異世界のバレンタイン 前編 テト編
バレンタイン企画 3部作 前編です。
その日はいつも唐突にやってくる。
王国の人間は身を護る事ができず。
その夢に浸食された。
皆が皆と言うわけではない。
その選ばれた人はこの夢の中である体験をすることになる。
そうまさに俺のように!
テトはこの状況がわからず混乱していた。
俺は学生服を着ていた。
気付けば目の前に四人の女の人がいる。
一人は女神様だった。
いつもと違ってなぜか女子高生の制服を来ていたりする。
一人はツクモさんだった。
メイド服を着ている。
いつものように澄ました顔をして目の前にいた。
俺は声をかけようとして・・・
「ちょっと!」と言う声がしてそちらを見た。
それは魔族のファーだった。
いつもと違ってナース服を着ていたりする。
「これって、どういうこと!」と詰め寄ってくる。
「知らない、なぜだー!」と言う声を出したのは仕方ないことだろう。
そしてその隣には恥ずかしがっている獣人のシェリーがいた。
獣人の女の子がバニーガールの姿をしている。
そして耳はうさぎ耳に変化していた。
「なぜ!一体何が起きているんだ!」と俺は思わず後ずさった。
あれ、俺の姿が赤ちゃんから十歳の男の姿になっている。
「なんで、どうして?」と俺は疑問に思う。
「それは今日がバレンタインデーだからよ!」と指を指して女神さまが答えてくる。
俺はその答えに考え・・・
「はぁー。」と声を出していた。
「この世界ではチョコレートの価格が非常に高く、皆が食べれない。」と嘆く。
その言葉に三人は頷いた。
「だからこそ、この夢の中でバレンタインを祝う必要があるのよ!」拳を握る。
「いや、わけわからないから!」と抗議した。
「普通なら両想い同士が、この夢の中に閉じ込められるの。」と教えてくれる。
「なんだ?拉致、監禁か?」と、俺は脱出できる所を探すがこのピンク空間からの出口はなさそうだ。
「違うわ。この世界の常識よ!」と胸を張って語ってくる。
「はぁーー?」と、もうわけがわからない。
「この日、両想いの人達を会わせてくっつける。女神である私の仕事なのよ!」と力説する。
「じゃあ、この状態って?」と俺は四人を見た。
そして四人はチョコを取り出してくる。
「?」と俺は首を傾けた。
「ここから出たかったら、このチョコを一緒に食べて出るしかないのよ!」
「早くしなさいよね!」と急かしてくるファー。
「お願いします。」と恥ずかしがりながら言う獣人のシェリー。
「テト様。どうぞ!」とツクモさんも話しかけてきた。
女神がチョコを口に咥えた。
これはもしかしてポッ〇ーゲーム!と恐怖した!
〝違うわ、これはチョコレートゲームよ!〟と念話で俺の精神を削ってくる。
いつの間にかハーレムルート入ってないか!と愕然とした。
なんでどっかで選択肢、間違えたのか・・・
この四人は近づいてきた。
俺は後退り段々と追い詰められていく。
そして壁に背がついてしまった。
ここ、行き止まりある世界なのか!?
俺は覚悟を決めるしかなかった。
注 これは夢の世界であること!
こんな食べ方はしないでください!危ないです。
俺は覚悟を決めて女神の板チョコに口をつけ食べ始める。
食べ辛い、あまりの食べ辛さに・・・・
パキッと割れたのは仕方ないことだろう。
「あーあ。まだまだね!」と女神さまが言ってきた。
一体何のことだろうか?
俺は次の人、えーと。
あれ?俺の姿が医者の服になっている。
「ふにょにょ!」
〝次は私よ!〟と言って前に出てくるファー。
ナース服を着て、大きい星型のチョコを咥えている。
「いや、これは無理だろう!」と言ったのは仕方ないだろう。
なんか潤みだしたファー。
はぁーと俺は食べ出した。
食べていき、やはり端の方で割れたのは言うまでもない。
ファーはそれを見て逃げて行った。
俺は追いかけようかどうか悩んだが、服を引っ張られた。
そこにはバニー服のシェリーがいた。
俺は狼のフリース着ぐるみになっていた。なんでだ?
俺の口はチョコで甘ったるくなっている。
「うう。」〝どうぞ!〟と言っているようだ。
そのチョコは大きなハート型だった。
俺はいつの間にかベンチに座っていて、二人はハートの山側から食べ始める。
「あっ!」と声を出すシェリー。
うまく食べきることは出来ずに、ハートの端の方が折れてしまった。
「・・・」
「・・・」俺たちは黙った。
「私頑張ります!」と言って立ち上がるシェリー。
「きっと今度は一緒に食べ切ってみせますから!」と闘志に燃えていた。
「ああ、まぁほどほどにな!」と俺は何とも言えない表情になっていた。
さて、最後は執事服になっていた。
もうだいぶ慣れたかもしれない。
俺はツクモと向かい合った。
円盤型のチョコを咥えている。
〝どうぞ!〟と言っている。
「もう何も言うまい。」と俺は口をつけ食べ始める。
これは回りながら食べると言うタイプらしい。
俺達はぐるぐる回りながら、ある程度食べた。
〝テト様、大事な時にいなくなってしまって申し訳ありません。〟と食べながらこちらに念話してくる。
〝いや、戻って来てくれて嬉しいよ!〟と素直に嬉しさを伝えた。
改めてツクモを見ればメイド服に美人な顔、俺と同じ黒髪。
髪は長く地面にも届きそうだった。
何かこう憑いてそうな・・・いやまぁ、俺の人型に憑いていたわけなんだけど。
それに精霊と言っていた。
それが本当かどうかわからないが・・・少し疑った自分自身に嫌気がした。
それがいけなかったのか、チョコが地面に落ちてしまった。
「申し訳ありません、私がしっかりしていれば・・・」
「いやいい、俺もツクモさんに頼り過ぎていた。」とお互いが謝った。
「お互いに悪かったと言うことにしよう。」と俺はツクモに抱きついた。
「おかえり。」
「ただいま帰りました。」と俺の頭を優しくなでてきた。
「ふふ。」女神は笑った。
私のお目付け役と言うことでここに派遣されてきたのに・・・
それを忘れているようですね。
「うらやましいです!」と隣を見ればシェリーが言っている。
どうやら元の姿に戻っているようだ。
「ふん、知らない。」とそっぽを向くファー。
「この子もまぁー。」と言って何か懐かしむように言う。
「今はまだ言わないでよね。」と口止めする。
「ええ、わかりました。私の今回の目的はこのイベントを成功させることですから・・・ふふ。」
「相変わらず神界は神界ね。」
「そうね。」
「あら?」と言ってそちらを見ればもう三人?増えているようだ。
「テト!」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
「主殿!」となんか三人が抱きついてきた。
「うわぁー。」と倒れる。
それは宿屋の娘のルンとスライムのルル。それから・・・
「誰?」と思わず会ったことのない人に声をかけた。
その女は紫髪の上に角が二本生えていた。
「ひどいです。私は主殿に三回も会っているというのに・・・」と嘆く。
うーん。よく見れば尻尾が生えていたりしている。
「?」と顔を傾けるがわからないものはわからない。
「どこかで会ったことがあったか?」マジで心当たりがない。
その言葉を聞いてショックを受けたのか、崩れ落ちた。
「私は、私はーーー。」と嘆いていた。
地面を何度も殴っている。
まぁ今はそっとしておこう。
次会った時にでも聞けばいいよね。
俺はルンとルルに振り向いた。
「テトです。」と改めてルンに挨拶をした。
「わぁわぁ!」と目を輝かせるルン。
ルンはかっこいいテトを見て感動をしていた。
「私の見立ては間違ってなかった!」とルンの姿は巫女服だった。
俺の姿もいつの間にか袴姿になっている。なんで?
ルンの巫女服に可愛い!と思ったのは仕方ないことだろう。
「はい、これ上げる。」と小さなチョコを差し出してきた。
「これは・・・ありがとう。」と言って頭をなでる。
俺はそのチョコを口に含んだ。
「お兄ちゃん、それは!」と言うルルの声が聞こえた気がしたが・・・
俺はそこで気を失ったらしい。
「あらあら、それでは皆さんテトをよろしくお願いしますね。」
六人にお願いして、私たちは現実に帰って行った。
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