親父からの剣
俺たちは4人で狩りに来ていた。
しかし魔の森はそんな四人に牙を剥く。
「スラッシュ。」とオークの頭を吹き飛ばすトッテ。
「兄よ。腕は鈍ってないようだな。」とオークの腹を裂くクロード。
「二人とも頑張ってくださいね!この領の未来は二人の肩にかかってます。」と投げナイフでオークを牽制する。シズクは戦闘服の忍者服だった。
普段のクナイでないため。まだ慣れていないようだ。
「お前さんもやるねー。」と口笛を拭いている。
「ちょっと俺を忘れないでくださいよ!」と抗議の声をあげるウッテ。
オークの腹に剣を刺して抜けなくなっている。
「あれ、おかしいっすね?」とまだ息があるオークが、ウッテに抱きつき締め上げてくる。
「ちょちょっと!」と抗議する。
「一閃。」と言って締め上げているオークを倒すクロード。
「はぁー助かった。ありがとう同志よ!」
「ああ、同志よ!」とお互いの拳を握りあっている。
剣が抜けないのか諦めたウッテ。
「次来るぞ!」とそんな二人にトッテが声をかける。
「しかし、多いですね。中々休めません。」シズクが言う。
すでに投げナイフを使い切り、剣で戦っている。
その最中に、時間があればナイフを回収してそのまま投げている。
「はっ、俺の伝説の始まりにはちょうどいい。」
「どこからその自信が来るのか、わからないな!」とオークを切り伏せる。
「ちょっと、まじ多すぎっすよ。」意外にもウッテは弓を使いだす。
オークの眼球を射貫いた。
「ヒュー。やるね酒ダチよ。」口笛を拭きながら言う。
「マグレ当たりだけどもよ!」とまた再び弓を構え射る。
「ウッテさんにしてはやりますね。」と珍しくシズクが褒める。
「ウッテさんにしてはって!」と抗議の声をあげたウッテの弓矢は、的外れな所に飛んでいく。
「まだまだのようですね。」
「ああ。」トッテは頷いた。
やはりウッテはウッテだったと納得した。
「お前、さっきのマジでマグレか?」と訝し気に見るクロード。
その手には自分の愛刀が握られていた。
「矢を放つのに集中力がいるんすよ!」と抗議をあげる。
「しかし、本当にどうしたものか?」
周りをオークの集団に囲まれている。
「兵がほとんどいないからな、モンスター退治にまで目を向けられないんだろう。」
クロードは答える。
「なるほど、この領地が窮地なのはわかったよ。」と剣を振るう。
オークがまた一体。減った。
「少し、移動しましょう。ここは足場が悪い。」と戦い辛そうに言うシズク。
剣を振るいながら、ナイフを四方に投げている。
「包囲されてかけてますから、ヤバいっすよ!」と声をだすウッテ。
「おおうおおう。」と声を上げながら、何やらオーク達が腹を叩き出した。
「なんだ?」と疑問に思う。
オークたちの間を抜けて強そうなオークが出てきた。
両こぶしを上に突き出し雄たけびをあげる。
腰にベルトが輝いている。
他のオークより脂肪がなく筋肉がついているような。
しかしがたいがよく、オークを筋肉化したらこんな感じになるのかもしれない。
「おおおおおううう。」とまるでそれは戦士の証明のような名乗りの声だった。
続けて周りのオークが雄たけびをあげ腹を叩いている。
森の木々から一斉に鳥が飛んでいく。
他の生物の気配が遠のいた気がした。
「オークの上位種?」
「そうみたいだな。オークチャンピオンってところか?」
「ちょうどいい、俺が相手してやるぜ!」とクロードが先走る。
「バカ無茶するな!」とトッテが声をあげる。
「どらっしゃーーー。」と言う声と共に剣と鉄の拳がぶつかり。
両者ともに仰け反る。
「かっ、つぇえ、つぇえよな。燃えてくるな。」
ああ力が湧いてくる。久しぶりに燃えてくる。
「楽しませてくれよな。」剣と拳の応酬が始まる。
「おおおおおううう。」それに答えるオーク。
何合打ちあっただろうか。
一見互角に見える。
その攻撃の応酬に目を奪われるオークと、ウッテ。
しかし、その二人は違った。
シズクはこの包囲の隙を探し、トッテはいつ逃げれるか考え、戦況を注視していた。
「おらぁー。」と剣を振るうクロード。
それを難なくいなすオークチャンピオン。
「うぉー。」と今度は拳をお見舞いする。それを躱して後ろに下がる。
気持ち風が舞ったような気がした。
「へへっ。」と笑うクロード。
「いいねいいね。」と言って再び剣を構える。
「うぉうぉ。」とオークが笑ったような気がした。
そんな光景を見ていた時。
「うわぁ。」と引っ張られたウッテ。
「いいですか。少しずつ下がってください。」と普段笑顔のシズクが、真剣な表情だ。
「なんで?」と疑問に思うウッテ。
「あの剣折れますよ!」と声をかけた。
「はっ?」とシズクさんはあの戦闘を見えているのか?
ウッテにはその戦闘が神がかっているように見えるのだ。
常人には辿りつけない頂がそこにあるのかもしれない。
そう思って、それをもっと見ていたいと思ってしまう。
いつまでも、いつまでも・・・だけどその戦闘が終わる?
「嘘だろう!」
ウッテはトッテを見た。
いつもと違ってあれは、真剣な目だ。決して安心していない。
ヤバいってことかよ!と心の中で思い。
ウッテはゆっくりと後ろに足を伸ばす。
しかし、終わりは唐突にやってくる。
剣が折れたのだ。
トッテはクロードに駆け寄る。
シズクとウッテはすでに走り始めている。
俺もクロードを引っ張り逃げる。
クロードは呆然と折れた剣を見ていた。
この剣は始めて親父にもらった剣だった。長いロングソード。
そう言えば最近は、手入れを怠っていた。
親父がいつも剣は大事にしろって言ってたっけ。
毎日手入れを怠ってはならないって、そんなことを言っていたような気がする。
「いいか剣って言うのは己の命なんだ。その剣が折れるってことはてめぇの命を粗末にしているようなもんだ。」
オークが大げさに拳を振りかぶる。
「それでも剣が折れる時がある。その時お前はどうする?」と聞かれ。
「・・・向かっていきます。」と胸を張って言う。
視界の端にトッテが駆け寄ってこようとして・・・
間に合わないと思って、ひどい顔になってやがる。
「はっ、剣と言う武器がなくなったんだ。次はどんな武器を使う?」
「わからねぇよ!」と俺は答えていた。思わず答えを求めるように親父に聞いた。
「親父はどうするんだ?」
「俺は戦ったよな?」周りのオークが勝った!と言ったような雄たけびをあげている。
「あーうん、さぁなーだけどな、あるものすべて使って生き残るさ。」
「はっ?」
「それで死んでんじゃねぇかよ。」思わず呟く。
オークの拳がはっきりと見える。
「例えば目の前に剣があるかもしれないだろう。」
「そんな都合よくあるかよ!」と鼻で笑った。
「戦場って言うのはそう言う場所だ。そこかしこに武器になるもんが落ちてんのさ。」
辺りを見たがそんなものはない。
オークチャンピオンの拳が俺に突き刺さろうとしていた。
俺は目を閉じた。
「いいか、生きたいのなら、勝ちたいのなら、目の前の剣を掴め!これは俺からの餞別だ!」
と、あのロングソードを親父が差し出してきた。
「最後まで諦めんなよ!」と親指を立てている親父がそこにいた。
目をカッと開けた。
目の前にはなぜか親父の剣が突き刺さっていた。
俺はその剣を迷いなく抜いた。
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