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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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奴隷の首輪

テトが起きる前、イーツとツクモとグールたち(元兵士たち)はある場所に向かって歩き出していた。


野盗団のアジトだ。


グールたちはどうやら野盗団の場所を知っているみたいだ。

イーツはそれに付いて行く。


一応ツクモは少し距離を取りながら歩いていた。


「テト様が起きてない時も進めるとは、ツクモさんは優秀ですね。」

「ありがとうございます。」

「で、テト様のことどう思っているんだ?」


「?」首を傾ける。


「いや、聞いた俺が間違えだったは・・・」

何か答えてくれそうで何も答えちゃくれない。

それがツクモってやつなのかもしれない。


「逆にイーツさん達はどう思っているのですか。」


「俺達かまぁ、リベンジの機会をくれたんだ。それに応えてやりてぇてのは事実だけどな。」

「感謝はしているんですね。」


「ああ、めっちゃくちゃな。だから、テト様が物の怪か何であれ付き従っているんだよ。」


「ふふふ。」


「何で笑った?」


「その答えはいずれ時が来ればわかりますよ。」

ぞくっとなる身体。汗が出るなら出ていたかもしれないな。


「ツクモさん、あんた相当強いな。」

「ふふふ。」その笑い方が恐かった。



「さて見えて来たな。」

「ふむ、山ですか?」

「あの山一帯で洞窟までありやがる。奪取するものはそこにおいてあるんじゃないのか?」

「なるほどですね。」


イーツたちは深夜の皆が寝静まった頃くらいに到着した。


そして先にツクモが侵入する。

二、三人の見張りを昏睡させ、その洞窟に入っていく。


「ふむ、財宝とこれは・・・人ですか?」

そこには檻に入っている娘達がいた。


「これはテト様に判断を仰いだ方が良い案件のようですね。」


「ひぃ。」と怯える一人の女の子。獣人?


「その耳は実に興味深い。」とと触ろうとして。


「その子に触らないでくれない。」と角の生えた魔族が言ってくる。


「あなたもまた興味深いですね。」

四方八方からこの二人を観察した。


「どうやらテト様が起きたようですね。」



「あれ?何がどうなっているの?」と俺は思わず声を出していた。


「おはようございます。テト様。」と声がする。

「うん、おはよう状況の報告をおねがいしていいか?」


「我々はまず私が先行し、この野盗のアジトに侵入。私の見立てではここに無数の食料があると踏んだのですが・・・」


「それが見つからなかった。代わりに二人の少女達がいる。それに財宝!」と、目を輝かせる。あまり量はないが、もちろんアイテムボックスにどんどん入れて行こう。


「ふー。」と一息つく。


「さてこの二人をどうする。」


「むっ!」と俺は気付いてしまった。

そこにいる獣人は・・・あの辺境伯領にいた獣人。

「な、なんでこんなところに。」いやな予感がして、俺が人型なら後ずさっていただろう。


「くんくん、嗅いだことある匂いがします。」


「気付くなよ。気付くなー。」と唱えたのは仕方ないことだったかもしれない。


「テト様どうされました。やはりこの者たちは実は敵?」と攻撃するそぶりをする。


「あーあー、ちょっと待って、落ち着いて、大丈夫だから。」


「あれこれは。」と発現する獣人。

俺の顔に汗が滲んでいただろう。ゴクッと喉が鳴った。


「この匂い、その声、あの時のメイドの男の子!」


俺は愕然としていた。


「ちょっと何のことかな?」と惚ける。


「あ、私たち獣人の嗅覚は人間のそれとは違いしっかりしている。つまりあなたは・・・」


「ちょっと、それ以上ダメだ。」と止めようと動くが、檻の中で手出しが出来ない。


「女装の男の子冥土。女の子になる趣味の人には初めて会いました。」とにっこり。


「テト様に女装趣味が・・・あるとは、後であの三人にも相談。」

「相談しなくていいよ!俺のライフはもうないよ!男として終わったー。」と嘆いた。


「大丈夫、そんな貴方でも私は・・・」と潤んだ瞳で見てくるんだけど。


「さっきの話は内緒だって言ったよね。」と俺はその檻に入っている獣人に近づいていく。


「ひぃー。」と急に怯えだす。


俺ではなくこの人型を恐がっているようだ。

檻に手を伸ばす。


「ちょっと。」と声をかけてきた女魔族。


「まぁ見ていろ。」と声をかけた。


俺は檻の鉄格子を二本の腕で持ち、ぎーっと言う音と共にこじ開けた。


獣人の確かシェリーに人型の手を差し伸べた。


まだ獣人は怯えているようだ。


「ふむ。」一旦俺は離れて魔族の女の人の所に向かった。


そっちも同じように、鉄格子をこじ開けた。

二人ともおずおずとその檻から出てくる。


「お前たちは自由だが、ここから逃げれる保証がない。」


「ふむ、その奴隷の首輪は邪魔か?」それを外そうと手を伸ばす。


後ずさる二人。どうやら嫌われてしまったらしい。

「貴方何をしようとしたの?」

「いや、首輪を外そうと思っただけだが・・・」


「やめて!」と強い口調でシェリーが言ってくる。


「ふむ、なんでだ?奴隷から解放されたいのではないのか?」


「この首輪はいやだけど、これは私たちが奴隷だって証。もしなかったら・・・うう。」と頭を抱えている。


「貴方知らないの?」魔族の女。


「何がだ?」


「この人たちの中で生きていくためには、獣人や魔族なんかはあんた達、人間族にとっては家畜と同じなの。中にはエルフみたいにうまく人間に取り入っている種族もいるけど。まぁ、魔族領では人は家畜だけどね。」


「なるほど。しかしどういうことだ?」と聞いてきた。

「この辺境じゃそうでもないかもしれないけど、首輪がない奴隷と言うのはさらに悲惨よ。誰が何をしようと許される。そう言えば、あなたわかる?」


「なるほどな。じゃあ首輪だけでいいんじゃないか?」


「あなたこの首輪が何かわかっているのね。」


「なにか嫌な魔力を感じる。これは?」

「私たちの行動を制限するための、弱体化の首輪ね。それぞれのタイプに合わせて作り変えられているらしいわ。」


「なるほど、それで二人の首輪から違うようで同じ魔力を感じたのか。」


製作者は同じでコンセプトが違う。一つは獣人の力を抑え、もう一つは魔族の魔力を抑える。なんて恐ろしいものがあるんだ。


俺はそれでもと意を決して二人に近づいて行った。


「あなた、さっき言ったこと聞いてなかったの。」と抵抗するが、それを押さえつけ、首輪に手をかけた。


「ブレイク!」と言って首輪は壊れた。

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