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女神の奇跡とは

陽妃の髪の色が変わることに、魔法は一切関与していないと王子たちは確認した。


「魔法でもなければ、これはもう神の御業としか言いようがありません」


暫く考えた後に、リュシオンが言った。


「女神トリシュか?」


マリオン王子の問いにリュシオン王子が頷く。


「説明のつかないことを、そう簡単に神の御業とか決めつけていいんですか?」


些か安直過ぎないかと陽妃が口を挟む。

陽妃が母の信仰のお陰で助かったのは間違いない。「月宮を守れ」と母に告げたのも女神。陽妃は会ったことも見たこともない神様だけど、父ー紫水が話してくれたことを思い起こせば、女神トリシュは本当にいて、この世界の人に時折干渉してくるのだろう。


「しかし、私の知る限り、このような現象は見たことも聞いたこともありません」

「心当たりはないのか?」


ないこともないが、髪の色が昼夜で変わることについては、ただ、この世界に来てから起こったことで女神から何の説明もない。

実は異世界から来ました。とも言えず、陽妃は押し黙った。


「隠すとためにならないぞ」


脅しとも取れる口調でマリオン王子が厳しい視線を向ける。

すでに色々失礼な物言いをしているので、とっくに不敬罪で処罰されても文句は言えない状況だ。


でも、陽妃は地球生まれの地球育ち。

魂がこの世界のものだったとしても、三つ子の魂百までというとおり、いくらこの世界のことを学んでも、地球で培った常識はなかなか覆せない。


地球では王族なるものにお目にかかったこともないので、人としての礼儀と、王族や身分のある人に対する礼儀との区別がつかない。


(どうせ死んだらみんな同じなのに)


霊という存在が視える分、殊更にそう思ってしまう。


それに、陽妃自身は別にこのままでもいいと思っている。

瞳まで変わってしまったら、目の前の二人の王子から逃げられない気がする。

陽妃にも恋愛に対する願望はある。

愛し愛されること。

出来れば地球の瀬能の両親のように。

魂の父母も互いに愛し合っていたようだが、陽妃の理想とする夫婦というのは、瀬能の両親だ。

良家のお嬢様だった母と、シングルマザーの家庭で苦労して育った父。優秀だったため大学は奨学金を貰って通った。幸い父にはIT関係の才能があり、大学在学中に友人と共に起業して、瞬く間に成功した。

モデルだった母と知り合い、すぐに二人は恋に落ちたが、旧華族という血筋の母の実家に反対され、駆け落ち婚したと聞いている。

幼い頃から離れて過ごすことは多かったが、それでも二人は陽妃にとっては理想の両親だ。

月宮だったら相手はどんなだろうがいいとか、当然相手も自分たちを受け入れてくれると疑いもしない、そんな彼らの恋愛観は、納得がいかない。


「何も隠し立てしておりません。仮にあったとして、それは私の事情であって、殿下たちには関係のないことと思います」

「何だと?」

「関係あるかないかは、我々が決めることです。まずはそちらの事情を説明してください」

「リュシオンの言うとおりだ。俺たちは月宮を何としても探さねばならない。だから()()()()()()街の()()()()()()()にも依頼をしたのだ」

「胡散臭い? しがない占い師?」


その言葉は陽妃の怒りの導火線に火を点けた。


「兄上、今のは…」


先に陽妃の怒りに気づいたのはリュシオン王子の方だった。


「ん? どうした?」


弟に袖を引かれ、マリオン王子も陽妃の様子が変わったことに気づく。


「では()()()()()()()()()()()()()からひと言申し上げます。『繋ぎの王妃』と呼ばれる王妃の霊を鎮めないことには、たとえ月宮のお方を見つけたとしても、あなた方は彼女を失うでしょう」

「何故だ」

「それは予言ですか?」

「いいえ、予言などというあやふやなものではありません。彼女たちの魂は未だ無念の中を彷徨っています。そしてその先に待ち受けているのは憎悪。その憎悪がすべて月宮に向かっている」

「信用出来ない。相手は肉体も持たない存在だ。第一、本当に存在するのかも怪しいものだ」

「信じてもらおうとは思っていません。信用できないのであれば結構。ですが、その代わり、あなた方は永遠に月宮には会えないでしょう」

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