表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
58/116

ホールの魔法

トッテ達が動き始める中、もう一組この街で動き始める者たちがいた。


男爵夫婦だ。

子供オオカミを、イーツの娘ルンに預けた私たちは、外壁の外に来ていた。


そこまで外壁は大きくはない。


モンスター程度なら防げるだろうが・・・

「人は無理なんだよな。」

縄をかけられたり、梯子をかけられたりしたら簡単に登られてしまうだろう。


この対策をしなければならない。

現在時刻は夜でもう少しで皆が寝静まるだろう。


私たちはその時を待って、土魔法を使う。


ミキシアは早く魔法を使いたいようで目がキラキラしていた。


「うん?」とこんな時間に誰かがこそこそ城門を出ていく。


「あれは・・・」

「捕まえに行かないでいいの?」

「顔は覚えた。中に入る時にでも捕まえるさ。」と言って誰にも気付かれないところから、魔法を使っていく。


「「ホール。」」と言って穴を開けていく大体一メートルくらいの穴だろうか。


「そうだ。勝負しようか!」バンは思いついたことを言った。

「いいわね。別れて作業し、魔法の腕も競える。やりがいがあるわ。」とミキシア。


「じゃあ、始めようか。」

「はーい!行きましょう!」と言って始めた。


その異変に気付いたのは見張りの兵士だった。

数が少ない兵士四人を城壁の四方に配置し、朝晩で交代制を引いていた。

疲れはあるが、いないといるでは住民の安心が違う。


「なんだあれは?」と松明の火を近づけた。


それは人型のモンスターだった。


思わず剣に手が伸びる。

しかし、城壁の上であることを思い出し少し余裕ができた。


「一体何をしているんだ?」と思わずよく見ると。


穴を掘っていた。


「はっ?」と疑問に思った。


モンスターがなぜそんなことをしている。

わけがわからない。

モンスターにとってそんなことが楽しいのか?


「いや、よく見れば道具なんて持っていない。魔法か?」


ここは魔の森が近く、魔法の類を使うモンスターもいるらしい。

残念ながら会ったことはないが、今日初めて会った。

おびえていいのか、悪いのか、どういう反応をしていいかわからない。


「いかん、一応上司に報告しなければ。」と正気に戻った。


その目の前にさっきまで穴を掘っていたゴーレムがいた。


俺の意識は暗転した。


目の前に兵士が伸びていた。

「すまないな、これも必要なことなんだ。」と倒れている兵に謝るバン。


「それにしても凄いな!この身体は軽々と城壁を乗り越えられる。」と感動はしていたが、ミキシアとの勝負を思い出し、再び降りて穴を掘り出す。


「この穴の土はどこに消えているのだろうか?」と疑問に思いながら、単調な作業だが、魔法を使えることが嬉しくてしょうがない。


「勝つのは私だよ。」と言って少しペースを上げていくのだった。



ミキシアは順調に魔法のホールで穴を掘っていた。


「ふふ、この勝負もらったわ!」と使えば使うほど。魔法の腕が上がっているのがわかる。


ミキシアは楽しくて仕方なかった。


「うん?」と顔を上げる。遠くに水が流れる音がする。


どこから?この近くに川なんてなかったはずだけど?


「なんか微かに聞こえる程度なんだけどな?」


何だろうと次の穴を空けるその時、今度はかすかにはっきりと水の音が聞こえたような気がした。


深い?何だろうか?


「うん、ここを掘れってこと?なんでそんなことわかるんだろうか?」


でも、たぶん掘るなら深く掘らないといけない。

「今は時間がないんだけどな?あ、そっか、勝負が終わった後ここに来ればいいのね!バンに相談できるし、うん、そうしよう。」とここに印となる杭を打った。



「ああ、負けちまった。」とバンは城門の付近まで来て言う。

「ふふ、勝った!」と腰に手を当てているミキシア。


「僅差だったんだけどな。」と悔しがる。

「ふふ。私の方が魔法がうまいってことね!」と夜が明け始めている。


私たちの存在はバレている、

だが、やり切ったんだと思った。


「バン、ごめんなんだけどもう一仕事お願いしていい?」とミキシアが言った?


「なにかな?」と聞いてくる。


「付いてきて!」と言ってバンを引っ張った。



俺たちはスピードをあげ、ミキシアが気になった場所に来ていた。

向こうの気付いた兵は、私たちの存在が消えたことに慌てているだろう。



「ここよ!」と言って案内された場所。

「ここがどうしたんだい?」

城壁から少し離れているかもしれない。


「うん、ここね!」と言ってさっきの杭の位置から少し離れた場所。


「なんかこう流れているような気がするのよね。水のような?水じゃないようなものかな?」


「言っている事がよくわからないんだけど?とにかくここを掘ればいいのかい?」


「うん、たぶん。とてつもなく深く掘らないといけないわよ!」と答える。


「一体何なんだ?」とバンは言った。


「うーん。深く掘る一点だけでいいかな?」


たしかこの前テト様が・・・ドリルの話をしていたな。


「本当はそんなのあっちゃいけないんだけど、そう言う武器って燃えるよね。」とか言っていたような気がする。

あの時のこのゴーレム談義は素晴らしかった。


このドリルは攻撃だけでなく別の使い方もできるらしい。


「なにか思いついた?」と聞いてくるミキシア。

「ああ、テト様が言っていたんだけど、ドリルと言う兵器を使用すれば深くまで掘れるらしい男のロマンと言って言ったな。」


「ふーん。まぁちょっとお願いしていい?私わからないわ。」

「うん、わかった。あ、暇なら僕たちの銅像でも作っておいて。」

「なるほどそれはなんて素敵なことでしょう。」と言ってその辺に銅像を作り出した。



さて、土魔法で少し太い棒を作っていく。

それに溝を形状変化で作り、右手にセット。土に向かう。

辺りをホールの魔法を使いクレーターのような穴を作り、穴の中心でドリルを使用、回転し土を掘り出していく。


ドリルの長さを魔法で伸ばしていく。

掘り出されている土は周りを固めていく。土管みたいなものだ。

それでも余る土は何やらどこかに消えているようだが?


掘っていく。どこまでも、どこまでも時刻はもう朝だろうか。

ここに近づいてい来る足音がする。誰だろうか?


そこにはクロードたちがいた。


クロードたちなんだかこの姿にビビっているようだ。

少し観察するように話しだしている。


「むっ!」と何か硬い岩盤に当たった。少し作業が遅くなる。

なにかが開通する気がした。


ドンと言う音と共に水が吹き出る。

ゴーレムの表面でもこの水はお湯だとわかる。


俺たちは温泉を引き当てたのだった。


今はそれどころじゃないんだが?と思っていたのは仕方ないだろう。

ミキシアは目を輝かせ。

クロードたちはなぜかイーツと戦っている。


「よお、何か面白いことになってんな!」と声をかけてきたのはテト様だった。


私は気付けばふらふらになっていた。


「あーあ。またやっちゃったよ!」と言う声が遠くなって行った。


私の意識はそこで途絶えた。

ブックマーク、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ