助けられたリース
地下牢への入口に男が一人で警備に当たっているようだ。
「変わりが来ないなーふぁー。」と目を瞑ってあくびをしてしまう。
目を開くと目の前に女がいた。
うん?と思った瞬間に腹に一発重いものが入って男は気絶した。
リッテは部屋から出ていた。
地下牢入口に配置されている男をワンパンして気絶させ、その男を自分がいた部屋に運ぶ。
そこに男が倒れていたら不審に思われてしまう。
見つからないに越したことはない。
とりあえず剣を奪っておこう。
まさかワンパンで沈められるとは思わなかった。
どうやらこの力は本物のようだ。力が底から溢れてくる。
「使い方は誤ってはいけないですね。力に溺れないように、戒めましょう。」そう呟いてゆっくりと地下牢に続く階段を降りていく。人の気配が二人する。護衛ではない?奥にももう一人囚われている人がいるみたいだ。
私は壁に掛けてある。鍵を取り、手前のリース様の牢を開ける。
「リース様。ご無事ではありませんね。」
気を失っているようだ。失血がひどい。身体には痣がたくさんある。
手ひどくやられた割に、顔への被害はあまりない。
恐らく明日処刑するつもりだから顔を避けて攻撃していたのだろう。
拷問をされていないと、あくまで自白したと、そう言うことにしたい人がいるようだ。
とりあえず両手に嵌めてある鎖を外し、崩れ落ちそうなリースを支え、横たえる。
ポーションを飲まそうとして、口がうまく開かないで、飲みきれないのがわかる。
「本当にしかたない。仕方なしですよ」と自分に言い訳してポーションを口に含む苦い。
そうしてリースに口づけをしてポーションを流し込む。
ある程度の外傷が消えていく。呼吸もしっかりしているようだ。
「初めてのキスがポーションの味とは・・・苦かった。」とちょっとショック。
いいえ仕方ありません今度はリース様からしてもらいましょう。
少し落ち着いたようなので、隣の牢にやってくる。
「うん。」そこには見るに堪えない男がいた。
それで死んでないとはよほど頑丈な男なのだろう。リッテが近づいたら吐血した。
「執事のセバス様ですか?」男は苦痛で歪む顔を上げる。
「針とか剣とかを抜きますので我慢して下さいね。」と次々に一つずつ抜いていく。
セバスが声を上げそうになると次のを抜いて、声を上げられない状態にしている。
さっきのの拷問が可愛く見えるくらいに痛い。
ささっていたもの全部抜いたようだ。
最後には慣れてしまって声をあげない。
「さすが執事長様ですね。」と言ってポーションを二本ほど飲ませた。
これもある程度回復するが出た血までは回復していない。立ち眩みに襲われる執事。
リッテは固定してある鎖を外した。
どさっと倒れる執事。それから何とか立ち上がる。
「すごいですね。立ち上がるとは、無理はしない方がいいですよ。」とリッテは警告する。
「あいにくとしぶといのが私セバスの特異な事でして・・・心配いりません。」と言って身体の血色がよくなる。
「なるほど、良いスキルをお持ちなのですね。」とセバスに言う。
「いやいや、先ほどの拷問でも死ねませんでしたからな。ああやられてしまうと、このおいぼれには精神的にきついのです。」とやれやれ顔のセバス。
「なるほど、そう言うスキルを持っている方はああいうのはダメなんですね。」と考え込むリッテ。今度誰かを実験台にしてとか物騒なことを呟く。
「これは弱点を教えてしまいましたかな。」と笑顔なセバス。
「ええ、今後の参考にしたいと思いました。」と二人の目が合う。
「所で貴女は敵なのか味方なのか教えてもらいたいのですが?」と涼しい顔で聞いてくる。この男もまた強い。リッテと同業、彼は守る方に特化しているようだ。
「大丈夫です。私はリース様と夫婦なのです。だから大丈夫です。」と自慢気に言う。
「そうなのですか。これはまさか、領主様のお孫様を抱かせてもらう事は意外に早そうですな。」と感心して言う。
リース様という堅物を落とされているとは、いや落とされたのかもしれない。
リース様は顔がよし性格もよく度々縁談の話しを耳にしましたが、こういう女性が好きだったとは私から見ても完璧な女性ですね。
いささか身分的なものがありますが、そこはどうにでもなりましょう。
何やら少しは高貴な方の出のようだ。
「あとで旦那様にも報告いたしましょう。」
「はい、ありがとうございます。」と笑顔になるリッテ。
これで公認、公認と嬉しそうだ。
自分がいた牢屋を出て隣の牢に入る。
どうやらリース様もポーションを飲んで思ったよりも大丈夫そうだ。
「ここは?リッテ、リッテなのか無事だったんだな。良かった。」と思わず抱きついてしまう。そこまでは良かったが身体が重い、うまく動かせないようだ。
力が入らず倒れそうになる。
リッテが瓶をあけてポーションを口に含んで、キスをしてきた。
ポーションが口から口に流れ込んでくる。
俺は飲み干すようにキスをした。
全部飲み干してしまってもキスを辞めないリッテ。
どうやって振りほどこうかと思っていると。
「ごほん。」と咳払いが聞こえる。リッテが名残惜しそうに身体をゆっくり放してくれた。
「心配しましたリース様。」と涙を流しながら言ってくる。
「ああ、俺もだよリッテ。」と再び抱き合う。
「それとセバスも無事でよかった。」とリースは嬉しそうに言った。
「すべては奥様のおかげでございます。」とセバスは頭を下げる。
「へ、奥様?」と疑問を浮かべる。
「先ほどキスをされていたではありませんか、まさかこの期に及んで結婚しないとか責任をとらないとか言われませんよな。」とセバスが睨んでくる。
「わ、私は捨てられるのですね。ひどい!」と泣きまねをしているリッテ。
「・・・わかったちゃんと責任を取る。俺も男だからな!」と観念したように言うリース。
「それはようございました。早くご領主様のお孫様をお抱きしたく。存じます。」と恭しく言う。
「まぁ、さすがセバスさんふふふ。」
「当たり前の事ですよリッテさん。ふっ。」と笑うセバス。
この二人案外似た者同士かもしれない。
「さて外に出る前に聞きたいことがある。リッテのそれはなんだ?」と真剣に聞いてくる。
「それとは?ああ、容姿の事ですか?これは闘気術という技です。内なる秘めたる力を解放する。限界突破という奴ですね。後日倒れますので、甲斐甲斐しく面倒を見てくださいまし。」と上目遣いのちょっとエロいポーズで言っている。
「わかった。正直助かった。で、これからどうする?」と聞く。
「そうですなー。」とセバスが答える。
「正面突破で行きましょうか?どの道あのダスト坊ちゃまを討たなければ何も解決しません。派手に暴れておびき出してこれを討つ!それしかありませんな。」
「そうですね。下手に逃げて賞金首にさせられると辛いですし、それしかありませんか。」とリッテは納得する。
「それしかないか。」と険しい顔をするリース。
「大丈夫ですよ。何とかなりますよ。」と確信した顔をしているセバス。
「そうですよ。あんなやつボコボコにしてやりましょう。」とシャドーボクシングをする。
「ではメインホールまで行きましょう。それからダスト様の寝室まで向かいましょうかね。」と言って三人は地下牢からの脱出を果たした。
襲撃の始まり。
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