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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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成長のために

俺は起き上がった。

うーんと伸びをする。

目の前のゴーレムを見る。


「おお、主殿おはようございます。」と挨拶してくるイーツ。

一応言っておくけど、俺にしか聞こえない。


「あうあうあー。」ふむ動作はしっかりできているようだ。

いつもの癖で赤ちゃん言葉が出てきたじゃないか。


あれ、ここは?

そこはイーツの墓だった。


何を思ったか、墓に刺さっている剣を抜いた。

まぁそれ、お前のだし抜いていいと思うけど。


「あいうえお、かきくけこ、さしすせそ。」ふむ、こんなものか?

俺は部分的に変身機能を使うことにした。

これで円滑なコミュニケーションができる。

後でなにかあるかもしれないけど、部分的だから大丈夫なはず。

はずだよな!若干の汗が垂れる。


「イーツその剣を俺の前に持ってこい。」と俺は言う。

「?いいですけど?」訝し気に首回すゴーレム、なんか違うんだよな!


俺はボロボロになっている剣に魔法をかけた。

「リペア、からの強化。」より頑丈に切れやすくなったかな?


「おおー素晴らしい剣ですな!」と嬉しそうにしている。

「そうか?剣のことはよくわからん?」とそっけなく答えた。


蒼い玉と淡い玉が現れる。

「主殿申し訳ないのですが・・・」

「私たちの分の人形さんもお願いできないでしょうか?」と言ってくる。


「ああまあ、そうだな。あとイーツ周辺の魔物を狩ってきてくれないか?」

「構いませんが、よろしいのですか?」とまぁ少しやる気になっている。


「護衛ならこの二人にやってもらう。」

「なるほど。わかりました。」とゴーレムがコクコク頷いている。

「魔物の遺体は後で回収に行くからな。」と俺は言った。

「ほう。」

「とりあえず街の食糧事情を改善しよう。あとトッテ、クロード達の様子も確認しといてくれ!」

「はっ。」と駆けだしていく。


「さてと、二人のゴーレムを作るぞ!」とゴーレム人形を作っていく。


ある程度の工程を交互にやっていく。

特に後で作る淡い火の玉の方は入念に作っていく。


蒼い火の玉はそのことに気付いているようだが、何も言わない。

仕方ないよね。

美しさとかわからないけど、そんなプレッシャーを実はかけられているのだ。

あの淡い火の玉さんに!


作っている最中、俺達はお互いの自己紹介を軽くしていた。


蒼い火の玉のバン・フォン・ユーグ

淡い火の玉のミキシア・フォン・ユーグ。


今度から名前で呼んであげよう。

「というか貴族なんだよな。」と対応に困る。

「いえいえ、普通に接させてください。」

「お願いしますね。」と二人ともフランクだ!

良かった優しい人みたいだ!


二機とも出来上がった。

人型のゴーレム2、3号機だ。

「いい仕事したぜ!」と俺はやり切った感を出す。

少し伸びをして休憩に入った。


二人はお互いの人型のゴーレムを見ていた。

「これは・・・」と感嘆の声を出す。

「まぁまぁ。」と感激している。


2号機はバンのために作られた機体だった。

青年男性くらいの身長、ガタイも同じくらいにしている。

髪も一応作っている。簡易的にだが。この再現度合いが難しいのだ。

それに憑りつく形で意を決した感じで憑りついた。


「こ、これは動く、動くぞ!」と感動している。手と足が動いている。指の感覚もある。

頭も若干、上下に振っている。

あ、顔を回転させるのだけは止めさせよう。


次に3号機はミキシアのだ。

ボディーラインは女性の出る所は出て、引っ込むところは引っ込んでいる。

髪も奇麗に長く作ることに成功した。

ごめんなさい。これは正確に聞きながら作った。

なぜか女性型はこうしないとダメなような気がしたからだ。


たぶん男性型なら、転生前の自分を参考に作ることができる。

ある程度は変わらないはずだからね。


ただ女性型はボディーラインが実はよくわからなかった。

どう再現をすればいいのかと?

俺はアドバイスを受けながら、何とか作ることに成功した。


思わずミキシアさんと手を組みそうになったほどだ。


しかし、ミキシアさんには実体がなかった。

そのことを思い出し残念に思っていたのだ。


そんな3号機にミキシアさんが憑りついた。


ミキシアさんんも細部まで身体が動くことに感動しているようだ。


どちらかと言うと二体とも人型のアンドロイドに近いのかもしれない。

色もしっかりついているしな。

主にミキシアさんに細かく指摘されたのだった。


「バン!」

「ミキ!」とゴーレムの身体で抱き合っていた。


俺はどう表現したらいいかわからない感情に襲われた。

「まぁ、仲良きことは美しい。」という奴かもしれない。



一方その頃。

イーツはゴーレムの身体で魔物を蹂躙していた。


「ははは、我にかなうものなし!」と調子に乗っている。

次々に魔物を屠り、その道には死体の道ができていた。


「今なら王国の5将軍にも勝ってしまうかもしれないな!ははは!」と若干バクっている。


ふとそんなイーツの視界に戦っている者たちが見える。


「あれは!」とか言った時に、オークの攻撃を受ける。

やったと思ったオーク。しかし倒れない敵に訝しがり、何度も棍棒をぶつけるがそんなものではびくともしない。


「ふむ、防御力もなかなかあるではないか。ははは。」


思わず後ずさるオーク。


「今度はこちらの番だ!」とそのオークを一刀両断した。


「いい剣だ。下手したら、聖剣とか魔剣と言ってもいいのかもしれない!ははは、さてバカ息子の様子でも見に行きますかね。」と剣を肩に担いだ。



息子クロードの戦いを見ていた。

戦いは一進一退を繰り返し、オークチャンピオンの拳とやりあっているように見える。

「あのバカ息子が。」冷静に物事を把握していない。

指揮官とかならまだまだ未熟だろう。

周りの連中は逃げることを考え始めている。

仲間の方は優秀だな。


クロードの方ににじり寄る青年。

恐らく、戦いに夢中なあいつを引っ張って逃げる準備なのだろう。


後ろの二人は後ずさっている。

包囲の穴を見つけて一瞬にして離脱するつもりなのだろう。


髭がないのにゴーレム人形の顎を触っている。

「ふむ。しかし。」そう思った時には事が動き始めた。

クロードの剣が折れたのだ。

そのことに動揺する。


あれは俺がやった剣か、無理もないだろう。

あれほどの攻撃の応酬を繰り広げたのだ折れても仕方ない。


「だが、それで動揺するとはまだまだ未熟だな。」とクロードを見ながら思う。


このまま自分自身が突っ込んで、すべてを切り伏せて終わらせるのは簡単だ。

だがそうしてしまえば、きっとクロードは成長しないだろう。

諦めると言うことをその身体に、心に刻んでしまう。

その考えを改めさせねばならない!


イーツは剣を振りかぶった。

オークは拳をクロードにぶつけようとし。

クロードは目を閉じてしまった。

イーツは剣を野球のピッチャーの要領で・・・投げた!


回転して飛んでいく剣。

今まさに拳がぶつかろうとした時。

キーンと言う音とともにクロードが目をあける。



目の前には・・剣があった。


クロードはその剣を掴み取り、態勢がよろけているオークチャンピオンに向かった。

「沈め!」とただ思いっきり剣を、オークチャンピオンの心臓に突き刺した。


〝見事だ!〟

クロ―ドの心にオークチャンピオンが賞賛の声をかけた気がした。

いや、別の誰かだろうか?


剣をオークから引き抜く。

オークチャンピオンの身体はドサッと崩れ落ちた。

それを見たオークたちは、戦意を喪失し逃げ出した。


しばらくオークチャンピオンを見ていた。

「強敵だったな!」と声をかけてくるトッテ。

「ああ。」と俺はこいつの冥福を祈った。


「しかし、その剣は何なんだ?」と疑問を口にする?

その剣は誰が見ても魔力を帯びているのがわかる。


凄まじい剣だ。


姿は違うが、これが親父の剣であるとクロードは確信できる。

「親父の剣のはずなんだが?」と訳の分からない、困惑顔で言うクロード。



そんな時ガサゴソという音がする。


「誰だ!」思わず二人は剣を向ける。


そこには・・・後に何度も俺の前に立ちはだかる。


アイツが現れた!

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