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大罪持ちの復讐計画  作者: 晴
冒険編
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異-22 ダンジョン下層

(……ん……うぅー……こ、ここは……そうだ! 僕は奈落の底に落ちたんだ。そして……地面に激突した。その直前にスキル【液状化】を体全体にアクティブにしたんだ。……このスキル取っててよかったー!)


 僕は心から安堵した。もう終わりだと思った寸前、スキルのことを思い出したお陰で命拾いをした。

 僕は生きている。そう生きているんだ!


「生きてるー! やったぁああああああ!」


 死の恐怖から生還し、歓喜の雄叫びをあげた。

 静かなダンジョンの中、僕の叫び声がこだまする。


(やべっ! こんな魔物がはびこっているダンジョンで大声を出しちまった。まだ完全に身体が再生していない今、襲われたら一巻の終わりだ。とりあえず今は身体が元に戻るのを待とう)


 僕は液状化し、凄まじいスピードで地面に衝突したため、僕の液体となった身体は四方八方に飛び散っていた。気絶している間に散らばった液体は集まっていたが、まだ全体のだいたい四割ほどしか戻ってきていない。上半身胸辺りまでが再生している。


(身体が元に戻るまでまだ時間がかかりそうだな。それまで今の現状を確認しよう)


 とりあえず食事を取りながら、今の現状を考える。

 スキル【液状化】を使ったお陰で、身体の損傷は一切ない。少し眠っていたため、魔気も少し回復しているだろう。


 なぜこんなことになったのか?

 それは崖を踏み外し、奈落の底に落ちたからだ。かなり長い時間、下降していたと思う。

 落ちる前は中層にいたので、今はどう考えても下層にいるはずだ。下層の情報は一切ない。なんせ今までの最高到達階層は先ほどまで僕たちがいた階層なのだから。


(今僕がいるここは、どんな場所なんだ?)


 辺りの様子を窺ってみる。辺りは真っ暗で何も見えない。中層の壁は光を放っていたがここの壁はそんなことはない。

 松明は持っていないので、魔法で光源を作ったほうがいいだろう。しかし、その光に魔物が集まってくる可能性もあるから、身体が元に戻るまではこのままでいよう。


 周りに魔物がいないか確かめるためにスキル【超聴力】を使う。ものすごい数の羽音が聞こえる。


(なんだよこの数……軽く数百匹はいるんじゃないのか……どこにいる……上か!?)


 上を見上げるが真っ暗闇で何も見えない。だが確実に羽を持つなにかが僕の上にいる。それもかなりの数が。


(これじゃあ魔法を使って飛んで、元いた中層に戻るのはやめたほうがいいな)


 「はぁあー」とため息をつきながら、ほかの脱出方法を模索する。


(やっぱり歩いて上に行く階段を見つけるしかないかな。今の僕の強さであれば、問題はないだろう……と思いたい)


 上層のモンスターは簡単に倒すことができた。だがここは未知の下層。僕でも倒せない危険なモンスターがいないとも限らない。


(ああ……、僕はここで死ぬのか……いや、こんな場所で死んでいいわけないだろ! みんなの復讐もしてないのに! 弱気になるな僕!! ……はぁ)


 絶望と共に途方に暮れる。

 一緒にダンジョンに入ったパーティーがここまで助けにきてくれるとは思えない。中層でさえ僕がフォローして、ギリギリだったんだ。ここまで降りてくるのは自殺行為だ。

 だから僕は助けを期待することはできない。一人でなんとかするしかない。


 そうこうしているうちに、身体が完全に元どおりになった。


(よし! これで動ける。ここでは何が起こるかわからない。だから出し惜しみをせずにこの剣を使おう)


 魔法袋から一本の剣を取り出した。

 幅広の両刃の大剣。ダンジョンの暗闇の中でも、刀身は怪しく黒光りしている。柄は長く、両手持ちが可能になっている。


 そう、これは魔剣ティルフィング。

 ニョルズの森で会い、僕を襲い、街も襲ったであろう者が使っていた剣だ。

今の僕では鑑定して詳細を見ることができないほどの剣。この剣を使えば、下層の魔物でも倒すことはできるだろう。


 得物は用意した。次は光源だ。

 火の魔法を使えば周りを照らすことができるが、長時間使うと大量の魔気を消費してしまう。どれだけ脱出までに時間がかかるかわからない今、無駄に魔気を使うことはできない。


 そこで僕は新しい魔法に挑戦してみようと思う。以前本で読んだ光魔法【フラッシュ】。母さんたちと住んでいた洞窟では、照明器具の魔力具が延々と灯りを放っていたので、覚える必要はなかった魔法。

 そもそも僕に光魔法の素質があるかどうかもわからない。

 けどやってみる価値はある。なんせ四大属性すべて使いこなせるのだから、他の属性も使えるだろうと考えた。


 思いついたら即実行。それ以外に今出来ることもないし……。

 空中の一点に魔気を集める。そしてイメージするのは眩い光源。

 空中に集めた魔気は徐々に光を帯び、ついには部屋全体を照らすほど明るく輝いた。


(おぉー、マジでできちゃったよ。イメージさえしっかりしていれば、僕にできない魔法ってないんじゃないかな。なんかチートすぎてごめんなさーい)


 明るくなったので、改めて周りを見回して見る。ダンジョンの壁は上層と変わらない材質でできているように見えるが、一部光り輝く部分があった。

 気になったのでスキル【鑑定】をしてみると、


【鑑定結果】

アダマンタイト:世界で最も硬質な金属。絶対量が非常に少なく大変希少。


「ぶはっ!」


 アダマンタイトって本当にあるんだ!?

 ラノベでしばしば出てきた希少な金属。アダマンタイトで作られた武具・防具は冒険者がよだれを垂らすほど欲しがる一品だ。

 そのこの世界でもめちゃんこ希少だと思われる金属が見える範囲だけでも結構な量があるでよ。


(これ……取るしかないでしょ!)


 それから三時間ほど休むことなくアダマンタイトの採掘に精を出す。

 そして今はほくほく顔で魔法袋から取り出したパンと水を飲みながら休憩中。

 不思議なことに採掘中も魔物は一切現れなかった。

 この階層には魔物はいないのか?


 そして手に入れた大量のアダマンタイト。

 こりゃ地上に戻ったら億万長者間違いなしだね。

 まぁ売るつもりはないけどね。いい鍛治師を見つけて、最高の武器と防具を作ってもらうのだ。 そのためにも早く地上への道を見つけなくちゃな。


 僕は今いる部屋から唯一ある通路を進むのであった。

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