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セバスとミルンとゴースとゴース?!

「外に出すだけでこれとは?これはもはやどうにもなりませんな。」とセバスが呟く。

片っ端に兵舎のドアを開け、そこから引きずり出す形で表まで引っ張ってきたりした。

それでも使えそうなのがいればよかったのだが・・・


「見込みのあるものがゼロとは?大夫鍛え方が足りませんな。」これは荒療治しかありません。


「さあ、いつまで寝ているのです。起き上がりなさい。」と発破をかける。

「敵を多く捕えたものは領主から報奨金が出ます。」と言うと皆が皆食いついてきた。


「それはいい酒が飲めると言うことか。」と今まで座っていた奴。

「それはもう、1日1食は食えるってことか?」寝込んでいる奴が言う。

「買い食いができる。」とか各々が言っている。


「はて?これはいかに?」と頭の中で考える。


やる気がなかった者達が立ち上がっていた。

「おおう俺はやりますぜ!」

「いよっしゃー敵は、敵はどこだ」と剣をすでに構えている。


「ふむ?貴方たち一つ質問があるのですが?」疑問に思ったら聞くしかない。

「なんでしょうか?」と皆が聞いてくる。

「貴方たちの給料はどのくらい?で。」とぴきりと音がした。


「金貨5枚。」

「金貨1枚。」

「金貨4枚。」ガクッとと項垂れてそれぞれ答える。


なんということだ。と頭を抱えるセバス。

「いいですか、たぶん普通に兵士をしていたら、少なくとも月に金貨15はあるはずです。その金貨はいったいどこに行ったのでしょうか?」セバスは犯人探しを始めた。


「そう言えばゴース様の隊長が俺たちに直接給料は渡してました。」

「うそだろう。」

「まさか。」

「あの人が・・・」と怒りに震える兵達。


「そうです。これからそのゴースの部下と、ダストの部下を捕まえに行きます。捕まえて奴らが巻き上げた金貨を取り戻したくはありませんか?」と兵達の顔を伺った。


兵の皆はやる気になっている。

「「「許すまじゴース!」」」と円陣を組んでいた。

意外にチームワークはいいようだ。

助け合いをしなければ生きていけなかったのだろう。


「ちなみにその隊長の名前わかりますか?」と一番聞きたいことだ。

「いえ、それが・・・」

「わからないのです。」

「聞いたことがあるのですがはぐらかされてしまって・・・」皆下を向いた。


「ふむ、自分の足をつかめなくするため、普段から名乗ってなかったか?」と考え込むセバス。


「ではとりあえず。カラスの野盗団の討伐に行きますぞ!」

「「「はい、セバス隊長。」」」


「私は執事なのですがね。たまにはいいでしょう。」と言って皆で歩き出した。



ゴースたちは街の中を馬で駆けていた。

真っ暗闇の中、先頭の隊長に付いて行く。

どうにかこうにか城門の方までやってきた。


「ひーーー。」とかいう声が聞こえる。

ゴースは何とか馬にしがみついている。


「ゴース様もう少し頑張ってください。」と励ます隊長。

「わ、わかっている。ここで捕まったら、俺は殺されてしまう。」とより一層馬にしがみついている。よく馬が道をそれず。走っているなとついてきた皆は感心した。


「あとの問題は城門ですね。」と呟く隊長。


やはり城門は閉められている。しかし、内側からは開けやすい構造だ。

いや、ここはそのまま行きましょう。


「このまま突っ込みます。皆さん覚悟を決めてください。」と声を張り上げて言う隊長。

「ひーーだ、大丈夫なのかそれは?」と疑問に思って声を出すゴース。


「大丈夫です。伊達に隊長をやってません。」と背中の大剣を右手で扱う。

その剣に魔力を流していくと一瞬にして炎が噴き出した。


「おい。」と城門の兵が自分たちの存在に気付く。

そして何人かが止めに入るが、馬で突っ込めば物の数ではない。

ゴースの馬が転びそうになったが、執念でも乗り移っているのか無事態勢を立て直した。


隊長は一人突出した。

「ふぅ。では行きますよ。」と馬に乗り左手で手綱を起用に操りながら、大剣を上部に掲げる。


剣の魔力の炎が輝きをます。


「炎剣スラッシュ!」とスキル名とともに城門に向けて振った。


ドンと言う音とともに木でできた城門が崩れ落ちる。


手を見れば剣が粉々に砕け柄だけが残っていた。この手も震えている。

しばらくこの手はものにならないだろう。

「下付された一回こっきりの魔剣も失ってしまいましたか、このまま走り抜けますよ!」と号令をかける。

「ひぃー。」と相変わらず。叫び続けているゴース。


「「「うぉぉぉー」」」と後ろから声が聞こえてくる。どうやら追手のようだ。

「おー賞金首だ。」

「あそこにいるぞ!」とまだ距離があるがこちらに気付いたようだ。


「帝国との国境に向かいましょう。時間との勝負です。行きましょう。」と気合を入れなおす。隊長。


ある程度走っただろうか。

ゴースはへばって意識が朦朧としているようだ。と思ったら、ゴースが乗っている馬が暴走を始め、勝手に違う方面に走り始める。

焦って追い始める部下達。


「ひぃーー」とまだ必死にしがみついていたゴース。


その周りに簡易なテントが何個かある。

「おい止まれ。」という声が微かに聞こえる。

「新種のモンスターか?」と言う声。

「グールか?」とその女は近づいてくる馬の背中に乗っている男を見る。


「しかしその後ろから追手が来ているな?ふむ戦闘態勢!」と兵達に号令をかける。

突っ込んでくる馬に槍を構える兵達。数からして互角くらいだろうか?と冷静に分析する。


槍の存在に驚いたのだろう、馬が急激に止まる。その馬から振り落とされるグール。

皆が皆槍を向け囲まれるゴース。


「言葉が通じるとは思わぬが、さてモンスター、ここに何の用かな?」と聞く女、どうやらこの女が隊の隊長のようだ。


「ひいぃーとどうかお命だけはお助けを!」と土下座をするゴース。

「ふむ。」と剣をしまう。

「で、お前はなんだ。」と聞いた。

「ひぃー。」と自分を見下す女に恐怖する。


「うん。」と何かに気付いたゴース。

「ミルン姉上!」と相手の顔を見て声を挙げる。


「うん、姉上?」と首を傾げる女?


「そうです。私ですゴースです。貴女の弟。ヒィー。」と再び見えぬ速さで剣を抜いて首筋に持ってきていた。

ゴースの顔に汗が流れる。

「私は喋るグールの兄弟を持った覚えはない。」と睨む。その睨みだけで人を殺しそうだ。


「ヒィー。」ゴースはこの姉が苦手だった。何につけても暴力で解決しようとしている女だ。


「お前たち知っているか?」と聞く。

「知りませんな。」とミルンの右隣にいる壮年の大男。

「知るわけありません。私たちは普段、城塞勤務なんですよ。そんな人会ったことありませんよ。」とミルンの左隣にいる女。

「というか、姉上なのに知らないって、うけるー。」ケラケラ笑う女がいる。


「だそうだが、私の弟であるなら、証明しろよ!」と屑を見るような目で見てくる。


「ヒィーー。」と再び叫ぶ。


証明しなければ、ここで殺されてしまう。

何か何かないのか?と懐に入っている物を思い出した。そうだ、そうだ、これがあった。

これさえあれば、私が辺境伯に返り咲く事も夢ではない。


ニヤリと笑うダスト。

〝これが勝利の方程式と言うものだよ。〟

今は亡き兄上に向けて言おう。注、一応生きてます。


「ふふふふ。」と不気味に笑いだす。ゴース。


「おおうグールが笑い出した。」

「おかしな呪法を使うのではないか?」と所々で言っている。


「申し上げます。」と報告を挙げてくる兵士がいる。


「なんだ。」と淡々と答えるミルン。


「さっきの謎の集団が、冒険者に襲われています。」と報告してくる。

「ふむ、冒険者が襲うということは何か良からぬことをやっていたのかもしれませんな。」と答えるミルンの隣の壮年の男。


ここが勝負所だ!とゴースは思った。

「ミルン姉上、あのもの達は私を襲おうとしていたのです。」

私の部下よ。私のために死んでくれ!と心の中で思う。

そのビジョンの中に皆が喜んでいる姿がある。

イエス・ユア・ハイネス。俺を殿下のように慕ってくるあいつ等だ喜んで犠牲になってくれるだろう。


周りが不敬にもミルン様のことを姉上と、再び呼んだ事で殺気だつ。

「取り合えず話が終わるまで聞いてやろう。もし気に食わないことだったら、お前の首がチョンパだ。」とゴースの首に冷たい鉄?の感触がする。


「ふふ。」と再び不気味に笑う。不愉快そうにするミルン。

「こ、これを見てください。」と差し出す手紙。

隣の大男がそれを受け取り、ミルンに渡す。剣を地面に突き刺す。


「ふむ、ふむ。む?」と書かれていることに片眉をあげる。


「こちらもある程度の情報はある。一応聞かせてくるかな。」と雰囲気が変わる。

「ひぃーーー。」今までの比ではない!コイツは化け物を飼っている。

周りの人間も緊張感を増している。


「で、一番大事なことを聞く。これに間違えたらお前を拷問して、八つ裂きにして、モンスターの餌にして。怨霊にしてその魂おも焼き。輪廻の果てまでも追いつき、一生出られない暗闇の中に閉じ込め、ぐしゃぐしゃにしながら、永久凍土の寒さの中。己の罪を悔いながら、死すらも超越しこの世にあるすべての武具で一度は死んでもらう。」

戦慄を覚えるゴース。ゴクッと喉が鳴ったような気がした。


「妹、ミーナは無事だろうな!」といつの間にか距離を詰めていたのか目と目が至近距離で合う。


「はっ?」とわけがわからず混乱するゴース。


「だから、妹ミーナは無事だろうな?」とゴースの髪を掴んで聞いてくる。と目が狂ている。荒れ狂っている。


周りを見ると緊張で強張っている。

そう言えば姉上はシスコンだった!!と驚愕の顔で思い出した。


ダスト兄上が妹ミーナをイジメていたら血祭りにあげた。

社交界でミーナが嫌がることをした貴族を血祭りにあげる。(父上もその家に圧力を掛けていた。)

学園でミーナが困っていると、どこかで聞きつけたミルンが学園長室に乗り込み学園長を血祭りにあげ、おかげで王都の騎士団から左遷され、辺境の国境警備にあたることになった。


つまり妹の事になると周りが見えなくなるのである。

これは使える!と確信した。キラーンとゴースの目が光った。


俺は口八丁にストーリーを作り出す。

「リース様がミーナ様を害そうとしております。ミーナ様を守ろうとした父上がリース様に暗殺され、ミーナ様は孤立しました。父上は最後の力をふり絞りこの遺書を書き、ミーナ様の救出をミルン様にお願いするように、私に家督を譲ると書き記し、命を落としたのです。」と身振り手振りを交え涙ながらに言う。


素晴らしい演技で、これで勝つる。天はやはり私を見捨てていなかった。と心の中で呟きくらい笑顔をしている。


剣を収めるミルン。

「お前たち行くぞ!」と心は荒れ狂っている。

ああーやっちゃったと思う皆。

「こいつはす巻きにでもしておけ。」とゴースを蹴る。

深紅の馬にまたがるミルン。

「テントの撤収は何人か残って行え、終わったら合流しろ。」と壮年の男が声を張り上げる。

「皆、聞け!」と馬に乗りながら皆に振り向いて大声を出す。


「敵は領主邸にあり!」と、いつの間にか皆が皆馬にまたがっている。


ゴースはす巻きにされ馬に巻かれて地面に置かれた。

「あ、あれこれって。」

「もっちろん引きずるんですよ!」と姉上の近くにいた女が言う。

「はっ?ちょっと待て、待ってください!!」と彼の声は届かなかった。


「いざ行かん、妹を助けに!」その目の狂気は未だに消えていない。



「ふむ、行ってしまわれましたか?」とゴースとその部下を見ながら言う。置き去りにされた隊長。

「むしろいい囮になってくれるかもしれませんね。」と納得する。

一人になったことで逃げやすくなったのかもしれません。と考えていた。

ゴース様には悪いですが、逃げさせてもらいましょう。


ゴースが逃げ去った方向を見れば兵隊たちがいる。あれは辺境警備隊でしょうか?

いったい誰が、これも策なら恐いですね。


「ゴース様、あなたの事は嫌いじゃありませんでしたよ。ご冥福をお祈りいたしましょう。」

と去って行った方に合掌する。


「それはあんたのことじゃないかい。」と声を掛けられる。


「あなたは、確か黄昏の時のリーダー。確か名前はソウスケでしたか?」と思い出しながら聞く。

「そうだけど、あんたの名前も聞きたいね。」と言ってリュートで殴ってくる。

「リュートは殴るものではなく、奏でるものではないのですか?」と反撃として蹴りを放つ。


「ああん、そんなわけないだろう。」と輝き出すリュート。


「そのリュート・・・魔法武器でしたか?」と驚く。

「ああ、リュートメイス。ダイストだ。」と言って振り抜いてくる。

振り抜かれた所に木々があるが、スパっと切れ倒れる。


「あーあ。恐いですね。しかし、私の目的はここから逃げる事なので、失礼しますね。」と言って何か丸いものを取り出す。


「させるか!!」っと言ってリュートで殴りかかるが、重い蹴りを一発もらうソウスケ。

その瞬間、煙が辺りを支配した。

「けほけほ。」と咳き込むソウスケ。


「くっそ、逃がしたか。」と言って地面をリュートで殴りつけ悔しがる。

「俺も、老いぼれたかね?」と一人呟いた。



「危ない、危ない。B級冒険者とはまともにあたりたくありませんね。」とある程度逃げてきた所でぼやく。


そこに殺気を感じて飛び退いた。

地面にクナイが刺さっている。


「こ、これは下手を打ったかもしれませんね。」とさっきまでの余裕がなくなる。

「姿は見せてくれませんか?さすがに王国の影ですね。」何かに誘導させられている?

相手は何人いるのか?わからない。

「まずいですね!」と思わず呟いてしまう。


思わず森から出てしまった。

それは仕方ない。

しばらく平野部を進み続けていると向こうに部隊が見える。

あれは護衛隊のヤンだ。

なるほどヤンがいるなら、追い詰められているわけだ。

アイツとの賭け事は負けが込んでいたからな。


「これは万事休すですかね?」と諦めかけてポケットから包み紙を取り出す。

〝自殺用の毒薬だ!〟


「そうでもないですよ。」と声が聞こえ馬の音がする。


「あんた。」と驚く隊長。

「ふふ、僕と君の仲じゃありませんか。」と声がする。


夜が明けようとしている。

その男は隊長の帝国の上司だった。

特に何の特徴もない普通の人だ。

これで何個もの顔を持っているらしく、本当の顔なんて誰も知らない。


「情報部の上司が何でここにわざわざ?」と疑問に思ったことを聞く。


「なに、王国の面白そうなことに首を突っ込むのが帝国の情報部の癖みたいなものだ。まぁ一種の娯楽だ。娯楽は大切だろう?」まるで王国を敵とも思っていない言葉。


「そんなことを言っていたら足元を救われますよ。俺みたいにね。」ヤンの方を見ながら言った。


「ふふふ、だけどわが友をここで死なすのは惜しい。お前も力を貸せ、次は子爵領で暴れるからな。人が足りんのだ。」と子爵領の方を見て言う。


「イエス・マム。」と返事をする隊長。笑顔になる上司。

本当はイエス・サーなのかもしれない。

しかしこの方はイエス・マムの方が好まれる。


「おかえり、わが友ゴース。」そう俺の名前はあの領主の息子と同じ名前だった。


だからかもしれない、ゴース様と自分を重ねて楽しんでいたのだろう。

目を閉じ参謀の馬の後ろに跨った。その馬の足音はまるでしない。


ヤンの姿は知らず知らずに遠ざかったのだった。

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サブタイトルの意味を最後にわかってもらえたらなーと思います。

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