三馬鹿の中に俺を入れないでくれ。
次期皇帝に睨まれると言う、そんなヤバい状態に冷や汗を流しながら・・・
俺は決勝の舞台、なぜかゴールキーパーなのにキックオフの前線にいたりする。
「えっ、これっていいの?」と何人のメンバーに聞いただろうか?
「頑張れ!」とジータ。
俺の肩を叩くタッキー、任せたと言っているのかもしれない。
他のメンバーも親指を立てたりしている。
俺は頭をかいた。
「わかった。やればいいんだろう。」と俺は投げやりに言う。
「ピッー。」と開始の合図がなる。
タッキーが俺にパスを出す。
「やぁ、ゴールキーパーだから君とは対戦出来ないと思っていたけど、こうやって対戦できるのは嬉しいよ。俺はカジョーズ・フィー。ゴール。君を倒す男だね。」とこの間、廊下ですれ違った奴か。まるでサッカーをするために生まれた家系のようだ。
「お前この間の試合で点を取っていた奴か。」確か身体能力強化と風魔法を使っていたな。
「魔法を使っちゃいけないと言うルールはないぜ。」と言ってくる。
「そうか、なら俺が使っても文句言うなよな!」
「はっ?」とあいつは驚く。
俺は蹴った。そのスライムボールは決して速いものではない。
「はいらねぇ。ゴールの軌道は完全に塞いだ。」
相手のゴールキーパーは最初、ボールが来るなら右だと思っただろう。
全然外れた方に向かっていると思う。
それでも警戒はやめたくないとそちら右側に走る。
「警戒し過ぎだ。」と俺は手を上げた。
「な、お前なんて言った?」とジョーズ君が言う。
そのスライムボールは途中から軌道を変え、まるで魔法がかかったように曲がっていく。
きっと場内の誰もが、ボールがこんなに曲がるとはと思っているに違いない。
それはキーパーと反対方向、左隅にゆっくりと決まった。
「はぁーー。」と対戦相手の誰もが思った。
目が飛び出ているものもいるかもしれない。
がっくりと膝をついたジョーズ。
「来いよ。まだ試合は終わってないぞ!」伝説の男の一言に、こいつに勝ちたいとジョーズは立ち上がった。
俺は手を上げているが、観客は実は何が起こっているのかわかっていなかったりする。
わかってないというこの瞬間が実は恥ずかしかったりする。
大画面のオーパーツが俺のシュートを何度か、流した事でそのすごさがわかったのかもしれない。
あのあり得ない角度から急激に曲がってゴールキーパーと反対方向に決まる。
何度も俺を見ては、画面を見ている。
そしてその時は訪れる。
「英雄、英雄。」
「もはや神だ!」と叫ぶものまでいる。
熱狂は始まったと同時に最高潮まで高まったのかもしれない。
俺は見たくなかったが、皇帝が立ち上がって青い顔をしていたりする。
心中は知らない、考えるのが面倒臭いのだ。
その近くに昨日の王妃様が笑っている。
俺に手を振ってきたので返しておいた。
もう一度、天高く拳を突き上げるのだった。
「英雄!英雄!」
「神だー!神だー!」
うん、神はやめて!
俺たぶん疫病神だから・・・そんなことを心の中で思った。
「いぇーい。」と両手の親指を立ててジータと踊ったりした。
そこにタッキーが抱きついてきた。
ナホとハイタッチを交わす。
そして定位置のゴールキーパーの所まで戻って来た。
「お前たちも頑張れよ!」と俺は大きい声をかけた。
「そしてこの日、俺は伝説になった。」と一度言ってみたかった。そんな自分に酔っていると。
ゴールが決まった。
「へっ。」と言う顔をする俺。
ナホはやれやれ顔だった。
大画面にはジョーズが焼けくそ気味に放ったのマグレ辺りのボールがゴールに入っていた。
俺は崩れ落ちる。
「お、俺の伝説が・・・今終わった。」と地面を叩く。
「ほら。」と手を差し伸べてくるナホ。
俺はその手を掴んだ。まだまだこれからだと気合を入れる。
「さぁ頑張ろう。」と言った俺の言葉は虚しかった。
「俺の親指ダンスを返せ!」
「抱きついたの取り消す。」
「ハイタッチもなかったことにして。」内の孤児院は酷いのばかりだ。
だがこれで・・・皇帝はほっとしていた。
俺が子供だと印象付けたな。
うん、すべて計画通りだ。決してわざと失敗したわけではないと左目を輝かせた。
王妃はあらあら顔だった。
「うん、ツクモさんが見えるな。」
「なるほど、上げて落として上げる。これこそが皇帝への道!」とか意味不明なことを言っているが知らない。そんなものならないからな!面倒くさい。
「すでに面倒ごとを抱えているというのに・・・」と俺は調子に乗っている向こうのシュートを受け止めた。片手で・・・そして前線に蹴りだす。
うーん適当に蹴りすぎたかな?
その落下地点にジータがいた。
そのジータの顔面にボールが当たり、そのままジータは脱落する。
そのパスを受けたタッキーは・・・
「ジータの死は無駄にしねぇー。」と強烈なシュートをゴールにぶち込んだ。
うぉぉぉ。ユニフォームを脱いで振り回す。
あっこれって・・・
超絶レッドカードぉぉぉぉ!画面にまで出たよ。
「えっ。」と言う顔になるタッキー。
何やってんだよ!と頭を抱える。
「三馬鹿がやらかした。」と俺とジータとタッキーを見る女の子たち。
「ちょっと待て!俺は入れないでくれよな!」とジト目で睨まれ、顔を背けるしかなかった。
一応ここで前半は終わった。
こうして俺達は11対9と言う数的不利で戦わないといけなくなるのである。
ブックマーク、評価お願いします。