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溺愛し過ぎる悪役魔王に恋する耳年増令嬢  作者: 千魚
萌え神様の後宮……の悪女
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神の婚約者 前

やってきました朝議。


朝一番……というには遅い時間だけど、まぁ、重臣が全員登城してから開く会議だから、この時間設定は仕方ない。夜明けと共に起きて動き出すのが下働き、空が白んでから動き出すのが側仕え、すっかり明るくなってから起こしてもらうのが貴人だ。そこらへんは魔王国でも変わりない。


玉座の間で跪く重臣達の前に、侍従長が立つ。

事前の説明によれば、この国の侍従長は陛下の指示を伝える伝言役に過ぎず、政治的権力はほぼないらしい。王族との物理的距離が権力に繋がる国もあるけど、確かにいくら身の回りのお世話やスケジュール管理なんかが上手でも、政治には無関係だからね。イイと思う。


「それでは本日の伝達事項です」


魔王陛下の下には国政を担う各大臣。その下に各役人達。

末広がりに増えていく人員の中で、朝議に参加できるのは各大臣と副官、記録官のみだ。総勢30を下回る人数だが……魔族って眼光がキツいヒトが多いのかな? たかだかこの人数なのに、注目されるとなかなか落ち着かない気分になる。


今朝のリーズは、神と並んで上座に悠々と座っていた。

玉座の隣に据え置かれた王妃のイス。いつもは忘れ去られた置物のごときそれに、前置きもなく座らされている。

そのせいだろう、大臣以下の視線が刺さる。なんか……魔族なら、ホントに眼光突き刺せる種族もいそうだよね。ビーム、みたいな?


「最後に。本日は特別、陛下から直接皆様にお声がけいただけるとのことでございます」


侍従長の言葉に、場にピリリとした無言の衝撃が走った。

跪く彼らの、元々伸びていた背筋がさらにピッシリ伸ばされて、痛いほどの静けさが場に満ちる。


「……気付いておろうが」


玉座に気だるげに腰掛けたままなのに、神の宣旨は恐ろしいほどよく響いた。声質の良さもあるけれど、何より、覇者だけが持つ威厳とカリスマ性が声にも現れているのだろう。マジでイイ声。


「此度、ライシーン国のリーズ内親王を妃として迎えることとした」


リーズの背筋は歓喜に震えっぱなしだ。魔王魔王した魔王様、めっちゃカッコイイ!! 好き!!

個室で会うプライベート魔王も素晴らしいが、本領発揮の魔王姿も素晴らしい。どっちも希少価値があるあたり、吐血モノだ。鼻血超え。


しかも……名前、呼んでもらっちゃったよっ!!


昨日ふと思い立って、「リリーローズというのも国内での通称に過ぎないため、魔王国ではギードタリス殿下が付けてくださったリーズという名を使用したいと思います」と言ってみたら、あっさり承認してもらえた。おかげで、リリーローズはリーズになり、リーズ妃が公称となる。

さすが親バカ。最高です。ライシーンに帰るつもりはありません!


「手を」


はあぁん……ステキ……。


差し出された、血の気の薄い手。その大きな手にそっと……全霊を込めて丁寧に。

畏れ多くも神にエスコートしていただきながら、リーズは大臣達の前に立った。


「皆様に正式にご挨拶させていただくのは初めてでございますね」


ぐるりと見渡せば、みんな、どこかで見たことある顔。魔王国に来た最初の謁見時にいたヒトがほとんどだ。残りも、城内をギードタリス達と歩いている時に会ったことがある。


「ライシーン国正妃イリザベータが娘、リーズでございます」


にこりと極上の笑顔を浮かべ、優雅に品良く。淑女として完璧なお辞儀を披露する。

ほぅ、とあちらこちらから漏らされる吐息に、リーズは勝利を確信した。


愛すべき最推しに1日でも長生きしてもらうため、ここからが正念場だ。


「この度、魔族と人間の橋渡しとなるべく、そのお役目とともに王妃の任を頂戴致しました。ですので、まずは魔族の皆様に一つ、人間の風習を知って頂きとうございます」


リーズの最終目標は魔王様に種付けしていただくことで変わりないが、それで体調を崩されては元も子もない。だから、最終目標はあくまでも最終目標。「解決策が見つかれば到達できるかもね?」くらいの気持ちで臨む。


「妃としての公務に関する教育や準備諸々のため、婚約期間を設けさせていただきます」


魔王陛下の許可はとってある。

魔族にはない、婚約制度。リーズは、「婚姻は決定している者同士のための準備期間」と説明してみた。周りが何を言おうと婚姻は決まっているよ、と。ただ、お互いの負う責務が婚姻後よりは多少緩いよ、と。


こうしておけば、ティワード一家の思惑は当面潰せる。

そして、初夜……イコール魔王様の寿命の危機を、先送りできる。

さらには……こちらがリーズの本命。魔王陛下には言ってないけど……婚約しちゃえば、交わり以外のイチャイチャは堂々とできちゃったりするのである。うふ……うふふふふ……ぐふっ。


「こちらから妃に望んでおきながら、魔王国の王妃としての教育を怠る道理はない。そのため、婚約という提案を受諾した」


かすかに困惑の色を浮かべていた数人も、絶対的統治者の言葉には逆らえないようで、こくりと頷くのがリーズからも見えた。


それにしても、推しが後押ししてくれるとか、滾りまくってヤバいです。絶好調です! さぁリーズ、この機に一気に畳み掛けるわよ!



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