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俺とルミナはあの後アレックスさんの赤い羽と共に旅路についた
その日は一緒に野営をして次の日の昼にはフェンダーにたどり着いた
無理すれば深夜にもつけたろうが、どうせ深夜についても城門がおりてないだろうからどうせ野営になるなば無理をしないとの事だった
俺も元々歩きだった為、それでもそれなりに短縮された上に馬車に乗せてもらえたので文句が出るはずもなかった
なんでも俺がいなければ馬車の何台かが被害を受ける所だったらしく、それを考えれば馬車に乗せるくらい当然だと言っていた。
その時護衛対象である依頼主からもお礼を言われた
セリーナという、同い年の女の子だった彼女も魔法学校に向かうという事だった
俺も魔法学校に入る予定だと話をすると彼女は凄い驚いていた
てっきり何かしら特別な魔法使いだと思っていたらしい
彼女からみても俺の精霊術は見たこと無いレベルですごい驚かれていた
彼女は隣国からヴィクトリアの魔法学校にはいる為に家庭教師を付けて勉強していたらしいが、家庭教師の先生ですらあんな精霊術を使ったのは見た事がないとの事だった
きっと入学試験程度には必要ないと判断されたんじゃないですかね
きっと魔法学校にいったらあんなの普通ですよ
と話を濁しておいた、ルミナが横でそんなわけないって顔をしていた
セリーナもルミナをみて不思議そうにしていた、セリーナはすでに精霊と契約しており使役精霊がいるみたいだがルミナのように常時召喚する事は出来ないという
精霊召喚している間は常に精霊使いの魔力を消費し続ける為に精霊使いの負担が大きすぎるとか
一応ルミナは特別と話しておいた
希少種という事で納得してもらえたようで、とても羨ましそうだった
実際に精霊召喚を行う際には希少種の精霊を召喚できる者もいて今までに法則性を調べた事もあったらしいが完全に偶発的な物だという事が現在では魔法使いとしては一般的とされているらしい
俺はここでちょっと疑問に思った
ゲームの時のルミゲーは課金さえすればガチャまわし放題だから金持ちであればこの世界でもガチャ回し放題だと思っていたけど違うんだろうか
確かにこの世界でそんな事すれば一定の魔導士が世界を制覇できるんだろうからな
まあ、フェンダーにつけばわかるかと思いそこで一旦考えるのを止めた
セリーナも折角こうやって出会えたのも精霊様の導きかもしれない、魔法学校ではよろしくお願いしますと言われた
他国とは貴族令嬢に頭を下げられた俺は負けじと頭を下げておいた
後からアレックスさんに聞いた話だが、セリーナみたいに人によって対応を変えない貴族は珍しい方で選民思想が激しいのが貴族だから注意した方と教えてくれた
俺の知識にある貴族がスタンダードで迷惑ではあるがなんか安心した
自分の知ってる事と同じだと何となく安心できるよね
フェンダーに着いてアレックスさん達にお礼をいって別れる事になった
セリーナがもし良かったらこのまま一緒に魔法学校にいかないかと言ってくれてアレックスさんも俺がいれば安全度もあがるし、何より依頼主の提案だから構わないと言ってくれた
もしその気があるなら明日の朝赤い羽のギルドまで来てくれと言われて別れる事になった
その後ルミナからついてくるといいよと言われてある建物前までついて行った
するとルミナ一瞬光って俺から何かが離れる様な感じがあった
「一旦ボクとの仮契約解除したよ、これでキミも精霊契約ができるはずだよ
めんどくさいからボクは中に入ったら猫を被っておくからキミ一人でがんばるんだ」
まあ、確かゲームでもこんな感じ、そうだ忘れてたといってオーブをくれてっていう流れなんだよな
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「キミどうかしたの?早く中に進むんだ」
ほら、あれだよ、あれ
大切なあれが、オーブを早く、忘れちゃってー、みたいな感じで催促するかの様に手をだした
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
シャッ
「ぎゃー、痛い 何するんだよ」
「手を出して何をしてるかわからないからさっさとすすめー」
出していた手を爪で引っかいてそう言った
渋々俺は目の前の建物
魔導協会フェンダー支部と書かれた建物に入った
そのまま中に入り受付の様な所があったので其処に行き話しかけた
「本日はどのような用件でですか?」
いきなり言われたが行けと言われて来ましたとも言えず返答に困っていた俺をみた受付のお姉さんが言葉を続けてくれた
「もしかして今年の魔法学校入学生ですか? 精霊契約にいらしたんでしょうか?」
その言葉に俺は救われて何度も頷いてしまった
一応俺は10才の少年なんだよな、しかもゲームの知識はあっても実際のこっちの常識なんて村の生活しかしらない田舎者だった
確かに昔すんでいた所にはビルがあったり、電車や車が走っている所と比べたらこの世界は田舎だろう
しかし、ここは都会なんだ
自分の知らない世界だって改めて認識させられた
気がつくと受付にいたお姉さんが俺の横にきて同じ目線になるようにしゃがんでいた
「10才になったらいくらお金を渡されるとはいえ、場合によっては一人で魔法学校までいかなきゃいけないのは何とかしないと駄目だよね
ボクはきっとここまで来るのも大変だったと思うけどここから魔法学校までは馬車も出てるからもう安心よ
その前にここで精霊契約して学校に着くまでにしっかりと精霊様と意思疎通が取れる様になるといいわ」
そう言うと俺の手を掴んでとある部屋の前まで連れてきてくれた
「この部屋が精霊召喚の部屋よ、特別な部屋だからボク一人でしか入れないけど大丈夫?
なんだったら出てくるまで私がここで待ってるから一人で行けるかな?」
ここが精霊召喚の部屋かと思うと有ることに気がついた
「お姉さん、大丈夫一人でできるよ、ここまでありがとうございます」
俺は受付のお姉さんの目をみてお礼を言った
それを見たお姉さんは頷いて頑張ってねと言ってくれた
「あ、お姉さん 俺オーブもってないから精霊召喚できないんだけど」
俺がそう言うとお姉さんは不思議そうな顔をした
「オーブ? 精霊召喚にはなんのオーブかはわからないけど必要ないのよ
魔法使いであれば召喚の部屋に入れば精霊の声が聞こえてくるのよ
だからボクも魔法使いの素質があれば中に入れば声が聞こえてくるはずよ
その声に従って精霊と対話すればきっと精霊と契約できるわ」
お姉さんはそういうと俺の背中を押してくれた
背中に当たられた手に勇気をもらい召喚の部屋に入った
「あっ」
と後ろでお姉さんの声が聞こえた気がした
部屋が締まるのとほぼ同時に部屋に小さな影が入ってきた、ルミナだった
「ふーん、キミはあんな女性がタイプなのか」
ちょ、ばっ、何言ってんだコイツはと思ったらルミナが成体に戻りそのまま大人の人型になった
所謂ひとつの ボンっキュっボンっ といったアレだ
紺色の長い髪で正直普通に見とれてしまった
「どうじゃ、お主はこんなのが好きなんじゃろ」
そう言って腕を組んで優越感あふれる感じで話てきた
正直綺麗だと思った、昔の俺であればちょっといやらしい事を連想したのは間違いないんだろうが、この体だとそんな感じはなく普通に綺麗な神秘的な女性に見えた
その時、ふと気がつくとルミナの後ろの壁画の女性が今のルミナと類似してみえた
「気がついたか、その通り其処に書かれてる肖像画はワシじゃ
ここは精霊召喚の部屋であり、精霊の世界との一方通行のルートじゃな
だからワシもここでは本来の姿に戻れる、普段の世界でワシが本来の姿を維持しようとすると周りに被害がでるでの
まあ、そんな話はどうでもよい
お主はここで精霊と契約すると良い、本来ここには一人でくるものじゃが精霊は別じゃ
お主は一体どんな精霊と契約するのか楽しみじゃのう」
何故かこの姿のルミナにいわれると何故か全てが神秘的なセリフに聞こえた
コレが女神パワーというやつか、女神ではないが
まあ個々にきたからには精霊召喚を行わなければならないし言われた通り精霊召喚を行う事にした
「そういえば先程オーブがどうのとか聞こえてきたが確かに昔はオーブと引き換えに精霊が契約する事もあった、引き換えに召喚されていたが今は精霊が契約するかどうかを選べるんじゃ
精霊が納得できる魔力の持ち主であれば常にその精霊使いの魔力を供給されるからな
いい時代になったものじゃ」
あー、なるほど そういう仕組みになっていたのか
オーブで契約するより場合によっては精霊の好きな魔力を常に得られる方が長い目で見たほうがお得なのか
まあ、オーブがどう言う役割だったのかわからないから一概にいえないけど
「ちなみに魔力の質にレベルは一切関係ない
レベル1だろうが488だろうが本来の魔力の質というのは変わらないんじゃ
だから本来のお主の素質が見れる重要な機会じゃ」
なるほど、そういう物か
まあ、ルミゲーのガチャにしたってレベルじゃなく完全な運だったからな
多少ニュアンスは違うけどきっとそんな物だろうな
「とりあえず、やってみっか」
俺はそう言って部屋の真ん中に行き意識を集中させた
「「「「来て」」」」
頭に言葉が響いた、俺はその声に抗う事なくその声に向かって手を伸ばした。
そして俺は意識が途切れた