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秘められたもの

草木も眠る丑三つ時。江戸時代での刻の数え方で言えば、丑の刻とは午前二時を中心とした約二時間を言う。

そして丑三つは丑の刻を四等分してその第三の午前二時から午前二時三十分を言う。

ひっそりと寝静まった真夜中過ぎ。魔物が跳梁する時刻と言われている。


それがこの異世界ガーネジアに当てはまるかどうかはわからない。

しかも今夜は新月。雲の隙間から除く月の光は弱く、闇を更に強調している。


その暗闇に紛れて移動する人物がいた。


「禍々しい気がさっきより増している」


あの後、王子達を部屋から追い出した陽妃は、そのまま横になっていた。


自分たちのことを少しは意識してほしいと二人に迫られ、陽妃は頷くしかなかった。


「考えてみれば贅沢だよね」


今彼女は紫水達と共に再び温室へと向かっている。


「王子様から迫られているんだから」


女の子なら一度は夢見る王子様との恋愛。

恋愛小説のど定番の展開に、普通なら浮かれまくってもいいだろうが、自分の命がおびやかされているかもしれない状況では、そうもいかない。

しかも彼らの母親がそこに関わっている可能性が大きいのだ。


「女神オルケイラか・・夢にで出てきた人たちも何か関係あるのかな」


以前見た夢を思い出す。

彼女たちは陽妃に何を言いたかったのだろう。


「陽妃、気をつけてください。昨日より瘴気が増しています」


紫水が声をかける。灯りのない中で、温室の建物が浮かび上がる。


「わかってる」


一旦立ち止まって深呼吸してから、陽妃は温室へと足を踏み入れた。


「来てないわね」


揺さぶりをかけたから、王妃が来ているかと思ったが、温室の中に人の気配はなかった。


慎重に歩みを進め、例の場所へと向かう。

近づくたびに、チクチクと針で刺すような痛みが肌に起こる。

禍々しさは更に増し、陽妃は苦痛に顔を歪めた。


「長居は禁物です。さっさと用を済ませて立ち去りましょう」

「わかってる」


例の大樹の側に行き、陽妃は持っていた袋からスコップを取り出した。

それで根元を掘り返そうというのだ。


「ここね」


大樹の根元の中心近くの土にスコップを突き刺す。

そのまま暫く土を掘り起こしていくと、カツンと何かにスコップの先端が当たった。


「灯りを」


持ってきたカンテラを近づけ、更に掘り進めて行くと、蓋をされた箱が現れた。

周りの土を取り払い、箱に手をかけようとした時、陽妃の手を拒絶するように何かがパチリと弾けた。


「呪符が貼られている」


目を凝らすと箱は鎖が巻かれ、その鎖には布が巻かれていた。




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