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独白
『ねえノーヴィス。
私は後悔したくないの、例えそれが善くないことでも。わかってくれる?』
遥か遠い過去に言われたセリフがフラッシュバックする。
『人は最善を選べない、だからせめて後悔のない選択を』
嫌な言葉だ。私にとっては呪いの台詞と言ってもいい。
眼前の少年の吐いた呪いに目眩を覚える。
人は最善を選べない、
人は誤った道を進み続けるしかない、
その過ちを知りながら歩み続けるほかにない。
では、
最善を悟りながら人は最善を選ばないことがあるのだろうか。あるいはだからこそ『最善を選べない』のか。
だが、それはあまりに罪深い。
正しきを為し、過ちを正す。
それこそが人の正道。忘れてはならぬ常道。
なればこそ私は────……