さぁ決勝戦・・・あっ死亡フラグ立った
次の日、俺達は準備万端。
ミルク万端!
「ぷはっつ!」とエイナと二人で飲み干していた。
エイナがなんか訝し気に俺のことを見てたりするんだよね。
「ああ。」と言って顔を背けると両手で俺の顔を挟んでくる赤ちゃん。
「おぇ。」とげっぷしたのは仕方ないことだろう。
それに引いて少し距離を取ったようだ。
「行こうぜ。」そう言ったのは今日が久しぶりの出場になるジータだった。
「今日は退場すんなよな。」とタッキーが言ってくる。
「おまえなー。」
そんなやり取りを俺たちは笑った。
「皆もひでぇーな。」と言ってぷんぷんしている。
俺達は孤児院を出た。
近所の皆が俺達のお出迎えをしてくる。
「頑張って来いよ!」
「お前たちならやれる!」
「応援してるからね。」
「ミレーヌさん結婚して!」
最後のはともかくも、皆からこの孤児院は愛されているんだなと俺は嬉しくなる。
ここはいつの間にか俺の大切な場所になっていたらしい。
皆で最後、勝たないとな!
「あうあうあー!」と俺は叫んでいた。
そうして街の道を歩く中、そこかしこから応援の声を受け皆が手を振っている。
花を蒔いてくれる人達がいる。
ジータやタッキーは俺達がヒーローだと思っているに違いない。
女の子はまぁ花びらが奇麗とか言っているし、差し入れを食べたりしている。
俺も英雄、英雄と女の人からちやほやされたい。
そんなよこしまなことを考えていると見上げた先には恐ろしい顔をしているナホがいた。
「おぎゃー。」と下手したら泣いて、ごめんちょと泣いたかもしれない。
「あっごめん!」と謝ってくる。
「よしよし。」と優しく撫でてくる。さっきのは何だったんだ?
気付けばエイナが俺の様子を見ていたりする。
そんなことは気にしない、恐かったと思いながら俺達は進んでいった。
向こう側で次期皇帝ルッソ・バーン・ロードが現れると、スタジアムの席の皆は立ち上がって迎える。
うーん、なんかこう敵になりそうな顔だな?
俺達は観客席から3位決定戦の様子を見ていた。
貴族の子女と貴族の下級男子共との試合だった。
互角の試合で、最後はアレリーナがごぼう抜きして決めた。
それが決勝点になった。
喜びを爆発させていたが、試合中何かこっちの観客席とかを見て首を傾けていた。
俺の変身した姿を探すのはやめて欲しい。
男子チームは泣き崩れていたな。
「お前たちの仇は俺達が!」とか燃えながらジータが言っていたが・・・うん、なにも言わない方がいい時ってあるよね。
さてと、皆が立ち上がる。
「行ってきます。」と皆がミレーヌさんとゴーレム達に挨拶している。
「ちゃんと来るんだよ。」とナホが言っているがなんの事だろうか?
その言葉を首を傾げながら聞いていたのはエイナだった。
バレませんように・・・
「ちょっと離れますね。」
「はーい。」とエイナをあやしている。
そんなことを祈りながら俺はゴーレム達に連れていかれる。
再びスライムを影武者にした。
〝変身〟とノリでポーズを取った。
俺の姿が十代くらいの子供に変身する。髪の毛も黒から茶髪に変わった。
「テト様。」ぎくっと。
バレたのかと思いそちらを見ればツクモさんだった。
「なんだー。ツクモさんか驚いた。」と俺は安心した。
「決勝に出られるのですね。頑張ってください。」と応援してきた。
「ああ、良かったら応援たのむなー。」と俺はそこを後にした。
「変身シーンはばっちり録画しました!」
ツクモさんが後ろから何か言っているが知らない。
俺は耳を抑えながら向かっていった。
なぜか俺の背番号はゴールキーパーなのにエースナンバーの10番を背負っている。
この間まではジータの番号だったのにな・・・
この番号は普通他のフォワードとか点を取る人が着るものなんだけどなーとか思う。
グーの手を掲げて試合会場に入る。
「英雄!英雄!」とスタジアム中が熱狂している。
スタジアム中が歓喜で揺れていた。
大画面には俺のスーパーゴールが映し出されていた。
「ふふん。」と自慢顔になる。
俺を知らないものが、俺を知って再び歓声を上げる。
まるで世紀の英雄のようだ。
ふと、それを面白くないような顔で見ているものに気づく。
次期皇帝ルッソ・バーン・ロードだった。
俺は青い顔になる。
やっべこれ死亡フラグじゃん!調子乗っちゃったよー。
心なしか皇帝が入ってきた時より声援が多いような気がする。
それはないよね?
皇帝だよ。あのこの国の一番偉い人だよ。
あっ違った次期皇帝だったね。
「英雄!英雄!」それを聞いて歯ぎしりでもしていそうだ。
俺は冷や汗をかきながら・・・中に入っていく。
この歓声はなんだ!と心の中で呟く。
まるでこれじゃあ、あのサッカーコートに立っている子供が次の皇帝のようじゃないか!
私への声援が小さく見える。
これで私は皇帝としてやって行けるのか?
向こうを見るとあの小僧が笑ったような気がした。(皇帝視点で)
まさか!奴はこの帝国を乗っ取るつもりなのか!
思わず私は立ち上がる。
あの小僧が恐い。
「あいつは一体!何なんだ!」と俺は側近に聞いた。
「はっ、それがわからないみたいです。」
「わからない、どういうことだ。」
気付けば側近の襟を掴んで引き寄せていた。
「わからないっ!どういうことだっ!!」と思わず大きな声を上げる。
勇者の国から伝わった言葉がある。
大事な事だから二回言った!
側近は事の重大さを理解したのだった。
「すぐに、今すぐにでも調べさせます。」
「あの者が民を扇動したら、この国は終わるぞ!」と俺の周りにいる者どもに言った。
「英雄!英雄!」その言葉が彼等の心に響く。
どちらの声が彼等の心に届いたのか、顔と心を引き締まった。
「流石テト様。最高の神ですね。いやこの場合英雄と言うことになるのでしょうか?」と身体をくねくねさせている。
その視線の先に、この危険な状況を悟ったのだろう次期皇帝様が慌てている。
そのことにほくそ笑む。
「彼にとってこれは偶然?必然?運命?」
「ふふ、私が彼にあったのは必然なのでしょうね。」と言ってこの試合、彼女はテト様を応援するのだった。
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