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疫病神の誕生!

「おぎゃーおぎゃー。」と泣きながら誕生する。

ここはどこで私は誰だ!とわめき散らしている。


元気な赤ん坊ですね。


「そこのメイドさん、この子を別室に連れて行って。こっちはまだもう一人いるからお願いします。」優しく渡してくる。

「わかりました。」と言ってあやされる。


「はい、ひーひーふー。」とさっきの女の人の声がする。

その声も段々遠ざかって、おぎゃーおぎゃーとまた子供の声がしだした。

皆が慌てている。


どうやら隣の部屋に連れてこられたみたいだ。


目がやっと開いてきたか?俺はベットの上にいた。

周りを見ればザ豪華な部屋、あれはメイドさんまでいる。


「あや。」声がうまく出せない。


手を見れば小さく。にぎにぎ。

うまく力が入らないようでなんかベットを見れば柵があって、あれ?

これってもしかして!!

俺って小さくなって・・・


〝あかちゃん?!〟


なんかあって、転生したってことか!!うそーーん。

確か転生する前むかついた上司に辞表を出して、嫌味を言われながら会社を辞めたのは覚えてるけど、それからの記憶がない。

うーん俺、向こうの世界でどうなっているんだろうか?

そんなことを考えていると、部屋のドアがバタンと開いて誰かが入ってきた。


貴族のような・・・背が高くイケオジ、思わずダンディかってツッコミそうな外見だった。

「我が子か、しかし黒髪で・・・」何かを考えるように目を閉じる。後ろでメイドが泣く声が聞こえたような気がした。


〝え、な、何かあるのかな?嫌な予感がするぞ!〟


「双子であったことが幸いなのか、災いなのか。」

俺はそれを静かに聞いていた。

なんとなく聞かなきゃいけないような気がしたからだ。

ごくっと俺ののどが鳴ったような気がした。


「本来なら隔離してばれぬように育てるのがよいのだが・・・黒髪は呪われた子として忌み嫌われていて殺すのが貴族としての習わしなのだ。しかし我が子を殺すのは忍びない。」と拳を固く握ってまた黙考する。


「リース居るか?」後ろに若い男が現れる。

「はっ、ここにいます。」鉄製の鎧を纏った男が貴族の前で肘をつき頭を下げる。


「お前に頼みがある。この子を養子に出したい、平民で辺境の兵士辺りがいい、素性は伏せてな。」男が少し考えて答える。

「・・・私の異母弟が確か、辺境で兵士をやっていた記憶があります。」うんうんと頷く貴族。そうして一度俺を抱き上げた。あやすように優しく接している。


「すまぬな、お前に苦労をかけることになるが・・・お前はここで死んだことにする。元気でな。」放したくなさそうにしながらも、俺を若い男に渡した。


この部屋から出って行こうとして一度振り返る。

「リースくれぐれも頼むぞ!」ともう一度念押しをする。

「はっ私の命に代えましても!」と太陽の陽が窓から差しかっこいい男の姿が現れる。

「頼んだぞ!」とリースの肩を叩いて出ていった。


その親父の背中は悲しげだった。


「ふーーリッテ、この子の事は内密に頼む。」と男リースは頭を下げる。

「わかっております。」メイドは深く頷いた。

こちらも美人さんだ。出るとこしっかり出てプロポーションがいい。


「もし喋ったら、俺が殺しに行くからな。」と言って剣に手をかけ殺気を放った。

「はい、私とリース様との秘密ですね。」と何気にすごいメイドである。

ちなみに俺は気を失いました。赤ちゃんだから無理です。

「リッテ旅支度をお願いしていいか?普通の冒険者の恰好で辺境まで行かなければならない。」

「かしこまりました。」



俺は騎士団の詰め所の近衛の団長室に来ていた。ノックをする。


「はーいどうぞ。」と言う声がして、中に入る。

「ああ、リースちゃんか何か用事?」と書類に目を通しながら、こちらを少し見て声をかける。

耳が長く顔がしっかりしている。

近衛の騎士団長は女性のエルフなのだ。

一部では残念エルフと言われているそうだが・・・


「はっ!明日からしばらく実家に帰りたいのですが・・・」と言い訳をする。


「うーん、いいわよ例の件ね。」と言った瞬間に俺は剣に手をかけていた。

しかし、剣が抜けない。氷で固まっている。


「短気ねーうーんまぁ、合格かな?相当ヤバい案件みたいだね。うん、私は何も知らない頑張って!」と全容は把握してないようだった。

「聞かないのですか?」と俺は思わず聞いてしまう。


「あなたみたいな人、何人も見てきたからね。聞かない案件ほど知らない方がいいんだ。どこで誰が聞いているかわからないからね。君も気をつけなよ。あと死ぬな。必ず生きて帰れ。」そう言いながらも書類を裁いていく。


「はい、全力で無事に帰ってきます。失礼しました。」と言って団長室を後にする。

「あの子、空回らなければいいけど・・・。」と少し心配し、再び書類に目を通す。


「たまには思いっきり魔法を使いたいんだけどね。帰ってきたら書類仕事あの坊やにやらせてみるか?なんか出来そうだし・・・うんありかもしれない、しっかり成長して帰ってくるんだよ!」と一人言を呟いていた。



リッテが城から出るとき、城の地下通路(水路)から街の中に出てきた。

赤ちゃんの俺は・・・その時ばかりは目をランランとしていた。

城に地下通路とテンションが上がっていたのだ。

しかし、意外に臭かった。

もう必要な時以外は通るまいと決めたね。

もう通ることもないかもしれないけど・・・


リッテは赤ちゃんを連れて街の防具屋さんに来ていた。

色々な物を物色していく。


「リース様には軽装がいいんだけどピッタリ合いそうなのがない。」と呟く。


「嬢ちゃんサイズ合わせかい。何ならやってあげるよ?」と店主が声をかける。

「あっ、それならこれの胸当てをもう少し削って、それから剣は普段使いのを使ってもらいましょう、感覚が狂うと力が発揮されないでしょうからね。それから籠手と、脛あても調整してと、あとはナイフくらいですかね。」と言ってリースに合うように計らう。


この人できるメイドだ!!と俺は感動している。

それから冒険者用のズボンとパンツとシャツを買う。

なんか男用のパンツを多めに買ってたみたいだけど、気のせいだよね。

子供用品を買い、多少の食料も買って合流地点に急いだ。



王城から数時間後


「では宿屋の一室を借りて着替えをしましょう。リース様はちゃんと着れますか?何なら私が着せますが・・・」と期待した目でリースを見る。

「いや、大丈夫だ何とか着てみせる。」と気合が入っている。


「冒険者用なので結構ぴっちりになると思います。もし何かありましたら、お呼びください。」と言って待機している。リースが着替えを始めていた。


「あのリッテさん?」と聞いてくる。

「どうしましたか着方がわかりませんか?なら私が着せてあげますよ。」と言ってリースに近づく。

「いや、リッテに見られていると着替えにくいのだけど。」ともっともらしいことを言う。


「リース様は知らないかもしれませんが、冒険者ならば見られながら着替えるのは当たり前なんです。」と力説するリッテ。

「おおう、そ、そうなのか?」と押されるリース。


「ええそうなんです。これは大事なことです。見ず知らずの人の前で着替えないといけない事があるんです。さぁ着替えましょう。」と再び力説するリッテ。

「ううむ。まぁ男だしな。」と言って着替え始める。

少し苦戦し、途中リッテに着替えを手伝ってもらいながら何とか着替えた。


「まぁ素敵ですリース様。」と言って感動している。

完璧に冒険者の格好だ。


「で、なんでお前まで旅支度でいるんだ?」と一瞬でメイド型旅装飾に着替えている。


「あら、私こう見えてB級冒険者なんですよ!知りませんでしたか?」とからかい気味に言った。

「嘘だろう?」確かにギルドカードに書いてある。

「クラン、有名どころじゃないか?あーうんわかった。一緒に行こう。」リースはかなり悩んで決めたようだ。


「それでは行きましょうか?」そう言って腕を絡めてくる。

「おい、なんの真似だ。」と赤くなるリース。

「ふふ、なんの真似でしょう。」そう言ってくるリッテを睨んだ。


「男の一人旅なんて怪しいじゃないですか?ここで夫婦として一緒に行動すれば周りも納得するし、赤ちゃんの世話をリース様はできるんですか?」と挑発している。


「いや、たしかにそれは・・・」と戸惑う。

うん、できないよね!と俺は断定した。


「なら、私が着いていくのはいいことじゃないですか?」押しが強い、できるメイドのリッテさんだ。

「むむむ。」となんか俺、役に立つかと悩んでいる。


「でしょう!」そう言ったリッテの笑顔は可愛かった。


「あうあー。」と言ってる俺はリースに背負われていた。締まらぬ。

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[良い点] ブクマさせていただきました! セリフの後に文があるのが新しくて、読みやすかったです [一言] 応援しています!
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