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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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クロード誓いを立てる

俺は夢の中で漂っていた。

一体どこに向かって漂い続けるのだろうか?

そんな俺を抱きしめるものがいる。


「女神様か?」俺は喋っていた。

「どうしたのですか?」と聞かれる。

「いや少し、やっぱりかなり迷っていて、これからどうしたらいいのかな?」と俺は思わず聞いてしまう。話しやすいんだよな、この女神さん。


「うん、そうですね。頑張ったらいいのでは?」と答えてくれる。

「それも考えたんですが・・・俺ってほら、赤ちゃんじゃないですか。」

「そうね。」と相槌を打ってくれる。


「赤ちゃんが頑張ってるところ、見られるわけには行かないでしょ。」

「そうかもしれませんね。でも、もう決めているんでしょう。」と俺の心を読んだように言ってくる。

「・・・決心が中々つかないものなんです。」


「大丈夫。テトならできるわ。自分自身を信じなさい。」と語りかけてきて、抱きしめてくれた。

それはなんだか優しくて、甘い香りがしたような気がした。



「あれ、俺は一体?」と頭を抑えるトッテ。

たしかウッテと一緒にお酒を飲んだことは覚えているのだが・・・


「あ、起きました?」

「ああ、おはよう。」

「はい、おはようございます。」


「あのシズクさんや?」

「なんでしょう?」とにこっとする。


「これは一体どういうことでしょうか?」とトッテは頭を抱え言った。


「はい?」

「いや・・・うん聞かないことにしておきます。」と言って起きて伸びをした。


「いい朝だ。」

「ふふ、そうですね。」


「あうあー。」と起き上がるテト。目を擦った。


「おおうなんだテトもいたのか?良かった、本当に良かった。」

「あうあうあー。」何があった?と俺は首を傾けた。


「なにもない!」焦ったように言うトッテ。

「何もなかったですよ!ただ、空きのベットがここしかなかった。ただそれだけです。」

ニコニコ顔のシズク。


「あうあうあ。」まぁいっか。

そう言えばリースとリッテは元気だろうか?元気だといいな。

この二人を見てたらなんだか重なって見えてくる。


「あうー。」うーむ。良く寝た。

なんだか心が晴れたようなそんな気がしてならない。

そう言えばあの三玉達と結局話さず寝ちゃったけど、まぁいっか!

今日はどうするんだろう?


昨日のクロードと一緒に俺は生活をするみたいだけど、大丈夫か?

「あうあうああー。」まぁ暴力に出たら、どちらが上かおしえてやるとも!

ダークな笑い声をあげる俺。


「おい、テトがなんか恐い笑いをしているのだが?」

「何か企んでいるのかもしれません。」と真剣な顔で俺を見てくるシズク。

「何かってなんだ?」

「さあ、赤ん坊の考えていることですから。」と言う。


「それよりあの二人を起こしに行った方がいいのでは?」ニコっと笑った。

「ああ、そうする。」この部屋から出て行った。


「さて。」ビック!と俺の背中が反応した。

何かこう振り向いちゃいけないような、そんな気がしてならない。


「ふふっ。」とシズクさんの笑い声が聞こえる。

「テト様。これは何かわかりますか?」と取り出したものは猫じゃらしだった。

「?」

「これはですね。赤ん坊の前で使うと大変なことになるそうなんです。」


いや、猫じゃらしにしか見えない?

もしかして異世界のマジックアイテムか!?

「あ!」と怖い顔をする。思わずベットの上で後ずさったかもしれない。


「やっぱり。おかしいと思っていたんですよね。」

「テト様もしかして・・・」

「ゴクッ。」と喉が鳴ったような気がした。


コンコンと言うドアを叩く音がする。

「シズク。ご飯だってよ。」とトッテの声が聞こえた。


その瞬間緊張が解けた。

「わかりました。すぐに行きます。」と返事をする。

「おうよ。」と返事をしたトッテ。

「まだ、納得したわけじゃありませんが、とりあえず今は置いておきましょう。」


「あうー。」


「あなたが頭がいい子だということはわかりましたから・・・」と言って俺を抱き上げて階下に降りていく。


「うう。」まあ、さすがに中身が大人だとは思うまい。


「お酒!」

「お酒!」ダメ人間たちがトッテに詰め寄っている。

「ああ、ダメに決まってんだろうが。」そう言う声が聞こえる。


「亡き親父が酒の先で呼んでるんだ。」クロードが言う。お前それあかんやつやで!

「俺もクロンが注いでくれる気がしたんだ。」クロンとはウッテの恋人の名前。

「お前等。」と頭を抱えている。


「「だからな!」」と二人が期待の眼差しでトッテを見ている。


そこにシズクが現れ、こう言い放った。

「二人ともいい格言を教えてあげましょう。」と二人を蔑みながら言った。

「働かざる者、飲むべからず!」

「な!」

「なに!」


「そんな言葉がこの世にあったとは・・・」と驚愕しているクロード。

「わかっていた。わかっていたことだけど・・・」悔しがる。


「「仕事をしないで飲む酒は美味しい。これこそ真理!」」と二人はお互いの拳を握り分かり合っていた。


「ウッテ。」

「クロード。」と二人は分かり合った。お酒好きに悪い奴はいないと!

「あうあうあー。」いやダメな奴はいるじゃん!と一応言っておこう。


そんな二人を女将とトッテがゲンコツする。

「ご飯食べたらさっさと出ていきな。」

「お前もだウッテ。」


「まぁこの剣に誓ってやるぜ。俺は強くなる。」

「お前その剣、切れないだろう。」と指摘してやる。その剣はボロボロだった。


「どんな剣も切れると思えば切れ、どんな剣も切れないと思えば切れない。」とカッコつけて言う。しかしその剣。折れそうだ。

「阿保か、そんな腕まだないだろうに。」とあきれているトッテ。

「あんだとー。」と文句を垂れている。


「折れたら切る切らないの問題じゃないだろう。」現実を突きつける。

「むむ。」と難しい顔をする。

「親父さんの剣が折れたらそれこそ悲しいだろう。」

「そうだな。」


「しかしその剣、ボロボロ過ぎる。最後まで戦ったのだな。立派な戦士だ!」と言ったトッテはカッコよかった。


「ふふっ。」と女将が笑っている。

「そうだろう。そうだろう。」うんうんと頷いている。

「ならばなおさら、供養してやれ、さぞ名の知れた男だったんだろう。」とその剣を見て理解したのだろう。

「・・・そうか、そうだな。俺は大事なことを忘れていたような気がするぜ。」とその剣を見て言った。



その足で郊外の見晴らしのいい場所に土の塚を作りこの剣を刺した。

宿屋の女将さん、娘さんも来ている。

俺たちはその剣の持ち主の冥福を祈り敵討ちのために動き始める。


「見ててくれよ親父。俺の目標は西方5剣だからな!」と誓うクロード。


女将が剣に酒をかけていく。

「あんた。よく戦ったね。おかげでどら息子は無事なんだ誇りな!」

「お袋。」と驚く。

「そう言ってくれんのかい。」

「ああ、今はそう言う気分なんだ。」

「お母さん、お兄ちゃん。」と娘も抱きついた。

二人は泣いていた。娘はちょっと複雑そう。



「家族っていいものですね。」シズクが言う。

「ああ。こういう家族ならな。」そっけなく答えるトッテ。

二人は無言で三人を見続けた。



ウッテは穴を掘って疲れている。

まぁあれだ、いつものことだ。



俺は複雑な顔で飛び回る黄金の火の玉を見ていた。


「あうあうああー。」成仏しないのか?

「まだまだこれからですので!」そう言い返す親父殿。


元気があってよろしい?

あれ?な、なんかおかしくないか?


飛び回る黄金の火の玉。うん。

皆の涙を返して欲しくなったぞ!

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