神だった!?
ツクモ視点
「ご苦労だった。」と労う声が聞こえる。
「はい。」と返事しているのはツクモだった。
その神は邪悪な男だった。
今現在神界を支配している。
我々の派閥以外の神は幽閉してしばらく行動は出来ない。
「出せ!出せ!」と言う声が幽閉先から響き渡っているらしい。
「しかし、良かったのですか?」と聞く。
「何がだ?」
「彼の者は、どちらかと言うとこちら側の者。それに手を出すのは・・・」納得できていないのだろう。
「お前があ奴を気に入っているのはわかる。」と一定の理解を示してきた。
「だがな、これは我々の派閥として必要なことだ。強すぎる力によって向こう側にバランスが崩れれば、我々の存在が消えてしまいかねない。」
「・・・」答えることが出来ない。顔を下げた。
「だが所詮、下位の神のやっていることだ。気にすることではないかもしれないな。」
その言葉に顔を上げた。
「ツクモよ再び戻り、下界に生まれた神を見守れ。都合がいい感じに持って行けよ!」と言ってここから出て行けと促した。
私はその部屋を後にした。
「私は一体、何をしたいのでしょうか?」とドアに寄り添い少し考えていた。
「わかりませんね。」とふと呟いていることに気づく。
「これはもしかして・・・テト様の独り言を言う癖がうつったのですか?」と目を開き絶望した。
「いけませんね。」と言ってこの廊下を歩き出し、そして消えていた。
俺が気が付いた時に誰かに渡り、どこかに運ばれていた。
運んでいる人はクロンと鑑定結果で出た。。
「?」どこかで聞いたことがあるぞ?
まぁ、たいしたことではないだろう。
クロン視点
クロンと呼ばれた人は緊張を増していた。
「ここから出て帝国に戻る。」
現在国境付近に来ている。
見つからない様に山を越えて越境する。
帝国のスパイルートだった。
いつもここを通る時は警戒してしまう。
なぜか?それは上にワイバーンが飛んでいるからだ。
見つからない様に、嫌がる匂いの香草を身に着けていた。
だけど、安心できない。
気付けば目の前にいたりするのがこのワイバーン恐い所だ。
一度鞄を噛みつかれ、上空に運ばれたときは焦った。
あの時は死ぬ思いをしたな。と懐かしがる。
岩場に隠れて休憩に入った先はまだまだ長い。
「ウッテさん元気かな。」と気付けば呟いていた。
恐い思いをしている時なんかはよく彼の事を思い出す。
今まで会ったことのない面白い人だった。
ちょっとズッコケて大きな失敗とかやっちゃうところとか・・・
なんかこう、可愛いって思えてならない。
そしてもう、会うことはない。
今回の任務で私は帝国に戻される。
「さよなら言えなかったな。」と悲しい顔をした。
一応手紙は残しておいた。
本来はいけないことだ。
だけど許して欲しいな。好きだったのだから・・・結婚もしたかったな。
スパイをしているから仕方ないこと。
何か帝都で大きな任務があるらしい。
各地の帝国のスパイが集まるそうだ。
一体なんで呼ばれたんだろう?と疑問に思う。
そのついでにこれを持って行けと言われるとは・・・
これは何だろうかとコンコンと叩く。
どこかの帝国の偉い研究機関に渡せと言われたが、何かの鉱石なんだろうか?
「まぁいっか。」とそろそろ行こうと立ち上がった私の目の前にワイバーンがいた。
「あっ。」としか声を出せなかった。
大きな口が私を捕えていた。
思わず目を閉じ、ウッテさんを裏切った罰かな?とウッテの顔を思い浮かべた。
テト視点
目の前の女の子はウッテの恋人だったのか?
しかし見る目がないぞ!
ウッテのどこがいいんだ?と俺は首を傾けていた。
俺が知っているのはお酒好きでヘベレケのウッテなのだが・・・
うん、こんないい子に思われるなんてウッテよ!爆発しろ!
この異世界は結婚したがる子が多かったり、すぐに皆くっつく。
一体なんでろうか?
異世界と言う文化がそうさせているのだろうか?
命が軽かったりしているし、奴隷なんかもいたりしている。
そんな世界だからか?
それとも、もしかして恋愛ゲームの異世界にでも迷い込んだのだろうか?
それなら説明がつくかもしれない。
あっ、亜空間に送ったあいつ等元気かな?と少し思ったりしたが・・・
あの亜空の食料の管理なんかは獣人のシェリーと魔族のファーに任せていたりする。
俺のアイテムボックスの中の食料を二人に任せた。
しかし、この亜空には俺は入れないらしい。
なぜだ解せぬ。
この旅路は意外に退屈だったりするからな。
暇つぶしに亜空間の内政に口を出して、試してもらう事しかできない。
なんと念話がシェリーとファーには使えたりする。
あの二人は野盗たちをこき使い。
更生させているらしい。
それと今は自分の事だ。
俺も休憩と思ってミルクを飲んでいた。
男爵領で買い込んでいて良かったな。
ちなみにアイテムボックスは時間停止ありだったりする。
便利な機能だ。
おっ、クロンが立ち上がった。
そろそろ休憩は終わりらしい。
そんな俺達の前にワイバーンが口を開いた。
俺は思わず。
「ウォーターボール。」を唱えた。
口に含ませた水が溢れるくらい。
ワイバーンが溺れる。苦しんで落ちた。
そんなワイバーンがいない事にして回収した。
「えっ、えっ?!」と困惑しているクロン。
すぐにシェリーに念話して解体を頼んでおいた。
なぜか画面が現れてシェリーの姿が映る。
「お任せください!」と拳を両手に作っている仕草が可愛かった。
あれ、なんで映っているの?と俺は疑問に思っていた。
「?」と言う顔をしているシェリーもまた可愛かった。
何気に後ろからファーが訝し気に見て来たりしている。
俺は考えた。どうして俺は亜空間に入れないのか、それを監視出来ているのか?
頭を抱え否定しようとして、そしてそれしかないと結論に至った。
俺、神だったと・・・
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