悩む策の閃きは・・・
トッテ達はクロードを担ぎながら街に帰っていた。
「ぐはーっ。」と宿屋の椅子に腰掛ける。
クロードは先ほど宿の部屋へと連れて行った。
「なんというか、もう何が起きているのかわからない。」
モンスターを倒していたらやられそうになって、クロードの目の前に剣が出てきて、おまけにあの人型のモンスターだ。
モンスターに見逃された。
それだけで、わけがわからなくなる。
「リビングデッドって奴か?」物凄く強く、そして賢かったりする。
グールから進化したとかいう奴もいるらしい。
そんな強敵にあたって、良く生きていたと言うべきか・・・
悪運だけが強い男ウッテを見た。
「これで証明されたな。」とトッテはウッテに言った。
「な、何がですか?」と汗をかいている。
「お前の方がテトよりも、トラブルに巻き込まれやすいと言うことが・・・」と頷く。
「そうですね。ウッテさんはもう、ここで大人しくしておいた方がいいのでは。」
「ちょっと、シズクさんまでやめてくださいよ!」慌てながら抗議する。
まぁそんな風にウッテをからかってないとやっていられないのだ。
「魔の森は恐い所だったな。」としみじみ言う。
「ええ。」
「もう行きたくないっす。」と帰って来てから逆に元気になってないか?
「ほら、お待ちどーさん。」と女将さんのルシールがオークのシチューを出してくれた。
「おお、うまそうだ。」と言って食べる。おおう、なんか泣けてきたぞ!
「生きているって素晴らしい。」とか言いながらウッテも泣いている。
シズクは冷静に食べていた。
「美味しいですね女将さん。」
「あんたらのおかげで美味しいもん食える。あんがとさん。」と感謝を伝えてきた。
「まぁきつかったけど、悪くはなかったかな。」と言って照れる二人。
「ふふ。」とそんな二人を見て笑うシズク。
「こういうのも悪くないですね。」と言った。
トッテ達は食事を終えて、作戦会議の時間に入っていた。
「さてどうしようか。」と言って二人を見た。
「逃げた方がいいんじゃないすか?」と提案するウッテ。
「そんなことできるわけないだろ。もっと真面目に考えろ!」とゲンコツ。
「私も出来ませんね。」
「痛!」と頭の上を抑える。
総スカン(好きではない)された。
「おいおい、十人くらいしか領の警備についていない。となると辺境伯様に助けを求めるのが筋だろう。」ウッテは正論を投げかけた。
「珍しいなウッテがまじめに答えている。まぁそうなんだがな、それはできない。」と首を振る。
「なんで!」と意外にも立ち上がるウッテ。
「今、辺境伯様は王都に行かれている。次の辺境伯継承のためだ。」
「うそー。誰ですか次!」と詰め寄るウッテ。
「リースだ!」
「そうっすか、ここ詰んだ―。」と椅子にもたれかかりながら、やる気をなくす。
「シズクは何かいい案はないか?」
「うーん。現状取りうる策は・・・逃げるか、戦うです。」
「俺も同意見だ。」二人は頷きあう。
「まず逃げる意見、これは厳しいでしょうね。魔の森が広がり、そっちに逃げることはできない。」
「ああ、魔獣が出るからな。しかもどこに強い魔物がいるかわからない。」
さっき戦ったオークチャンピオンや、人型のモンスターとあたれば逃げる街の住人に被害が及ぶだろう。下手したら全滅だってありえる。
「それに子爵領へと逃げる道は、関所で封じられています。無理ですね。」
「さてそうなると、戦うって選択肢になるが、そもそも十対何百とか言うレベルじゃあ、話にならない。」
「やはり防衛線は厳しいですか?」と声をかけていた。
「ああ、まぁそれでも最後まで抵抗しなきゃいけないだろう。俺は兵士なんだよ。最後まで民を護ってやりたいんだ。」決意する。
「トッテさん。」と手を重ねてきた。
その手を振りほどかなかった。俺も弱気になっているようだ。
「どう勝ちにつなげたらいいでしょうか?」とシズク。
「わからないな。」ともはや考えが浮かんでこない。
そんな時、シズクがルンに抱かれているテトを見ている。
「どうした?」思わず聞いていた。
「うーん、いや勘違いのようです。」
「?」
「まるで誰かが別人のように見えましたので・・・こちらの話です。」と答える。
「そんなことあるかよ。」と笑った。
「そうっすよ。恐いこと言わないでください。」といつの間にか片手にジョッキを手に、お酒を飲み始める。
「ぷはー。美味しい。女将お代わり。」と再び要求。
「はいはい。」と答える。そう言う客を相手に商売上手なのかもしれない。
「あーあ。」とウッテに呆れるシズク。
「あーあ、おはよー。」とか言いながら、階段を降りてきたクロード。
こちらのテーブルにやってくる。
「おっ、酒飲んでいるのか、俺にもくれよ!」とジョッキの奪い合いが始まった。
「クロード兄弟は別の頼んでくださいよ。」と己のジョッキを死守しようとする。
「兄弟なら同じ酒を分け合う仲だろう。」とそんなウッテのジョッキを掴んでいる。
「なら兄弟なら酒を分けてくれるっすか?」
「・・・ああ、分けてやるぜ!」
「今、間があったじゃないっすか、やっぱり独り占めだ!」
「疑い深い奴だな!」と言い争いを続ける。
「いい加減にしなさいよね。」とシズクが切れた。
「そもそも、いい大人が・・・」とか説教している。案外面倒見がいい奴なんだよな。
そんな二人の喧嘩と、シズクを見ていた。
その時、トッテは閃いた。
「これだ!これしかない!」と立ち上がる。
「「うん?」」と二人は首を傾け。
シズクは何かを悟ったように頷いている。
「しかしそれは・・・」
「わかっている。」
「だから、二つの策を合わせてやる。それしかないだろう。」
トッテは両手を合わせながら言った。
「やっと希望が見えたぜ!」と、ほっと一息付いた。
「ルン、あんたそれはどうしたの!」と大きな声で女将さんが叫んでいる。
「何かあったんでしょうか?」
「見て来よう。」
「俺も行くぜ!」とクロードがウッテをボコり終えたようだ。
「だめだよ!お父さんにお願いって言われたもん!」
「だから、お父さんは死んだって言ってるでしょ!」と母娘の喧嘩のようだ。
「どうして理解してくれないのよ!」と説得する。
「だって!」と抗議する娘さんの所に俺たちがやってきた。
どうやら娘の部屋の前で喧嘩しているようだ。
「何があったんですか?」とシズクが二人を止めに入る。
俺たちはその部屋の中を覗いた。
そうしたら・・・
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