覚醒
魔力波事件の夜。
富士山頂では異変が起こっていた。
大地を照らす満天の輝きが掻き消される。それは今となっては跡形もない南極大陸において起こったとされる現象・白夜を彷彿とさせるものだ。
光源は竜の体躯。放たれる極光は常ならざる事態の証明だ。
竜を監視するべく大地に張り巡らされた結界は霧散し、設置されていた魔導兵器は火花を散らして故障した。
今、彼女は目覚める。
この山嶺に顕現してから100年に渡り眠り続けた。
しかし己と同位の存在を知覚し、ようやく…──
──…視界を灼く輝きが徐々に治ってゆく。
そこにかの竜の姿はない。ただ代わりにポツンと一人の少女が座っていた。その銀髪はさながら吸血種だが、瞳は紅ではなく黄色い。
では、彼女は人間か?とんでもない。
少女の名はウロボロス、無限竜ウロボロス。生命・魔力・肉体の全てが無欠たるもの。この星にあって単独で世界を滅ぼしうるもの。神に並ぶ、あるいは神をも超えるモノ。かの十一魔導会議が第四の災いとしたものである。
個体名:ウロボロス
種族 :竜種
性別 :女性
位階 :竜王
災位 :四位
別名 :無限竜
スキル:【竜王】
全ての竜の頂点に立つ資格。真竜以下の竜種からの攻撃を無効化する。
スキル:【円環の蛇】
無限の魔力を体内に内包する神秘の竜躯。およそ現代では解明の仕様が無い『ルール』
スキル:【不生不滅】
衰えることなき超越存在。不死殺しを無効化し一切の状態異常を無視する。
スキル:【変化】
その姿を竜ならざるものへと変貌させる。彼女は竜形態の他、人の少女の姿を好む。