなツクモを牽制した。


「むっ、可愛くないです。」と画面越しのツクモがハブてている。

なんだこれ可愛いぞ!

「あはは。」となぜか笑ってしまう。


「なぜ笑ったんですか?」と抗議してきた。


それからなだめるのに苦労している。


「まぁまぁ。」と言いながら作業をする。

今回は一応スピーカーホンを付けておこう。


「まだ私はプリプリしてますよ。」と俺が作業をしていることに不満を持っているようだ。

再びなだめるのに時間を費やした。



時刻はもうそろそろ夕方頃だろうか。


「うん?」

「一人です。その後ろから敵勢反応。」と報告してくる。


一度大きく息を吸い、コックピットを閉めた。


人型はアイテムボックスから取り出したフード付きのマントを纏う。

この間の野盗達からいただいたものだ。


茶色は縁起が悪いな。黒にでもしておこうとその色が黒に変わっていく。

人型の全身が人間のような見た目に見えるように幻術もかける。


「動作確認はどうだ?」と質問をする。

「問題ありません。むしろ前よりいいかもしれませんね。」とツクモさんも感触を確かめているようだ。


「今回は自爆ボタンを設置できなかったな。」と嘆いた。

「そんなものいりません!」男のロマンをなんだと思っているのだろうか?


「複雑にしてない分、負担が低いのか?」前は凝りすぎたのかな?

「私が存在進化したせいでしょう?」と冷静に分析してきた。


「まぁ両方と言うことにしておこう。」と主張を譲りそうもなったので言ってやる。


「来ます。」とそこに飛び込んできたのは子供のエルフだった。

「た、助けてください!」と声をかけてくる。

迷わず亜空に放り込んだ。

「うわぁぁぁ。」と言っていたが知らん。

向こうが助けてと言ったのだ。こう言う助け方でも悪くはないだろう。


「ひどいですね。」と呟く。

さっきのエルフの事ではなく、笑ったことをまだ根に持っているのだろう。


「どちらがだ。」と返しておいた。


どどどど、と一気に兵達に囲まれてしまう。


俺に剣を向けてくる。

そこを割って進み出るものがいた。

隊長か?いや、違うな。

貴族の服を着ている。


「にひひ。」と笑って猫背だ。


「お前、ここにエルフの子供が来なかったか?」と聞いてきた。


「知らんな。」と俺は返す。スピーカーの調子は良いようだ。


「嘘を付くなこっちに来たはずだ!」

「そうだそうだ。」と声を上げる兵士の奴等。


「隠し立てするとただでは置かんぞ。」と俺の首に貴族が剣を当ててきた。


貴族を見たが鎧を纏っていないとは・・・こいつは戦場に出ていると言う意識はないのだろうか?


「やれるものならやって見るがいい。」と俺は言い切った。


その貴族の男はゲスな笑みを浮かべ、迷いなく剣で俺の首を切った。



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