6 セリーナ=ノルワール
「セリーナちゃーーん、セリーナちゃんの欲しがっていた本を買ってきたよう」
そう言って父、ドルドナ=ノルワールが私の部屋に飛び込んできた
私は隣国の魔法学校に行く為に試験勉強をしている
自国の魔法学校であれば試験なんてないのだけど、他国の魔法学校に入るには試験があるのです
私は目標があるため、隣国の魔法学校にいかなければならいのです
「お父様、ありがとうございます
セリーナがこの前言っていた本ですね」
そう言ってお父様は私と本を一緒に抱きかかえてくれた
「セリーナの願いはパパがなんでも叶えてあげよう
大好きなセリーナの為ならパパは精霊様にだって戦いを挑み勝利するだろう」
たまにこうやって他人に聞かれた大変になる事をお父様は平気でいったりする
その為にお母様が頭を抱えるのだ
だけれど、お母様が次にお父様に言われたらお願いをしなさいと言ってくれた
ある時お母様がお父様の娘離れを治すために私に相談してきた
私も初めてそれを聞いた時はなんでそんな事をしなければわからなかったのでお母様に聞き返した
するとお母様が一瞬頭を抱えて私を心配そうな顔でみて答えてくれた
「セリーナ、本当はセリーナもこの位の年になったら父親離れしなくてはならないのよ
それは決してお父様が嫌いなったという事ではないの
セリーナのお友達のデイトナ子爵家のレイニー嬢に妹が出来たのはセリーナも知っているわよね?」
もちろん知っておりますわ、レイニー様は大層喜んでらっしゃいました
それに、私もお父様とお母様と一緒にお祝いにいきましたから
私も妹か弟が欲しいと思いましたもの
「はい、ティナ様はとても可愛らしかったです、私も妹が欲しくなりました」
「そうね、それはもう少ししたら妹か弟が出来るかも知れないわね
セリーナは妹が生まれたレイニー嬢が最近変わった事に気づいたかしら?」
お母様にそう言われて私は改めてレイニー様の事を思い出した
妹が生まれる前のレイニー様は良く自分の事ばかり話ておいでになりました
私は余り話が得意ではないので、レイニー様のお話を良く聞いておりましたけど、最近何かある事に妹様ののお話をするようになりました
口癖が私がから、ティナがに変わったと思われます
「そうですね、最近はティナ様の事ばかり気にしてる様に見受けられますわ
お話の内容もティナ様が指を握ったとか、よくお泣きになられるとか嬉しそうに話されます」
お母様は嬉しそうに頷いた
「セリーナ、それはねレイニー嬢がお姉様に成られたからなのよ」
私はよくわからなかった、妹や弟が生まれれば姉になるんではないのだろうか?
私の読む本では下の子が生まれたら姉や兄になっている
私がわからなさそうな顔をしているとお母様が少し困った様な顔をして話を続けた
「もしセリーナに妹か弟が出来てお姉さんに慣れるのかしら?」
「はい、もちろんですわ、お母様
私は立派なお姉様になってみせますわ」
一瞬お母様が笑を浮かべた、普段の微笑みとは少し違ったように見えたけど気のせいだと思います
「そうね、セリーナもきっと立派なお姉さんになるとお母様も思います
でも、いきなりお姉さんになるのは大変だと思うの
一度デイトナ様のティナ様のお世話をさせてもらったらいかがかしら?」
まあ、なんという素晴らしい考えなんでしょう
私も出来ますと答えましたがいきなり姉として問題が無いように立ち振る舞えるか少し不安でした
お母様の言うとおり一度ティナ様と過ごさせていただければきっとお母様も安心して私を姉にしてくださる事でしょう
「お母様、是非お願い致しますわ
本当の妹の様にティナ様を可愛がってみせますわ」
私がそう言うとお母様一瞬手を握り締めた気がしたがきっと気のせいだと思う
「セリーナ、では私がデイトナ様にお願いしてきます
なので準備をしておきなさい」
え?今日いきなりですか?
私の心の準備がまだ出来てないですわ
急過ぎたのでその旨をお母様に伝えました
「あら、セリーナはいきなり弟か妹ができたらお姉様にはなれないという事なのね
残念だわ、妹や弟にはお姉様がいないという事なのね」
お母様が悲しそうな顔をしたけれど、確かにその通りだ
弟と妹にお姉様がいないのは可哀想な事だと私も思いました
「お母様、私が間違っておりました、お母様のおっしゃる通り弟と妹に姉がいないという事はとても可哀想な事だと思います
今すぐでも私はティナ様のお世話ができる事を証明して弟か妹のお姉様としてまたなくてはいけません」
私が決意を新たにお母様に告げるとお母様はまた手を一瞬握り締めた様な気がした、多分気のせいですわね
お母様はそのまま部屋を出ていったと思ったら直ぐに戻ってきて外に馬車を用意してあるから早速向いましょうといって私と共にデイトナ子爵家に向かった
「お母様、私普段着のまま来てしまいましたが失礼ではないでしょうか?」
「大丈夫よ、デイトナ様もティナ様のお世話をセリーナがしてみたいと話をしたら快く了承してくれたわ、もしかしたらお服が汚れるかもしれないから普段着で来てくれて構わないとおっしゃってくれましたよ」
お母様ったらティナ様のお世話の話をしたのは先程なのにそんなに早く連絡をとって下さるなんて
さすがお母様ですわ
そんな話をしているとデイトナ子爵家に到着した
呼び鈴を鳴らすと夫人が出迎えてくださった
「デイトナ様、この度は私共の我侭を聞いて下さってありがとうございます」
お母様そういって頭を下げたので私も一緒に頭を下げた
「ノルワール様、そんな頭をお上げになって
セリーナ嬢も今日は良く今日は置いでくださいました
なんでもセリーナ嬢がティナのお世話をしてくれるという話、なんともありがたく思いますわ」
デイトナ様そう言って私とお母様をティナ様の所に案内してくれた
その間お母様とデイトナ夫人小さな声で話しながら上手くやりましたわねなど聞こえてきた気がしたが気のせいだと思う
そうしてるうちにティナ様の部屋にたどり着いた
「さあ、セリーナ嬢、ティナはこの中にいます
一応メイドは付けておきますけど、セリーナ嬢の邪魔をしないようにいざという時のみ手をだす様に伝えてありますから、ご心配なさらないで
あとこの部屋には封印石がついてますので魔法は使えないので注意してくださいね」
「はい、わかりました デイトナ夫人
本当に今日はありがとうございます」
私はそうやって頭を下げるとお母様とデイトナ夫人の口元が一瞬笑を浮かべた様に見えたきっと気のせいだと思います
お母様からがんばってねお姉様と言われて私は俄然やる気になった
お母様とデイトナ夫人は応接室でお話があるという事なので何かあったらメイドに言うようにいって私が部屋に入るのを見届けてくれた
そして私は現実を知ったのだった
夕方になりお母様と一緒にデイトナ様夫人に見送られて馬車に乗り帰路についた
「セリーナ、どうだった? ちゃんとお姉様になれたかしら?」
私は答えられなかった
赤ちゃんとが彼処まで何も言う事聞いてくれないなんて知らなかった
眠っている時や笑っている時は凄く可愛いのに一旦泣き出すと何もできなくなってしまった
、メイドさんに手伝ってもらい抱っこしてみたら涎が服についてしまったり、髪の毛を引っ張られたり
挙げ句の果てには私も赤ちゃんと一緒に泣き出してしまった
メイドさんはこの事はデイトナ夫人とノルワール夫人には内緒にしてくれると言ってくれたがお母様の質問に旨をはって答えられるなんてできませんでした。
「とても、大変でしたわ
私はお姉様になれないかもしれません」
私は泣きそうな声を堪えてそう答えた
「セリーナ、じゃあまずセリーナがお姉様になる練習をしてみたらいいんじゃないかしら?
お母様は良い方法を知っていますよ」
私はお母様の言葉に目を輝かせた
「お母様、私は立派なお姉様に成りたいです、どうしたらいいのか教えてください」
お母様はまた一瞬手を握った様に見えたが気のせいだと思う
そんな事よりそんな方法があるなら早く教えて欲しいと私は思いました。
「まずはセリーナがお姉様になって妹や弟を可愛がってあげたいのよね
だったらまずセリーナが一人でなんでも出来る様になる事よ
お父様が何時もセリーナを抱き上げて可愛がってるけれど、セリーナがお姉さんになってそれをしてあげたいならセリーナは我慢しないといけないわね」
お母様のおっしゃる通りかもしれない、お姉様として立派にやってるレイニー様はデイトナ子爵が帰られても私みたいに抱き上げられてるを最近見た事がない
それに比べて私は毎日お父様から抱き上げられている
私はお父様の事は好きだけれど、立派なお姉さんになる為に我慢しようと思った
「そうですわね、レイニー様もデイトナ様に抱き上げられてる所を最近見た事がありませんわ
私もレイニー様に負けないお姉さんになる為に我慢致します
他にはどうすれば宜しいでしょうか?」
「セリーナは今度魔法学校に行く事になっているでしょう?
立派なお姉様になるように少し離れたヴィクトリア国の魔法学校に通ってみては如何かしら?
最初は少し寂しいかもしれないけど、それを乗り越えたらセリーナは立派なお姉様になれるとお母様が保証しますわ」
お父様にお願いする前にその時の事を思い出した私は決意を込めてお父様にお願いをするのだった
その後お父様がパパに任せておけといった後何かを叫びながら走っていく音が聞こえてきた
私はその後の試験で見事合格する事になり入学の権利を勝ち取る事ができました
出発の朝、朝からお父様が泣きながら私に抱きついてずっと離してくれなかったけど
お父様と当分会えないと思うと私も悲しくなってギリギリまでお父様と一緒にいた
するとお母様が怖い顔をして家に入ってきて、お父様に小さな声で何かを言った後顔が青くなっていた
私はお母様と一緒に外に用意された馬車に行き、ギルドの団長様であるアレックス様に挨拶をして馬車に乗り込んだ
立派なお姉様になるため私は魔法学校を目指すのでした。