オーマイガー!
「さてと、休憩は終わりだ。」と起き上がる俺。
次は・・・
「次は何をするんですか?」とバン男爵。心なしか目が輝いている。
「ふふふ、バン男爵よ!よくぞ聞いてくれた。」と俺は赤ん坊なのに同志を得たような心境だったと思う。
「これから俺は、自分専用の人型機動ゴーレムを作る!」と決意を述べる。
「おおー。」と感動するバン。
「はー。」と子供になったような夫に溜息を吐くミキシア。
「時々、子供に帰るのよね?まぁそう言うところもいいかもだけど!」と自分の顔に指を当てている。
「しかし、今までのゴーレムは私たちのような、魂が憑り付いたことで動いたのであって、他のゴーレムとは?」と聞いてくる。
「ふふ、助手君!そこはそれ、この世には魔力があるのだよ!」
「おおーテト様は魔法が使えるのですね!」と驚く。
「うむうむ。」と鼻を高くする。
「それは凄いことです。魔法が使える人なんて極々一部なんですよ!」と答える。
「そうなのか?」と俺は聞き返す?
「はい、あの辺境伯様の所にいる魔術師でも、両手の平で数えるほどしかいないらしいのです。」と説明してくる。
この世の事情に疎いから助かる。
「なるほど!それはもったいない!お前たちもたぶん使えるのではないか?」と俺は何気なく言ってしまった。
「え?」と聞き返すバン。
「うん?」とミキシアも聞いてくる。
ミキシアは意外に話しを聞いていたようだ。と二人が俺ににじり寄ってくる。
二人の顔がドアップで俺に迫ってくる。
〝恐い!゛
「あのお二人さん?近い、近いから!」と俺は抗議の声を上げる。
「ねぇ、テト様。魔法教えてくれますよね!」とミキシア。
「テト様。魔法、魔法!」と目が少年のようだ。
「ははは。」と顔を背けた。
ゴーレム人形の身体で、両方の肩を二人が掴んだ。
「ちょ、ちょっと!痛い痛いから!」
「さぁやりましょう!」
「教えてください!」と二人はマジだ。
「はぁ、仕方ないな。簡易鑑定!」あまり使いたくないが・・・
簡易鑑定とは、知りたいことを知りたいものだけ引き出し、その結果を表示するスキルである。
バン 火、土。槍術。小内政。
ミキシア 火、土、回復。弓。
「ふむふむ、あれ意外とこの二人優秀なんじゃない?」と俺は思った。
「意外とは心外です。」とちょっと落ち込んでいるバン。
「それで結果は?」とワクワク顔のミキシア。
この二人、ゴーレムを己の身体のようにうまく使っているな。
まぁ、馴染んでよかったと言うべきか。
「ああ、まずはバン男爵は火と土、後、槍術を使えるようだ。」小内政ってスキルがあるけど、今はいいだろう。
「おおー。」と喜んでいるバン。
「えーとミキシアさんは火と土、あと回復が使えるな。」と声をかける。
「まぁ、そう言えばよく怪我をしたお兄様達を祈っていたことがあります。回復が速かったような?あれは魔法だったのですね。」と最初は口に手を当てて驚いていたが、目を輝かす。
えーと、この二人似た者夫婦なのか?
「しかし、火と土?」と考え出すバン。
「どうした?」と俺は聞いた。
「いやどうして、ミキシアと同じ属性が発現したのか考えていたんだ。」
「へぇー。」と驚く。
スキルに小内政って言うのがあるから、意外に研究とかも好きなのかもしれない。
領主とかだったから、内政とかよくするために頑張っていたのだろう。
「ああ、魔術の使い過ぎには注意してね!」と振り向いたら、それぞれなんか魔術使い始めていた。
「さっき聞いてきたこともういいのかよ。」と呆れた。
「できた。出来た。」と喜ぶミキシア。
「おおー、私が魔法使いになるとは・・・」と感慨深げなバン。
ああ、まぁ。放って置こう。
魔力がなくなって、後で痛い目に会うだろう。
たぶん二人の火、土の魔法を使えるようになったのは、死んで魂の状況になったことで火の魔法を、それにゴーレム人形に乗り移ったことで、土の魔法を発現したのかもしれない。
それに・・・いや今は気にしてはいけない。
「さて俺のゴーレム機体の作成だ!」
基本的にはイーツタイプをベースに・・・
身体を作り。角も付けよう。カッコいいから!
後、俺の機体は一つ目にして集音できる機能もつけてっと。
髪は・・・要らないな。鼻も要らないかな。
それでいて俺が乗れるコックピットを作り。
あとは空調設備がいるな。空気の入れ替えができるように目に見えない穴を作る。
しかし、攻撃を遮断できるように何層も重ねよう。
たぶん大丈夫かな?
自分自身を固定するためのベルトをつくって。
ちょっと上半身が大きくなった。
調整して足もとを太くして重心を調整。
バランサーは後で乗りながら調整するとして・・・
手は少し細い感じでもいいかも、バランスが大事だ!
頭にある一つ目から映像を取ってくる。
頭に他に二つのサブカメラを併用して、配線から映像を引っ張ってくる。
「いや、ここはファンタジーだったな。」と思って思案する。
周りをすべて可視化して見えるようにしよう。
この映像機能をいや、サブとして残すか?
一応つなげられるようにしておこう。
それに頭にはもう一つ面白い機能をつけて!
中でゴーレムを操作するゲームのようなコントローラーを作り。
ハードからの接続により、コントローラーからの魔力供給。
いや、こっちも操縦できるようなレバーも予備に作ろう。
そこからの魔力供給もプラスして・・・
足で踏み込む場所も作るか?
いや、赤ちゃんの踏み込みはまだ力が弱い、あくまで補助的にしながら・・・
そう考えるとコントローラーも調整がいるか?
赤ちゃんの指をにぎにぎし。
俺の目の前にあるコントローラーを操作する感じで調整をかけて・・・
「強化!強化!」と強度を上げていくボディ。
俺はそのコクピットに浮かび上がり乗り込み、乗り心地を確認。硬いな。
もっと柔らかく衝撃を和らげる土のクッション。
ジェルのように柔らかく!滑らか。
包み込むように、包み込むように。
あ、これってチャイルドシートだ!
角まで生やしてカッコいい機体なのにチャイルドシート。
カッコいいはずなのに!カッコ悪い。
そんな人型ゴーレムの機体が出来上がった。
「はぁ、まぁ仕方ない。これで最終決戦には参戦できるだろう。」と思った。
コックピットで俺は起動するためのボタンを押した。
機械のような周りの景色が一変し、外の様子が360度映し出される。
「ファンタジーだから、このくらいできると思っていたけど凄いな。」
バン男爵とミキシアさんのゴーレムが横たわっている野が見える。
魔力切れだろう。
コントローラーから魔力を供給する。グッと握り込んだ。
「名前は何にするかな?試作型だしなー。あっ、ツクモにしよう!」
うんうん、いい名前なんじゃないかな?
「よろしくなツクモ!」と俺は声をかけていた。
「はい!」と、なぜか機械音の返事が帰ってきた。
「・・・」
「・・・」と無言になる。
「オーマイガー!」と、俺が叫んだのは仕方ないことだと思う。
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