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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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一致団結で!

私執事長のセルスは領主邸である人物とにらみ合っていた。


いや違いますね、ある魔物ですか・・・

その魔物は子供の狼のように見えるが違う雰囲気をしている。


私と子供の狼の視線が交差する。


だが、よく見ると首輪をしていた。

どうやらどこかのペットらしい。

ココと彫ってある。きっと名前だろう。


「ふむ、警戒しすぎでしたか?」と私も緊張していたのだなと思った。


現在ここの警備はセルスに任されている。

他の護衛の兵はナルミ様に付いて行った。

防衛線に参加するためである。


「戦力が必要だから仕方ありませんね!」といい中腰になり、子供の狼に触れた。

優しくなでてやる。


「クロードお嬢様を頼むぞ!それに死ぬな。生きろ!」とわしわしと子供の狼をなでた。


しかし少し嫌そうに見えるのは気のせいだろうか?



「お母さん!」とテト(ルルが俺に擬態している)を抱いているルン。


娘は戦いに恐がっているのだろう。

それを抱きしめてやる。


「大丈夫。クロード達がやってくれるさ。」


私たちは領主邸に避難していた。

「うん!私お父さんたちが勝つことをお祈りする。」笑顔になる。

「ああ、そうだね。」と言ってもっと強く抱きしめた。


この子にとって死んだお父さんは忘れられないんだろう。

もうそれは受け入れることにしたルシール。


だから勝ってくれよ、クロード!お前も私たちの子供なんだからね!

そう願わずにいられなかった。



右からは野盗団の裏切者が・・・


パーカスは裏切者の対応に当たっていた。

もはや攻めるどころの話ではない。

段々と押され始めている。

兵士であるはずの私が野盗の集団なんかに!


挑発もされている。

意気地なし、裏切者、屑野郎。

主にトッテとシズクがノリノリで叫んでいたりしている。


プライドを刺激され引くに引けなくなってしまった。


「くそったれ!」と大いに苦戦している。



そして左側からは巨大なグールが襲い掛かっていた。


逃げ惑うゴースの兵達。

「くっそ!何がどうなってんだ!」と悪態を付いた。


誰かがこの場から逃げ出さないと逃げるに逃げ出せない。

一応、一番最初に逃げた奴と言うレッテルを張られるわけには行かないと、意外にも奮戦するゴース。


ついでにイーツがそちらの援護に回っている。

剣を振れば二、三人が吹っ飛んでいた。

バンも負けじと魔法を放っている。

そしてどんどん兵を減らしていく。



これで無傷なのは中央の兵。


活路を前に見出したらしい、突撃に次ぐ突撃を繰り返している。


気付けば浮いている人の橋ができていた。


なるほどこれはダストの必死さが生み出した活路か。


城門に取り付く兵達。しかし城壁の上から、矢や魔法が飛んでくる。


意外にもお嬢様のナルミが風魔法を使える。

オデコが広いメイドがお嬢様に飛んできた矢を盾で弾いていた。


「エリありがとう。」と感謝を伝えるナルミお嬢様。

「ナルミお嬢様・・・いえいえ。これもお仕事ですので!」といつも通りに答えてくれた。

そう言うところが意外に助かっている。



反対側ではミキシアが援護していた。

そのそばにはなぜか残念スパイコンビが矢を放っている。

義勇兵を組織したのだろうか。

十人ぐらいはいた。


「お前等弾幕薄くするんじゃないぞ。」キリカが指示を出す。

「どうして私まで!」ジェーンが嘆く。


「そりゃあれだ。ここがなくなったら、面倒だろう。裏的な意味で。」ニヤッと笑う。


「あんたは戦いたいだけでしょう。はぁー、本国から何も言って来なければいいのだけど・・・」と心配事を口にした。



クロードはその城壁の上で指揮を取っている。

そこには普段は魔の森近くに狩りに行く狩猟の人たちがいた。


「この領のためなら。」と参戦してきたのだ。


「放て!」と言って矢が飛んで行っている。

狙いは正確、流石に魔の森近くで狩猟を生業にしているだけのことはある。


ウッテは、まぁオマケだ。

矢を放って二本中一本はなぜか当たっている。

もう一本は全然違う方向に飛んでいく、わけがわからない。


因果律でも歪ませているのだろうか?と俺は頭を傾けた。


戦局はすでに終盤に入っていると言っても過言ではないかもしれない。

どこかが崩れればどちらか一方に戦局は傾く。


その一瞬を見逃さず見続けている。


だが、戦局の変化は同時に起こった。


ウナイとパーカスの一騎打ちの末。

「お前は前々から気に食わなかったんだ!」の槍の一撃が腹を裂いた。


「グハー。」っと声を出して倒れる。


パーカスが負傷したのだ。


右の戦線は崩壊し出した。



そしてダストが執念で城門を突破した。

雪崩込もうとする皆が城門に殺到。


そんなところに一人仁王立ちする男が現れた。


〝クロードだった。〟


手にはイーツが使っていた剣が握られている。


敵兵を切り裂いて切り裂きまくる。


もはや常人ではなく。

何かしらの域に達しているのかもしれない。

集中力、気合、力が漲って、敵の侵攻が止まっている。


「すげぇー。」とその後ろでは矢を構えていたウッテがいた。


その者は戦鬼に見えていたのかもしれない。


「戦ってみたいな!」とキリカが言っていたのをジェーンが止めている。


一種のゾーンに入っているのだろうか。

どう切れば切れるがわかる。

どう躱せば躱せるるのがわかる。

それも最低限の動作で疲れない、無駄がない。


怯えて近づくものがいない。

これはもう勝負はついたか?と俺は思った。


だが、その男は現れた。


この軍の大将ダストだった。


「おのれ!我が前に立ちふさがるか!この剣の錆にしてくれるわ!」と言い。


一騎打ちを挑みに行った。


「うわぁーーー。」と切りかかった。

剣術も武術もへったくれもない。

そんな一撃は剣がすっぽ抜けるという珍事で終わる。


クロードの後ろの方でなぜかウッテがその剣に当たって倒れ込んでいた。


「へぇ?!」と確かに切りつけたはずが、その手の中には剣がなかった。


そこにクロードが一閃するとダストは飛ばされていく。


「ぐはぁー。」と言って堀を超え、軍の後方に飛ばされた。

それを見た兵士たちはもう逃げ出した。


「意外にもあっけなかったな。」素直な感想を言う。


数だけは多かった。

俺はどこかでこの戦いは負けるんじゃないかと、嘆いていた節がある。


だが、蓋を開けてみれば結果は圧勝だった。


男爵領の皆が一致団結をしてこの勝利を掴みとったのだ!


「うんうん。勝つべくして勝ったと言うべきなのかもしれない。」

「一人で言っていて虚しくないですか?」と俺にツッコム、ツクモさん。


「俺も勝利に浸させてくれよ。俺もこの勝利者の一員なんだからな。それとツクモもだからな。」と俺はツクモを労う。

「ありがとうございます。テト様に仕えることができてこのツクモ嬉しく思います。」と俺はコックピットの中で見えていないが、この人型ツクモ機が頭を下げているように見える。


「照れること言いやがって!」と返した。

赤ちゃんの身体でこのこのってやりだす。

「それに何の意味が?」と言ってきたが、そんなものはノリだ。


さて、あとは追撃だ!とコントローラーを握った。

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