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 老人「日本国民はみんな欺かれているわけじゃよ」


 青年「そんなことありえない!」


 老人「ありえないもなにも、事実だから仕方がなかろう」


 青年「日本の政府債務残高は1100兆円ある…これがすべておカネの発行だというんだろ?」


 老人「ご明察…君はわしが思っているより、ずいぶん機転がきくようだ」


 青年「そんな、おべんちゃらはいい!…じゃあ、アルゼンチンやギリシャはどうなる?…つい最近も、アルゼンチンは債務不履行デフォルトしたじゃないか!?」


 老人「わしはなにも、全ての国債が自国通貨の発行だとはいっとらん…」


 青年「国債に種類があるっていうのか?


 老人「その通り、国債にも種類がある」


 青年「・・・」


 老人「『自国通貨建て』か、『外貨建て』かだ…

アルゼンチンやギリシャは『外貨建て』国債だ…アルゼンチンはドル建てじゃな…しかし、日本はすべて『自国通貨建て』国債だ」


 青年「『自国通貨建て国債』だと債務不履行デフォルトは起きない…そういいたいのか?」


 老人「そうだ、『自国通貨建て国債のデフォルトは起きない』…断言してもいいわい」


 青年「断言はできないはずだ!民間の銀行が国債の買取を拒否したらどうする?」


 老人「そんなことが、いまだかつて起きたことがあるか?」


 青年「起きるかもしれない…」


 老人「じゃあ、日銀に買い取らせればいい…現行法だと日銀が直接買い取りはできないがな…いったん、市中銀行に買わせて、それを日銀が買い取れば、問題解決じゃないか!」


 そう答える老人は、嬉々として、どこか楽しそうだった。


 青年「日銀が拒否したらどうするんだ!」


 老人「日銀が拒否する?…そんなことはできないな」


 青年「どうしてだ!わからないじゃないか!」


老人「『日銀は政府の子会社』じゃぞ…出資比率は55%…どうみても子会社じゃなかろうか?」


 青年「・・・」


 老人「子会社ならどうじゃ?…もちろん議決権は政府にあるわけだ。そもそも日銀総裁は内閣が指名するじゃがな」


 青年の顔に、苦渋の表情が浮かんだ。


 老人がまたもやにたっと笑った。


 老人「察しが良いの…そう、日銀が子会社であれば、買い取った国債はもはや『借金』ではないだろう?…国債は政府の『負債』…買い取った日銀にとっては『資産』であるはずじゃからな…」


 青年「・・・」


 老人「証拠を見せようか…ここに日銀の決算書があるはずじゃ…日銀が買い取った国債は、決算書にすべて資産として計上しておるからの…」


 青年「必要ない!」


 そういって、青年は悔しそうに、髪をかきむしった。

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