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ミーナの決意

私は部屋に戻って来て家族のことを考えていた。

父上のこと、ダスト兄上のこと、リース兄上のこと。

考えれば考えるほど、わけがわからなくなってくる。


私は大事にしている熊のぬいぐるみをぎゅっとした。

母上は王都にいてここにはいない、そうなると一人になってしまたのだろうか?

なんだかそう考えると悲しくも、寂しくもなってくる。

姉上も戻って来てくれないのだろうか?

しばらく会っていない姉上の事も考える。

貴族同士の結婚が嫌で家を飛び出したのだ。


「羨ましい!」と呟いていた。

でも私にはそんな生き方はできないだろう。と目を瞑ろうとした。そんな時。


「お嬢様失礼します。」とメイドのユリが入ってくる。

「どうしましたかユリ。」いつにもまして慌ただしいメイドだった。


「いえ、何か不穏な気配を感じましたので・・・」と言ってタンスの中に隠れてしまう。

「うん?何が。」と言った時、部屋のドアが開けられ、人が入ってくる。


ニヤニヤとしている三人の執事がいた。

「どうしました。何があったのですか?」と驚いて聞き返す。

「何って?なぁ。」と真ん中の執事が聞く。

「「そうですね。」」と両隣の執事が同意している。


段々と近づいてくる三人。

真ん中の男が腕を掴んでくる。私は恐くなり。

「い、いやーーー。」と目を閉じ声を上げる。


何かされると思ったが、しかし何も来ない。

恐る恐る目を開けると、いつの間にかその三人は倒れていて、そこにはメイドのユリが立っていた。

「ユ、ユリ!」と言って思わず抱きつくミーナ。

「大丈夫ですよ。」と言って優しく頭をなでてくる。


少し経ってユリは言ってくる。

「ミーナ様、こうなっては仕方ありません。ダスト様を討ちましょう。」

なだめながら言ってくる。


「え、何を言っているの?」と顔を上げ困惑するミーナ。

「こいつらはダスト様の手下です。」とメイドは指を指して言う。

「!!」と驚く顔をする。


「恐らく辺境伯様を手にかけたのはダスト様でしょう。」と目を閉じながらユリは言う。

「それはそうかもしれませんが・・・」と躊躇っている。

薄々そうじゃないのかと思っていた。


「この方たちもダスト様が辺境伯なら、何をやっても許されると思っている人たちです。この方たちも被害者なのです。」悲しげに言う。

「・・・」私は何も言えなかった。


「はっきり言ってダスト様が辺境伯になると、何人も涙を流す人が現れるでしょう。私たちメイドの中にももう被害を受けた人たちが・・・」と俯くユリ。

「ユリ・・・」と同情する。


「今こそミーナ様が立ち上がる時なのです。」と真剣な顔でユリが言う。

「わ、私が・・・」と驚く。


「メイドの皆はもう覚悟が出来ています。どうか私たちをお導きくださいませんか?」と手を差し伸べてくるユリ。

私は迷った後、決意してその手を取った。

「わかりました。この私ミーナ・フォン・ラーズが皆に命じます。兄ダストを討つと。」

両手でユリの手を取った。


「さぁこちらに着替えがあります。」

どこから取り出したのだろうかいつの間にかそこにあった。


「え、あ、着替え?」戸惑う。

「そうです。皆に抗うと決めたその姿を示さなければなりません。ささ、こちらに、お足を上げてくださいね。手も上げてください。まぁこんなものですかね。メットはまぁいいでしょう。出来ました。」部屋の姿見に映っているのは、鎧を着ている私だった。


「え、何これ?」

「こんなこともあろうかと、辺境伯様に言って作らせた一品ものです。極力軽く、極力丈夫に最高の鎧です。」手を広げ言ってくる。


「そ、それはわかるんだけどどうしてこんなものが?」

「この鎧はお嬢様が嫁ぐ時に送られる予定だったのです。」と語り始める。


「と、嫁ぐときに?」

「はい、嫁ぎ先を守り抜くと言う。験を担ぐような物です。一種のお守りですね。」笑顔のユリ拳を握っている。


「そ、そうなの?」押しが強いメイドにタジタジのミーナ。

「そうです。それを着て出陣しますよ。まずは各部屋を回ります。そしてこいつらは見せしめになってもらいましょう。」とそこで伸びている男たちの衣服を剥ぎ出す。

窓から投げ捨てた。


「あ、あのそこまでする必要が?」と声をかけた。

「お嬢様を襲ったのです。これぐらいは当然です。」と縄でぐるぐる巻きにしていく。


そして太いベットの柱に括りつけると、そのまま男たちを二階の窓の外に投げ出す。


「あ、あのユリちょっとさすがにやりすぎなのでは?」とさらに困惑する。

「あとで打ち首になるのです。このぐらいはざまぁですよ!!」と言って私の手を握り部屋を抜け出す。

コンコンとメイド部屋を訪れると皆が皆剣や弓を持っている。

変わったのでメイスを持っていたりする。


「皆さん頑張りましょう。」と私は作り笑いで必死だった。


そんなことを知らないメイド達は、お嬢様が私たちのために立ち上がったことに凄まじい忠誠を誓うのだった。

ブックマーク、評価、応援よろしくお願いします。



色々な人の視点って難しいですね。

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