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リースの願いと執事セバス

注意!まだ暴力的表現があります。

そこは地下牢だった。

リースは両手を左右から鎖で縛られ、動けなくされている。


さっきまでダストの部下の拷問を受けていて、俺に辺境伯を殺したことを認めるように言ってきたのだ。

もちろん俺は拒否した。

そうしていたらあいつらは暴力を振るって来た。


最初はニヤニヤしながら殴る蹴る。

段々焦ってきて木剣や鞭を使って嬲るように攻撃を加えてきた。

それでも俺は認めなかった。だが・・・


「しぶとい奴め・・・そう言えばこいつ・・・確か近くに女がいたな。」

「ああなるほど、お前が認めないとその女がどうなっても知らないぞ!!」

俺はそれを聞き頭に血が上る。

思わずそいつを蹴っていた。

鋭いのが決まったと思う。


「お前、あいつに手を出したら、許さない!許さないぞ!」と顔は鬼気迫っていた。

思わず殺気を出していたのだろう。

拷問慣れしてない男たちが後ずさる。


うるさいんだよっと言って木剣で殴ってきた。

「ぐふっ!」俺の髪をつかんで汚く歪んだ顔を近づけてきた。

「はーはー。お前が認めないとな!そいつをどうするかわかっているんだろうな?」

「・・・」


「じゃあ、仕方ない。まずはそいつを捕まえて・・・」身体を反転させようとする。

「待て!」思わずリースは呼び止める。

「待て?頼み方ってもんがあるんじゃないかな?ん?」再びこちらを向く男達。

「・・・待ってください。」俺は悔しながら頭を下げた。


「はじめからそういう態度を見せとけばいいんだよ!」っと言ってまた殴る。

「なぁ、お兄様よー明日広場でお前の処刑がある。しっかり罪状を認めてくよな。」

男は顔が歪んでいた。

「ゴース・・・わかった。」目を閉じ俯いて答える。


「前からお前は気に食わなかったんだ。俺より少し早く生まれたからって継承権は俺より上。顔がいいから女にも持てる。はっ明日からお前がいないと思うと、俺は感涙しちまうぜ!きゃははは!」と言ってもう一発もらう。


「今日は俺のサンドバックになってもらうぜ!今までの恨みの分だ!」

それから何発ももらう。

時間が経ってどうやら気が済んだみたいだ。

リースはもうボロボロだった。


「間違って何発か顔も殴っちまったか、拷問して吐いたと思われると厄介だが、まあいいおい、例の女を探してこい。」とゴースは部下に命令する。


「ゴース!!貴様!!」リースは男の名前を叫んだ!!


「勘違いするなよ。お前が約束を守るための人質だ!約束さえ守れば解放してやるよ!」

そう言って、弟は高笑いしながら去って行った。


「くっ。」

すまないリッテ。どうか無事でいてくれ。

目を閉じて心の底から願った。


少し時間が経って、何か物音がする。

思わず頭を上げて視線を向けると、執事風の壮年が両脇を動けないように、男たちに抱えられて運ばれてくる。


「・・・セバス!」

俺は駆け寄ろうとするが、鎖で動けない。

代わりに向こうが近づいてきた。

牢の柵で阻まれ、それ以上はこちらに来れない。


「くっ、リース坊ちゃま・・・お前たちこんなことをして、ただで済むと思っているのか!申し訳ございませんリース坊ちゃま。私めがもう少ししっかりしていれば、こんなことには・・・」と男は泣き崩れる。


「そんな事はないセバス。俺の方こそすまない。こんなくだらないことに巻き込んでしまって・・・」と頭を下げる。


「リース坊ちゃま!」

執事は抵抗するが両隣を抑えながら、付いてきたもう一人に殴られ、力がはいらなくなりセバスが連れていかれる。


「すまないセバス。」俺は慟哭した。声を上げ己の弱さを嘆いた。


隣の牢が開きセバスが入れられたようだ。

そこからセバスの悲鳴が聞こえる。

暴力を振るわれているようだ。


「くっ、くそ!兄上!どこまで愚かなのだ!!」

血が出るほど爪を掌に立て泣き叫ぶ。

そうでもしなければ自我が保てそうになかったからだ。

リッテどうか君だけは無事でいてくれ・・・俺は届かぬ願いを天に祈った。

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