シスコン・ミルン 対 俺(赤ちゃん)
俺は激しい激痛で目を覚ました。
「あい、うーあうあー。」痛い。痛い。
全身のあちこちが痛い。なんでだ。何があった?
辺境伯を回復させたことまでは覚えている。
そこからの記憶がない。
何かを考えようとして、激痛が・・・
「ぎょぎょぎょ!」決して赤ん坊があげてはいけない声を出していた。
それほど痛いのだ。
たぶんあれだ。変身によって、身体が変化したことによる反動だ。
俺のスキル状態異常態勢でも、無理なのか?身体を締め付けてくるような痛み。
「ぎょぎょぎょ!!」と再び声をあげた。
「どうしましたか?」と俺を抱き上げるリースの妹ちゃん。
「ぎょぎょぎょー。」抱っこされて触られている部分が、物凄く痛いです。
抗議してもわからないようで、首を傾げる妹ちゃん。
あやすようにぶらんぶらんする。
「ぎょぎょぎょー。」痛い痛い、揺らさないで!と抗議する。
前世が妹ちゃんより年上のはずなのに・・・威厳とかない、泣いているかもしれない。
少しの間痛みに耐えていると、屋敷が騒がしくなっていく。
「何でしょう?」と妹ちゃんが呟く。ドアが開いてメイドが近寄ってくる。
その話声が聞こえた。
何やら、遠くの方で魔法による信号が上がったようで、それに対するため。
屋敷の兵が集まっているらしい。
へぇ、そうなんだ。痛い。とか思いながら、なんとか痛みで声をあげないように我慢する。
どっど、どっどと言う音が聞こえる。
「あうぎゃー」なんだ。何があった?痛い!
扉の前で誰かが倒れ、そのドアが開いた。
「ミーナ。」と言う声とともに妹ちゃんは振り向く。
身体を揺さぶられた俺は、痛いのを我慢するようなひどい顔になっていたと思う。
「ミルンお姉さま。」と言うミーナ。
妹の無事を喜んだのもつかの間。
そんな時、俺の顔を見た。
「は?」と言う顔になり、青ざめるミルン。
「そ、そんなミーナが、私のミーナが・・・」と後ずさる。
「お、お姉さま!大丈夫ですか?顔が青く。」と慌てるように声をかける。
「あうあーー。」と俺は痛いーーと声をあげるのに精一杯だ。
「汚されてしまった!だと!」倒れ込んで、床に拳を何度も叩きつける。
「ああう。」あっダメ痛いのが限界にきて俺は、意識を手放した。
「そうか、そうか。リースがやったんだな!許さん!許さんぞ!」と立ち上げる。
誰かが見れば、後ろには怒りの炎が見えていたかもしれない。
「落ち着いて、落ち着いてください。お姉さま。」ミーナは諭すが聞き入れないミルン。
再び赤ちゃんの顔に目を向ける。
「ミーナ。ミーナはそれでいいのか!」確認を取るように聞く。
「え、えーと。」戸惑うミーナ。
「この子は絶対!疫病神だ!ミーナ!見ろこの不気味な笑顔を、髪だって不吉な黒じゃないか!」まくしたてて一旦呼吸を吸う。
「その子を私に渡せ!すぐにでも魔の森に捨てて来よう。そうすればなかったことにできる。安心しろミーナ。すべてお姉ちゃんに任せればいいんだ。」と真面目な顔で言う。
「えっ。」と驚くミーナ。
「相手は誰だ!私の剣ですべて切れ伏せよう!関係者含め!やってやる!王だと言われても殺してやるからな。安心するんだミーナ。」とドーンとドヤ顔。
「安心出来ませんお姉さま!しっかりしてください!」
「子供と言う証拠があるんだ!一発、いや永久に殴りつけてやる。フフフ!」目が狂っている。もはや正気じゃない。
「お姉さま!違います。違いますから、戻って来てください!」と必死になって抗議するが、まったく聞き入れてもらえない。
「どんな拷問がいいかな?まずは父上に・・・妹を守れなかった償いを・・・」と暗黒面に落ちている。魔王にでもなってしまったのだろうか?
困っているミーナ。
そんなミーナに近づくメイドがいた。ユリは耳元であることを呟く。
「えっ、そんなことでいいの?」とミーナはユリに聞いていた。
「はい、お嬢さま。効果は抜群です!」と親指を立てるユリ。
ミーナは訝しながら、大きな声で・・・
「お姉さま大っ嫌い!お話しを聞かないお姉さまなんて大嫌いです。」と言い放つ。
大っ嫌い、大っ嫌い。と言う言葉が心に響く。
時が止まったようにミルンは止まった。
ミルンは泣き出す。
「だって、だって・・・」顔がクシャクシャになるほど涙顔だ。
しょぼんとしている。
そんなミルンを見て、ミーナは赤ちゃんをユリに渡し、お姉さまを抱きしめる。
「大丈夫、私は大丈夫ですからね。」と優しく諭すように言う。
「ああ、ああ!」とお姉さまも抱きついてきて、返事をしたのだ。
「お姉さま落ち着きましたか?」
「ああ、もう大丈夫。いやもう少し。」と言ってまだ抱きついていた。
何とか落ち着いてもらうことに成功したミーナは状況を話し出す。
「えーとまずは。」と考え、言葉を漏らした。
その言葉を聞いてお姉さまが聞く。
「まずはその疫病神は何なのだ?」
お姉さまは私に抱きつきながら、メイドのユリが抱き上げている赤ん坊のことを聞いてくる。
私はその言葉を聞いて考える。
「そう言えば、お父様からは何も聞いてませんね。何なんでしょう?」と答える。
「はっ?何もわからずあやしていたのか?むっ怪しいな。」と片手で妹を抱きながら、片手で剣の柄に手を伸ばした。
「お嬢様方、私も聞いた話ですが・・・なんでも、その赤ん坊が領主様を助けたとか?」
メイドが答える。
「うん?どういうことだ?」と聞き返す。
「?」ミーナはわけがわからない顔になる。
「すみません、私もわけがわからないのです。」と困った顔をする。
「ただ、旦那さまが言うには命の恩人だと、だから保護するそうです。」
「赤ん坊が命の恩人、物の怪か人ではないものが付いたか?」と言って妹をかばって前に出るミルンいつ剣を抜いてもおかしくない。
出会い方が最悪だったから印象が悪かった。
未だ、にへらと笑い。気味が悪い。
「ダメですよ。ミルン様。それ以上やるなら、あの情報はもう送りませんよ。」
「あの情報?」と首を傾けるミーナ。
そんなミーナも可愛いなと思いながら、仕方なく手を剣の柄から放した。
「そうか、お前だったか。あの情報には感謝している。」
そう、このメイドは毎月ある情報を私に事細かに送ってくるのだ。
「情報ってなんですか?」と再び聞いてくるミーナ。
「言いたいが、トップシークレットなんだ。」と拳を握って目を閉じ我慢する。
「そうです国家機密です。」と人差し指を口に当ているユリ。
「そんなこと言われたら、聞きたくなるんですけど。」と抗議するミーナ。
怒っているミーナも可愛い。
その情報はミーナに関する事細かな情報だ。
この情報のおかげで、私は学園の問題を解決した。
そして今もなお安心して、国境警備と言う任務についていられる。
ユリは再び赤ん坊をミーナに渡した。
「しかし、今回の件についてはあまりにも唐突だったため、連絡の対応が出来ませんでした。申し訳ございません。」と頭をさげる。
私は考えた。
「もう一人メイドがいるか?戦闘面で、ふむ心当たりがある。後で派遣しよう。」
あまりやる気はなさそうだが、使える女がいたことを思い出していた。
「はっ、ありがとうございます。」メイドユリが頭をさげた。
「えっえっ?」と混乱しているミーナ。
「なに、こちらの話だ。」とミーナの頭に手を乗せ、なで始める。
「ただいま、ミーナ無事で何よりだ。」と笑った。
「は、はいお姉さま!」やはり私はこの笑った顔が一番好きだった。
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