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疫病神と呼ばれてますが、バレないように影で活躍中!!  作者: 矢斗刃
第二章 ユーグ男爵領vs大野盗団
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天国と地獄

辺境伯領 領都ラーズ


俺たちは内乱の後、キースとリンズの結婚式(結婚式という名の打ち上げ)に参加をして、内乱の暗い気持ちを吹っ飛ばした。笑顔の二人は幸せになるのだろう。

なぜかウッテとトッテはボコボコにされていたが・・・


リースはシーズ辺境伯の元で辺境伯になるための勉強中だ。

リッテはそんなリースを甲斐甲斐しく世話をしていた。


ヤンはリースについていて訓練にも参加、兵達を鍛え上げていた。

お父さんと数多の兵が叫んでいて、異様な訓練風景らしい。


セバスも時々訓練の様子を見に行っていた。

ある兵達になつかれているらしい。


クーガー元護衛長は現在、ミーナを公爵家へ嫁がせる護衛隊の編成中だ。


そしてミーナはミルンに、懇々と一緒に来たらダメですからね!と説得をしていた。

ミルンは頷いていたが、絶対ついて行く!ついでに俺を時々睨む。


「あうーあーあー。」

羨ましいのか羨ましいのか?と多少挑発したように言うと。

目が血走ったように俺(赤ん坊)を見てくる。


恐い!と泣き出す俺。さすがの俺も、恐いものは恐いのだ。

精神が赤ちゃんに引っ張られているのだろうか?

「はーい。恐いでちゅね。」とあやしだすミーナ。


俺はそんな状態でミルンを見た。

ミルンビジョンで俺はどこかどす黒い存在に見えているのだろう。

勝ち誇った顔。いや普通に笑顔のつもりです。

そのことがより一層、ミルンを苛立たせた。


「もう我慢できん!」とミーナから赤ちゃんを取り上げた。


「お姉さま!」と抗議をする。

「ミーナ、お前は嫁ぐ準備を、くっ!しなさい。」と何とか言い切るミルン。

それもそれで我慢がならないらしい。

俺を連れて、ミルンはミーナの部屋を後にした。


やばいこれは捨てられるのでは?と戦線恐々としている。

「おい、そこのメイド!おう、ユリか?」とミルンが呼び止める。

「はいミルン様、何でしょう。」と声を掛けられたのはお嬢様のメイドのユリだった。


「この子いや、この疫病神をメイド達で世話をして欲しい。」と俺をメイドに渡す。

「はぁ。」と困った顔をするユリ。

一応ゆっくり俺を渡してくれた。

そしてニヤッとした顔を俺に向けてくる。


あれは・・・勝ち誇った顔だ!


ミーナがこれでお前を世話をすることはなくなった。と言っている顔だ。

なんかそう言うオーラまで感じるぞ!

「これで私に甘えてくる時間が増える。スキンシップもできるぞ!」

ぶつぶつとそういう風に呟いて、最後は叫んだ。

「最近は疫病神に構いすぎて、私が抱きつこうとして怒られていたのだ!」とキッと睨む。そのことを思い出していたらしい。


そして落ち着いたのか、もう一度勝ち誇った顔で俺を見てきた。


そしてメイドに言う。

「決してその子をミーナに近づけるな。それは疫病神だからな!ふははは!」とユリに言って去って行った。最後はなんかダストに似ていた。やはり兄弟なんだなと思ってしまった。


「私は今日は機嫌がいいぞ!兵達全員を相手に叩きのめしてやろう!」という声がしたが、聞かなかったことにしよう。

「あうあうあー。」頑張れ兵士たちよ!と言いながら赤ちゃん敬礼をした。


そう、そのダストとゴースとか言う人は鉱山に送られたらしい。

本当なら処刑なのだが、最後に辺境伯が温情をかけたな。




「さて、では行きましょうテト様!」と言って歩き出す。

「あうあー。」レッツゴー。


「はいはい。実は私もあやしたかったんですよね!」と言って可愛がり始める。


そして俺は、天国にやってきた。


そこはメイドたちが休憩する部屋だった。

メイド服から、メイド服に着替えようとする謎行動をしているメイドをじっと見て?

首を傾げた。

その仕草が可愛かったのか。

そこに集まるメイドたち。


「可愛い。」

「天使、マジ天使!」

「ああ、私の子供にしたい。」と俺はメイドたちの間をたらい回しにされた。


黒髪に対する怯えはメイド達にはないようだ。その辺はホッとする。

ならばこの状況を楽しまなければ!

メイドたちとのスキンシップを俺は心行くまで堪能した。


そう冒頭に戻るわけだ。

俺は甲斐甲斐しく世話をされながら、そして一日が終わろうとして俺は・・・寝不足に陥ってしまう。

メイドたちを喜ばせるために頑張りすぎたか?

夜もまたうまく寝られなかった。


次の日には俺はげっそりしていた。

その次の日も可愛がられ。

夜中も甲斐甲斐しく世話をする夜番のメイドたち。

そのさらに次の日も可愛がられ。

そしてさらに・・・おれは日々やつれていった。


ここは地獄だった。冥途に来てしまったのだ!


変に転生したことでより一層、そのメイド達を意識したのがいけなかった。


これが普通の赤ちゃんなら、泣いて終わるのだが・・・

俺は赤ちゃんの泣き方を、何度も再現できるほどの演技力はなかった。


そして俺は虚ろの目で今日もミルクを飲んでいた。


そんな時ドアが開き、誰かが入ってきた。


「おおうテトだったか。」と俺に駆け寄る男。

「お前をクロード兄貴の所に連れていく。」と男は言う。


「俺はトッテ。よろしくな。」

そんなトッテが・・・救世主のように見えたのは言うまでもない。


「あうあうあうー。」ゆうしゃーゆうしゃーと言って、思わずはしゃいでうれし泣きをしてしまった。

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