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王妃様のお茶会

陽妃の馬鹿丁寧な対応にマリオンもリュシオンも戸惑いを隠せない。

しかし彼らが陽妃をどう思おうが、彼女にはどうでもよかった。


陽妃が席に着くなり皆の前のカップにお茶が注がれる。薔薇の香りが鼻腔をくすぐる。


「薔薇茶と呼ばれるお茶よ。最近はこればかり飲んでいるの。肌にとても良いそうよ。あなたにはまだ必要ないかもしれませんけど」

「とても良い香りですね。香りだけでも癒やされます」


全員のカップにお茶が注がれると、召し上がれと言って王妃がカップの持ち手を右手で摘まみ、それをひとくち飲む。

他の三人も同じ様に飲んだ。

そう言えばこういうお茶をお母さんも飲んでいたなと、陽妃は思い出した。

確か薔薇茶はビタミンCが豊富で美容にいい。安眠効果もあるようなことを言っていた。

夫が有り余るほどのお金を稼いでいるのだから、無理に働かなくてもいいのにと周りから言われていたが、自分のためにもモデルを続けているのだと言っていた。

常に意識を高く持ち、陽妃を生んだあともカリスマとしてあり続けていた。

よく食べよく動き、よく眠る。体が資本なだけに、健康には特に気をつけていた。

常にエネルギッシュで生き生きとしていた。

それと比べれば、目の前にいる王妃様はどこか精がない。

好きなことをしていても苦労はある。それでも瀬能の母は好きが勝っていたのでちょっとのことではへこたれなかった。

それは彼女のポジティブな性格も一役買っていたのだろう。

でも、王妃様はどうだろうか。


「今日一日で大勢の者からあなたについての噂を聞きましたわ」


そんな陽妃の物思いを、王妃の言葉が打ち破った。


「どのような噂でしょうか。悪いものでなければうれしいですが」

「とても見目麗しい方々と共に、可愛らしいお嬢さんが王宮に王子達の客人としてやってきた。どうやら巷で評判の占い師らしい。どれもこれも大変興味深い内容でしたわ」

「恐れ入ります」

「そして皆が口を揃えて聞いてくるのです。あの女性と王子達はどのような関係かと」

「単なるお金で雇った者と雇われた者です。それ以上でもそれ以下でもありません」

「おい」


きっぱり陽妃が言うと、マリオンが口を挟んできた。


「もう少し言い方というものがあるだろう」

「間違っていませんが、そのように割り切られると残念です」


二人から思い切り嫌な顔をされる。しかしそんなことでへこたれる陽妃ではない。


「雇う…とは?」

「そのことですが…」


王妃の問いに陽妃が口を開く前に、リュシオンが口を挟んだ。


「この者が失せ物探しが得意と言うことを聞きましたので、あのことを相談したのです」

「あのこと?」

「この一年、我々が探し求めているものと言えば、母上もご存知ですよね」


はっきりとは言わなかったが、それが「月宮の主」であることは、この場の誰もがわかっていた。


「・・・・!」


その時、王妃の表情が僅かに揺らいだ。

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