罪づくりなサッカー男子
どこか今までと違い男子の動きが悪かったりする。
やはり異性が相手だったりすると意識してしまい、やり辛いのかもしれない。
そして均衡が破られた。
貴族の女子チームが先制!
皆で喜んでいた。
その中心に俺がいたのはなんでだろうか?
俺がこの二人にアレリーナとホーナに抱きつかれているためだ。
二人は俺から離れられなかったため、俺は貴族の女子たちにもみくちゃにされ。
そうして前半は終わってしまう。
散々な目にあったと思いながら、戻ってみると。
ナホにジト目で見られる。そして他の女の子達にもそう見られてしまった。
「あれは不可抗力だから!」
「ふん!」と顔を背けるナホ。
「あれはないよね。」
「ないない。」女子たちが文句を言う。
「うらやましい。」そしてなぜかジータが言っていた。
こいつはモテたいだけじゃないのか?
そんな風なことを思いながら、なんとか和やかなムードに・・・そちらを見る。
チコちゃんは自分のせいで得点が取られたと思ってどんよりとしていた。
なんか地面と会話している。
「私の存在意義は私は大人なのに・・・」とぐったりしている。
俺はそんなチコちゃんに語りかける。
「チコちゃん子供だから仕方ないよ!」と慰めた。
「ちっさいからしかたない。」
「うんうん。」と何か胸に矢が刺さったように白くなっていた。
「さて実際問題どうする?」と俺は皆に聞いた。
「男の子は当てにならないわよ!」とナホが言ってくる。
「私が点を取る。」とサナが決意しているようだ。
そして俺達の後半。
キックオフと同時にアレリーナとホーナが近づいてきたが、俺は取り敢えず逃げる。
その隙にサナが前線に上がり二、三人を抜いてキーパーと一体一になる。
キーパーがそれを止めようと前に出る突っ込んできた。
そのスライムボールをサナはふわっと浮かせて、キーパーの頭上を越え、ネットにゆっくりと入った。
サナが手を広げて駆けだす。
バク転して決めポーズを取った。
皆がサナをもみくちゃにしていた。
喜びすぎだろうと思ったが、子供だから仕方ないよね。
なぜかゴールを決めた所ではなくバク転のところが映し出された。
スタジアムの皆が拍手している。
サナはやる時はやる女なのだ。
うんうんと俺は納得している。
そして俺は女二人に追い詰められている。
いつの間に修羅場になっているのだろうか?
相手の女の子は敵なのだ。
「ふふ、とうとう、追い詰めたわ!」
「観念してください。」と二人が飛び込んできた。
「悪いけど、俺は勝つよ!」と言ってこの二人の攻撃を回避した。
二人がぶつかり合ってダウンしている。
俺が行こうとすると二人も立ち上がって追ってきた。
俺は二人が追ってくるのがわかるがそこにボールが回ってくる。
俺はそれを天高く蹴り上げる。
ボールの行方を皆が追っている。
フィールドの皆が太陽の反射光で見えなくなっている。
そこに急にスライムボールが落ちてきて現れる。
それはゴール前の俺の前だった。
キーパーはそのことに驚いて止めようと出てくる。
だが遅い。
俺はそれをダイレクトで右隅に決めた。
俺は観客の前を走り回るが歓声が来ない。
「えー。」と俺は滑ったことを悟った。
またも、皆が何が起こっているのかわかっていないようだ。
そして映像が再生された。
最初のボールが俺の所に回され、それを遥か上空に蹴りだす。
この時皆の意識がボールに向いて俺はただゴール前に走り、落ちてきたボールを蹴ってゴール。そんなシーンだった。
それが終わって手を振り上げる。
ちょっと遅くて締まらなかったけど、歓声は答えてくれた。
「英雄!英雄!」と言う声がスタジアムを制した。
ああ、気持ちいい!
この歓声が気持ちい!
今度はナホやタッキーが駆け寄りもみくちゃにされた。
そして今度こそアレリーナとホーナに確保されるのだった。
「もう絶対話しませんからね!」
「不覚です!」と言っている。
それから俺達は必死に守った。
俺はただ抱きつかれていただけだが・・・
彼等の活躍は一生忘れないだろう。
皆がチコちゃんのフォローに回りながら、相手も必死に戦っている。
この二人も攻撃に加わりたそうにしているが・・・
俺を止めるために悔しそうだ。
残り時間も少なくなってきている。
そんな時チコちゃんがうずくまる。
かと思ったら炎が灯ったらしい。
目に火が付く。
「私は大人だー。」とか言ってスーパーセーブを連発し出した。
「おおー。」と俺はチコはやればできるんだなぁと思った。
そして運命の瞬間、俺の前にボールが来ている。
しかし俺は動けない二人も動けない。
決して放すもんかと抱きついてくる。
段々とうっとおしくなってきたぞ!
うらやましいとか思わないで欲しい。
これ一応サッカーの試合なのだ。
このまま試合終了の笛が鳴った。
俺達は帝国サッカー杯決勝に駒を進めたのだった。
今度は皆と喜びを分かち合った。
「やったー。決勝だ!」とかみんなが言っている。
「ジータ決勝だ。」
「ああ。」と言って腕を合わせ合った。
「完敗よ。」
「負けました。」とか言って二人ともが手を差し伸べてくる。
二人の視線が交差した。
「えーと。」これは二人のどちらを選ぶかってやつですか?
「どっち!」と二人が俺に迫ってきた。
俺はそれに困る。
そんな俺の襟元を後ろから掴んでナホは引っ張って行った。
「二人ともまたねー。」と挨拶をしておいた。
ズルズルと俺は引きずられて行く。
「まったく貴方はもう少し、しっかりしてください。」とこっちを見たナホの前にはもう俺はいなかった。
それを寂しいと思うのは私の勝手なのかもしれない。
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