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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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独り言の代償

俺はそんな二人の戦いを後ろで見ながら、水魔法を時々放っていた。

顔に水を被っている野盗が溺れる、水がはじけて崩れ落ちる野盗。


その野盗を俺は異空間に投げ入れる。

夢の中で教えてもらったことを試したら出来ていた。

俺はその機能を使いどんどん気絶した野盗を、その別空間にしまっていく。


これは実験だ。向こうの世界がどうなっているのかわからない以上、この野盗たちで試さなけれんばならない。



「あれ、俺もうちょっと無双する予定だったんだけどなー。」

「仕方ありません。彼女らは別格なのでしょう。」とツクモが言ってくる。


最後の一人を倒したようだ。


「もうその辺にしてやりなさい。」と二人に声をかけた。

その頭目っぽい男は顔が腫れ、身体のいたるところも・・・以下略。


俺の出番が殆どないまま、この二人が片付けてしまった。

なんと複雑な心境なのだろうか。


その二人がグール達を見た。まずいと思って俺は叫ぶ。


「そいつらは味方だ!手を出すな!」と水魔法のアクアショットで足元を攻撃した。


二人の動きは止まる。

「主様がそう言うなら。」と納得する獣人のシェリー。

全身が真っ赤に染まっている。どうすればそんなに真っ赤に染まるんだろうか。思わず引いてしまう。恐い。


「はっなに?あなたグールも使役しているの。引くわー。」と言っているファー。

相変わらず敵意を向けてきているんだけど、そのドス黒い剣で切らないよね!


「これには色々と事情があるんだよ!」と抗議した。



「イーツ、こいつを拷問して、情報を聞き出してくれ。」と俺は頭目っぽい男をイーツに投げた。


「はい、しかしこの二人は?」と警戒している。

グールもその二人を警戒して、戦闘態勢を続けていた。


「ああ、味方だ。変なこと言わなければ大丈夫だ。たぶん。」さっきの戦闘を見ていたから、あまり自身がなくなっていた。


「はーそうですか。グールたちはここが限界のようです。」と森に帰っていく。

「ありがとうな!」

「グオー、グオー。」とか言っている。意思疎通できるんだな。


「森で寝て、また夜に動き出すんだとよ。」と声をかけてきた。

「そうか、って寝るのか?」

「はい寝るそうです。」


「まぁ今は置いておこう。さて、食料を回収してここを離脱しよう。」

「わかりました。」と俺たちは食糧庫にあった食料を根こそぎ奪い。


山に火を放って、ここを後にするのだった。



「お前たちはこれからどうするんだ。」と近くの川に来ていた。

彼女たちの汚れてしまった身体を洗い、服はどうしようか?


「あ?」と俺はアイテムボックスに入っていた一着の服を取り出し、シェリーに渡した。



水浴び中の彼女たちの近くにいるわけにはいかない。


俺はイーツのゴーレムを・・・


戦闘中に受けた血を水で洗い流していた。

洗車中だ。いや、洗ゴーレム中かもしれない!

何が悲しくて、ゴーレムの洗車などやらなければならないんだ!


「やっぱりシェリーたちの方に行きたいかもしれない。」


「剣で切り刻まれたり、拳でいつまでも殴り飛ばされるのが趣味なら止めませんよ!」とツクモさんが言ってくる。


「彼女たちが恐いのはわかってますよー。」と一応言っておこう。


「むっ、そう言えば遠視機能があったはず?見えるのではないか?」

「一応言っておきますが、もしやろうとしたら彼女たちに言いますからね。」と答えが帰ってきた。なんかツクモさんが恐いぞ!


「わかっている。わかっているよ。」

ただ、異世界だから無意識に使ってしまうこともあるじゃないか!


「その言葉も聞こえてますからね。」

「心を読むな!」と俺はコックピットの中で反論した。


「さて、これからどうするか?」と俺は考える。最近は考えてばっかりだな。

当初の予定では、食料を奪取して逃げる予定だったのだが・・・


この二人のせいで、いやおかげでと言った方がいいのか?

野盗団の討伐ができた。

しかし、まだ油断はできない。


なぜなら、野盗団本体がまだいるらしいとの話だ。


あの盗賊の頭目っぽい男から聞いた。

実際は頭目代理だったらしいのだが・・・

異空間に入れるとき怯えていたけど、自業自得だよね。


「そうだよな。そう簡単には事が運ばないな。」

だが、ある意味ラッキーというべきか・・・

各個撃破と言うのは大軍を相手にする上で大事なことだ。


ここで一個部隊を撃破したのは大きい。


「さて、相手はどう出るかな?ふふふ。」と笑っている。


「さっきから独り言と言って恐いですよ。テト様。」


「はっ!」とびっくりする。


「すまない考えをまとめる時の俺のルーティーン(工程)みたいなものだ。」


「そうなのですね。」


「さて、これからどうするか?」うん?

「そうだよな。そう簡単には事が運ばないな。」俺の顔は青くなっている。

「さて、相手はどう出るかな?ふふふ。」顔を伏せった。


〝お、俺の独り言!〟


「その機能は何ですか?」と俺は恐る恐るツクモに聞いた。


「この機能はですね。テト様独り言名言集です。」と自分はやってやったぞという顔になっているだろうか。


「その機能は削除しようね。」と俺は笑顔で言う。


「ダメです。これは貴重な記憶になります。未来永劫残さなければなりません。」と強い意志で言ってきやがった。


そして奴は独り言を再生しまくった。


それを聞いて俺の存在は痛い奴だと認識してしまった。


俺は魂が抜けたかもしれない。真っ白に。

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